さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

「地水師」(爻辞)

2024-09-17 | さわやか易・講座

「初六、師(いくさ)出づるに律を以てす。否(しから)ざれば臧(よ)きも凶なり。」

初六は陽位置にいる陰爻なので、一般の軍人と見る。「師(いくさ)出づるに律を以てす。」軍隊に出るには、規律を厳重にすべきである。「否(しから)ざれば臧(よ)きも凶なり。」厳正な規律もなくて、たまたま結果が良かったとしても、凶である。

「九二、師に在りて中す。吉にして咎无し。王三たび命を錫ふ。」

九二は、この卦の主爻。中徳を得た陽爻で、九五の天子から信任を得ている。陽爻はこの九二だけであり、全体のリーダーになっている。それ故に「九二、師に在りて中す。吉にして咎无し。」となる。「王三たび命を錫ふ。」王がたびたび言葉を寄せ、褒美を与え、信頼している。

「六三、師(いくさ)或は戸(しかばね)を輿(にな)ふ。凶。」

六三は陰爻で陽位にいて中徳もなく、いつも軽挙妄動をしてしまう爻である。軍人であってもその性質は直らない。戦争に行っても、「或は戸(しかばね)を輿(にな)ふ。凶。」戦死して屍を車に乗せられるのが落ちだろう。凶となるだろう。

「六四、師(いくさ)左(しりぞ)き次(やど)る。咎无し。」

六四は陰爻で陰位にいる。中徳はないが、位は高い。自分の柔弱を知って、戦では直ぐに退却する。結果的には咎无し。佐次は退き舎(やど)ること。

「六五、田に禽(きん)有り。言を執(と)るに利し。咎无し。長子は師(いくさ)を師(ひき)いる。弟子(ていし)は戸(しかばね)を輿(にな)ふ。貞なるも凶。」

六五は陰爻なれど中徳あり。ここでは天子である。戦争が起これば、大将を任命する立場である。「田に禽(きん)有り。言を執(と)るに利し。咎无し。」田とは自分の領地の意味。禽は敵の賊。領地に賊が入り込んだ。宣戦布告して良い。咎无し。「長子は師(いくさ)を師(ひき)いる。」ここでは九二に当たる。九二が大将となって戦を率いるだろう。任せれば良い。「弟子(ていし)は戸(しかばね)を輿(にな)ふ。貞なるも凶。」ここでは、六三、六四を指す。彼らに任せたなら、失敗し、戦死者を出すだろう。こちらが正しくても凶となるだろう。

「上六、大君、命有り。國を開き家を承く。小人は用ふる勿れ。」

上の位置は退いた位を指すが、全体を総括する場合に使われることもある。ここでは総括である。「大君、命有り。國を開き家を承く。」戦争が勝利に終わり、天子が論功行賞を行う。功績の大なる者には、土地を賜り、諸侯に封じ、聊大夫に任じたりする。「小人は用ふる勿れ。」しかし、いくら功績大なる者でも、人物が小人であれば、土地や地位ではなく、褒美として金銭、財貨、俸禄を賞しなくてはいけない。

孔子の解説によれば、「小人は用ふる勿れとは、必ず國を乱るなり。」とあり、小人に権力を与えると、国を乱す元となることを強調している。現在にも言えることだ。

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