姐さん、今日は。ちょっとだけご無沙汰しました。
そうね、どうしたかと思っていたのよ。コロナにでもかかっちゃったんじゃないかって心配してたけど、元気そうじゃないの。
実はね、姐さんの影響で僕もすっかり憲法問題にはまってしまったものですから、この二月くらい図書館から憲法関連の本を借りて勉強してたんですよ。
あらそうなの。じゃあ、随分詳しくなったんじゃないの。聞かせてよ、あんたが何を学んだか。私も知りたいわよ。
一番面白かったのは、この憲法がどんな経緯で出来たかということですね。「日本国憲法誕生~知られざる舞台裏」というNHK番組を制作した塩田純さんの本でしたね。確かに姐さんの言う通り、GHQの主導で出来たことは事実ですけど、日本人のかかわりも大きかったということや、時代の分岐点で、世界からも注目されていた中で出来たということが解りました。
それはそうでしょう。日本が180度変わったんだからね。それで、どう思った?
はっきり言って、僕はこの憲法になって良かったと思いますよ。ただ、今まで何の改正もないというのは問題だとは思いますけど、戦後日本が生まれ変わったという意味ではこの憲法は大正解だったんじゃないでしょうか。姐さんの言う通り、9条があったから北朝鮮になめられたということも半分は認めますけど、あれは憲法だけの問題じゃないですよ。あれは絶対政府が弱腰だったからで、今の憲法でも拉致問題は充分解決出来たと思いますよ。
拉致問題は憲法問題だと私は言ったけど、肝心な時に政府がボヤボヤしていたからだとも言ったよね。だから、どんな憲法でも日本人がしっかりしなくちゃ何にもならないということだよね。他にはどんなことを感じた?
戦前の日本ですけど、天皇と国民が「君民共治」だったという話ですけど、間にあった軍隊がまるで天皇の直轄にでもあるように勘違いしてしまって暴走してしまったということは大問題だったと思いましたね。
うんうん、私が好きな人物に高橋是清がいるんだけど、知ってるよね。日露戦争の時に戦費をイギリスに渡って調達してきた話や世界大恐慌後の不況を思い切った公共事業で乗り切ったことで、日本を二度救った男と言われている人なんだよ。この大蔵大臣の高橋是清が陸軍の幹部に、「軍隊は守るだけでいい!政治には口を出すな!」と一喝したんだよね。ところが、その後、226事件で暗殺されちゃったのよ。それから軍隊にしっかりと意見が言える人がいなくなっちゃうのさ。戦前の日本は軍隊が権力を持ち過ぎていたことは大問題だったよね。
軍人というのは、最終的には戦争で解決しようとするもんでしょう。だから、どう考えたって無謀な戦争に突っ込んでしまった。戦争に負けるまでその間違いに気が付かなかった。その結果、日本は大敗北を喫してしまった。でも、そこから日本人は生まれ変わろうとしたんですね。確かに今の憲法は日本人が主体になって作り上げた憲法とは言えないけれど、主権もない時に、外圧で出来た憲法ではあるけれど、ああいう非常事態になって始めて出来ることだってあるんじゃないでしょうか。でも、「不幸中の幸い」という言葉がぴったり来るくらい、画期的な素晴らしい憲法が生まれたということも言えるんじゃないでしょうか。
画期的な素晴らしい憲法なの?意外なことを言うのね。私はとんでもない憲法だと思っていたけど、何を根拠にそんなことになる訳?GHQの押し付け憲法がそんなに良いと言うの。聞かせて貰おうじゃないの。いったい何を勉強したのよ。
僕が解ったことは、この日本国憲法はGHQと日本人の合作で出来た憲法だということです。しかも、この憲法は明治時代から民主主義を日本に実現させようとした先人たちがいて、その流れが実を結んだという一面もあるということなんです。
でも、良かったよ。そこまで、あんたが憲法に関心を持って勉強してくれたことが嬉しいじゃないの。今度はもう少し詳しく、憲法が出来た経緯を話して貰おうかしら。
解りました。やってみます。
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