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さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「水火既済」(爻辞)

2025-06-08 | さわやか易・講座(下)

「水火既済」の各爻は、泰平を壊さぬように、注意している。

「初九、その輪を曳く。其の尾を濡らす。咎无し。」

初九は、身分は低いが、陽位にいる陽爻で、分別はしっかりしている。泰平の時代が壊れないように、慎重に処することを忘れない。車で川を渡ろうとしているが、勢いよく進まないように、「その輪を曳く」車輪にブレーキをかけている。「其の尾を濡らす」狐にとって尾を濡らすのは良くないことだが、ブレーキをかけてる途中で尾を濡らしてしまった。咎はないだろう。

「六二、婦(ふ)、其の茀(ふつ)を喪ふ。逐(お)ふ勿れ。七日にして得ん。」

六二は、中徳を備えた陰位にいる陰爻。ここでは慎重さを失わない夫人である。「茀(ふつ)」とは、婦人用車の覆いで雉の羽で飾ってある。ある日、その覆いがなくなってしまった。「逐(お)ふ勿れ。七日にして得ん」しかし、大騒ぎしてはいけない。やがて元に戻ってくるものだ。正しい態度を守っていれば、過失や疑いはやがて晴れるものである。

「九三、高宗(こうそう)、鬼方(きほう)を伐つ。三年にして之に克つ。小人は用ふる勿れ。」

九三は、中徳を備えてはいないが、陽位にいる陽爻、剛に過ぎるところがある。「高宗(こうそう)」は、殷の名君、高宗以後には名君はいない。「鬼方(きほう)」は北方の夷狄(いてき)。名君と言われた殷の高宗でさえ、北方の夷狄を亡ぼすのに3年もかかっている。ましてや小人に出来ることではない。当時の殷は安定していたが、以後、衰退していった。

「六四、繻(ぬ)るるに衣袽(いじょ)有り。終日戒む。」

六四は、中徳を備えないていないが、陰位にいる陰爻で九五を補佐する大臣である。「繻(ぬ)るるに衣袽(いじょ)有り」とは、船の一部から水が漏れている。そこをぼろ布で塞いでいる。すなわち、社会を船に例えて、少しづつほころびが生じてきた。なんとか一時しのぎで事なきを得ているが、心配である。終日警戒を怠りなく見張っている。

「九五、東隣に牛を殺すは、西隣の禴祭(やくさい)して、實(じつ)に其の福(さいわい)を受くるに如かず。」

「東隣」を紂王の殷、「西隣」を文王の周と見る説が有るので従う。「牛を殺す」は盛大な祭り。「禴祭(やくさい)」はお供え物は乏しいが真心を凝らしたお祭り。すなわち、紂王が率いる殷のお祭りは盛大であるが、お供え物は乏しいが真心をこめた文王率いる周の方が、福を受けるのではないだろうか。

「上六、其の首(こうべ)を濡らす。厲し。」

卦辞に、「初めは吉、終りは乱る。」とあったが、上六に至り、「終りは乱る」の時が来た。上六は、最も高い地位にいるが能力才能はなく、泰平の夢から覚めないでいる。川を渡る狐に例えて、頭まで濡らしてしまいまことに危険である。

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