Kajitama News

同志社大学法学部梶山ゼミの連絡板です。

試験制度の前提

2011-03-01 14:59:00 | Kajitamaの近況・つぶやき
早いもので、もう3月です。

大学では、入試中に問題がネット掲示板に流された事件が話題。
驚きよりも、「あぁ、ついに…」という印象のほうが強く、さらに言えば、「ついに…」というのは「ついに起きたか」というよりも、「ついに明るみになったか」という印象のほうが…別に、目の前で同様の不正を見たわけではないけれど、昨今の携帯電話の普及や機能の向上を考えれば、今回の事件は、起こるべくして起きたといえます。
もっとも、それが期末試験レベルではなく、最も厳粛に執り行われる入試の場で…ということには、多少の衝撃があります。

考えてみれば…
私の授業の小テストは、抜き打ちで行いますが、もう随分前から、携帯(その前はャPベル)での「呼び出し」、つまり「小テストがあるみたいだから、すぐおいで…」式のメッセージ送信は行われていました。
大人数クラスでは、小テストのプリントを鞄にしのばせるわけにはいきませんから、どうしても目立ってしまいます。基礎科目のような2コマ連続のリピート講義では、1時間目のクラスで小テストを実施すれば、たちまち情報が流れます。

試験制度は、受験者の「公平」を前提として成り立ちます。
これまで、私はそう信じて、できるだけ「公平」な環境が保てるよう心を砕いてきました。
カンニングなどの不正行為に対しても、比較的厳しく対応するほうで…現在、法学部のみで実施されている厳格な試験監督制度も、私の摘発した不正行為がきっかけ(の一つ)となって導入されました。

私が思うに…

「持ち込み不可」の試験は、あらゆる人が「持ち込み不可」でなければならず、「抜き打ち」試験は、あらゆる人にとって「抜き打ち」でなければなりません。
また、試験に関する情報には等しくアクセスできなければなりません。
私の学生時代は、サークルなどで過去問を入手できる人、ゼミなどで先生からヒント(!)を聴いた人とそうでない人の情報格差がありました。
だから、私は教壇に立ってからずっと過去問を授業で公開し、解説付で配布しています。受験にあたっての有利不利がないように、です。試験範囲などの情報は授業でのみ話しますし、質疑応答も公開で行います。

採点が「公平」でなければならないことはもちろんであり(時々、「ゼミ生の名前を見たらどう思いますか」とくだらない質問を受けますが、採点にあたり、名前は気にしていません。当然、ゼミ生も普通に落ちます)、卒業年次生への特別の配慮はしません。
評価対象も「公平」でなければなりませんから、成績を補充するためのレメ[トだの、追試だの、そうした特別措置もとりません。当然、個別の「お願い」にも応じません。
仮に、そうした特別な配慮や措置をとる必要があるのであれば、その獅ヘ事前に公表しておくべきですし、やむを得ず、急遽対応しなければならないとしても、「お願いに来た人」だけでなく、同じ事情を抱える人全員に機会を与えるべく、配慮しなければならないと考えています。
採点結果に不満があれば、異議申し立ての方法によればよく…そのために、私は、教壇に立って以来ずっと、従来ブラックボックスであった採点基準を公表してきました。素点評価時代、「先生の評価は厳しいけど、点数は、採点基準で予想したとおり、数点の差しかなかった。1枚1枚、基準に照らして評価されてることがよく分かるから、納得してます」と言ってくれた学生さんが何人もいました。
誰に対しても同じ材料、同じ基準で採点する…追試に関しては、問題が異なるので限界はありますが、できるだけ本試験と同じ形式・難易度で作成しています。

もっとも、上に述べたのは、あくまでも私の「公平」観、それを担保するためのやり方であって、人によって「公平」の程度、実現方法は異なるだろうと思います。私も、将来、今のやり方を変えるかもしれませんしね。

ただ、「公平」に疑念が生じれば、試験制度は立ち行かなくなります。
それは入試であれ、期末試験であれ、変わらない…
明日は卒業判定、これだけ試験の「公平さ」が連日問題とされ、「不公平」に憤る人が多いのだから、今年こそは、「不公平」な措置を求める「通して下さい」攻撃に晒されることがありませんように…
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