さわやか易

人生も歴史もドラマとして描いております。易の法則とともに考えると現代がかかえる難問題の解決法が見えてきます。(猶興)

姐さんの憲法論(32)~日本国憲法公布~

2021-02-07 | 姐さんの憲法論

姐さん、今回は新憲法公布と天皇の詔勅についてお話します。

お願いします。そもそも昭和天皇は新憲法にかかわっていたのかしら。

昭和天皇は戦前から戦争には反対でした。最後の最後まで外交による解決を望んでいたんですからね。しかし結果は最高責任者として、言い訳はせずに全責任は自分にあると、マッカーサーの前に立ったんですよ。終戦の詔勅は有名な「耐えがたきを耐え、忍び難きを忍び~」ですよね。その後、9月4日には国民に向けて、平和国家を目指して立ち上がろうという詔勅を出しているんですよ。

知らなかったわ。どういう詔勅なの?

今ではあまり知られていませんが、「朕は終戦に伴ふ幾多の艱苦を克服し、国体の精華を発揮して、信義を世界に布き平和国家を確立して、人類の文化に寄与せしむることを冀(こいねが)ひ、日夜しん念おかず、此の大業を成就せむと欲せば冷静沈着隠忍自重、外は名約を守り、和親を敦くし、内は力を建設に傾け、挙国一心自彊息まず、以て国本を培養せざるべからず。」です。

要するにみんなで平和国家を目指そうということなのね。

そうです。国民総出で平和国家にまい進しようということです。平和の力で国際社会に貢献しようということです。だから、新憲法も平和を第一にと呼びかけたと言っていいんじゃないでしょうか。だから、新憲法が公布された1946年11月3日、昭和天皇は詔勅を読み上げました。

「本日、日本国憲法を公布せしめた。この憲法は帝国憲法を全面的に改正したものであって、国家再建の基礎を人類普遍の原理に求め、自由に表明された国民の総意によって確立されたのである。即ち日本国民はみずから進んで戦争を放棄し全世界に正義と秩序とを基調とする永遠の平和が実現することを念願し、常に基本的人権を尊重し、民主主義に基いて国政を運営することを、ここに明らかに定めたのである。朕は国民と共に全力をあげ、相携えてこの憲法を正しく運用し、節度と責任を重んじ、自由と平和とを愛する文化国家を建設するように努めたいと思う。」

いいわねえ、この詔勅は。この詔勅に基づいた憲法の前書きにすれば良かったのにね。

憲法公布は一大イベントとして日本国民が祝福したんです。憲法の修正にもかかわった厚生大臣の芦田均は式典に参加した印象を日記にこう記しています。「今日は生まれてから始めての最も感激した日だ。」

あら、そうなの。マッカーサーは何か言ってるの?

マッカーサーも祝辞を述べています。「新日本建設の確固たる礎石となるものである。いわゆる人間の努力の成果と同じく新憲法もまた多少の欠点を免れないが、大局から見れば終戦以来われわれの辿った跡がいかに遠く、かつはるかなものであったかを如実に示している。~」というものです。マッカーサーにとっても、生涯最大の仕事を成し遂げた感慨があったことでしょうね。こうして、新憲法は半年後の1947年5月3日に施行されたんですよ。殆どの日本人が歓迎していたんです。

そうでしょうね。マッカーサー・ノートにあった、天皇を守り、戦争を放棄し、民主制を敷くというのが、マッカーサーの3原則だからね。憲法の原作者は第一がマッカーサーだと言えるよね。でも、良く解ったわよ。この憲法がGHQの押し付けとばかりは言えないってことが。時代の要請もあれば、国際的な流れもあったんだよね。

そうですよ。戦前の日本は本当の民主主義とはまだまだ言えなかったと思いますよ。軍国主義は別としても、男女平等とは言えなかったし、家族制度にしても問題があったと思いますよ。確かに、アインシュタインやチャップリンが評価した良い部分もあったとは思いますけどね。

そうだね。今の憲法にも良い部分は認めるけど、9条にしても、このままで良い訳はないよ。次からもっと別の角度から考えてみようじゃないの。

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