さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

姐さんの憲法論(38)~前文を国民投票で~

2021-02-22 | 姐さんの憲法論

姐さん、いかがでしたか。今の憲法も捨てたものでもないでしょう。

そうね、GHQが一方的に押し付けた憲法ではないことは認めるわ。それに、憲法研究会を始めとして、多くの日本人も関わってきたことも良かったと思うわ。敗戦という日本にとっては屈辱的な状態の中で誕生したというのが、なんとも悔しい出来事ではあったけど、逆に言えばこんな時しかこんな憲法は生まれはしないということも解ったわ。内容も全体的には日本人にとって良かったと言えるんでしょうね。でもね、最初の時にあんたと二人で読んだ前書きだけは、絶対良くないよね。

前書きですか。あれは、賛否両論なんですよ。日本ペンクラブの投稿者で、前書きが素晴らしいという人もいるんですよ。でも、翻訳調で解りにくいという人もいました。僕は解りにくいし、内容も好きじゃありません。

そうだよね。私はあの前書きを読んでこの憲法は絶対許せないと思ったんだからね。他の所は知りもしないで、頭にきた位だからね。いったい、あの前書きは誰が書いたのよ?

GHQ民生局次長のケーディスが全体的なGHQ案の作成者なんですが、前書きを担当したのは、アルフレッド・ハッシー中佐だと言っています。ハッシーはハーバード大学で政治学を学んだエリートのようですけど、ケーディスはこう言っています。「100%ハッシーです。マッカーサーでもホイットニーでもありません。彼はこの前文にエネルギーのすべてをかけていましたから。しかも、彼は文章にはある種の自信を持っていて、他人に直されるのを非常に嫌いました。」ということです。

あらそうなの。でも、前文というのは憲法全体の目的や方針を示すものなんだから、これじゃあ駄目よ。そもそも日本国の憲法なんだから、日本人に馴染み易く、親しまれる文章じゃなきゃ駄目よ。そのハッシーさんがエネルギーのすべてをかけたというのは解ったけど、二度と日本が戦争を起こさないようにという強いメッセージだけが伝わるだけだよね。

あれは、マッカーサー・ノートの3原則を下敷きにしていますね。戦争の放棄が中心になった前文ですね。

あの「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。」みたいな、愛国者が聞いたらびっくりするような文章はどう考えたって、日本人を馬鹿にしているよ。絶対書き直しね。

最初のところで、散々こき下ろしましたね。確かに条文に比べると前文は日本側の意見が反映されていないような気がします。ハッシーさんは自分の文章に自信を持っていて、他人に直されるのを嫌ったと言いますから、誰も口出ししなかったんじゃないでしょうか。憲法公布の時にマッカーサーが祝辞を述べた中に、「新憲法もまた多少の欠点を免れないが~」とありますけど、日本人に反感を買う部分があることを認めていたからではないでしょうか。

前文だけ読んですっかりこの憲法が嫌いになった人は私だけじゃないと思うよ。私は憲法公布の時に昭和天皇が述べた詔勅のような前書きが良いと思うのよ。

確かにそれが正論だと思います。僕も憲法を作りなおす機会があったら、先ず前文から作り直してくれといいたいです。広く国民から募集したら良いと思いますけど、どうでしょうか。

それはいいわね。前文だったら高校生でも参加出来るからね。全国から募集してその中からいくつかを選考委員たちが選んで、それを国民投票するなんて、いいんじゃないの。そうすれば、憲法が身近になるし、親しみを持てるじゃないの。

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