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経済産業ジャーナル

2005年06月08日 | 活動日記

 財団法人経済産業調査会(経済産業省)が発行する▲経済産業ジャーナル6月号▲に、当会の投稿記事が掲載されましたので、全文紹介させていただきます。



パラダイム転換を促すNPOを目指して
  山本正雄 ●地域通貨おうみ委員会(まちづくり本舗)代表


1.活動の概要

 当委員会は、「人と人」「個人と組織」「組織と組織」を地域通貨で結ぶことによって、地域経済の活性化やコミュニティ再構築、さらにはグローバリゼーションがもたらす様々な問題に対するセフティネットを築き上げることを目的として活動してきました。
  
 その第一歩は、NPOのネットワークづくりに始まります。1998年にNPOやボランティア活動の促進を目的に開設された草津コミュニティ支援センターを市民が自主運営していくことになったため、その手段として地域通貨「おうみ」を導入しました。「おうみ」は、NPO相互の協力関係を構築しその活動拠点の運営を協働で行うことを主な目的としたボランティア・マネー的性格を持った地域通貨です。しかし、設置者である行政の理解を得ることができなかったことや地域通貨がより大きな可能性を持った新たな社会システムであると考えるようになったことなどから、2002年10月より「おうみ」に替わって商品券型地域通貨「おうみありがとう券」を発行しました。
  
 このタイプの地域通貨は、当時は法律的な枠組みが不明瞭であるなどといった点で疑問視されていましたが、当委員会ではNPOの持つ先駆性や実行力といった特性を活かして全国に先駆けて導入しました。その後、現行法の枠組みで問題なく発行できることが明確となったことから、商店街の活性化や地域(自治体)経営のツールとしての活用が期待されるようになっています。

 なお、「おうみありがとう券」は、これまで地元のイベントや商店街活性化事業等で活用いただきましたが、運営主体としての当委員会は組織的にも財政的にも脆弱であることから、拠点を設置・運営して事業全体を独自経費で賄うことが難しくなり、昨年11月末で拠点を撤退し事業も一旦終了いたしました。


2.社会実験から政策連携へ


次に、当委員会では2003年4月1日に施行された「滋賀県琵琶湖のレジャー利用の適正化に関する条例」(琵琶湖ルール)をきっかけに滋賀県が配布することになった「ノーリリースありがとう券」の企画・運営に協力してきました。「ノーリリースありがとう券」は、自然生態系を守るためにブルーギルやブラックバスといった外来魚を駆除することに協力していただいた方々へのお礼として配布する商品交換券ですが、地域のパブリックな価値をみんなで支えていこうとする指向性という点で地域通貨に分類しても良いと考えています。この事業を通じて、昨年度は28㌧の外来魚を駆除することができたと同時に、持ち込まれた外来魚は共同作業所が回収・有機肥料化して農産物の生産に使われることによって、外来魚の有効活用と障害のある人の雇用を創出し、さらには地元商店等の活性化の一助になりました。また、一部ホームレスの方々の支援にも役だったそうです。
 「ノーリリースありがとう券」事業は、私たちのようなNPOの特性を活かした社会実験を通じて、その成果や教訓に基づき地域政策に取り入れるというボトムアップ型「政策連携」の可能性を持ったものであると考えており、今後もこうした行政との協働が積極的に展開されることを願っています。


3.今後の取り組み

 
 ところで、「人のつながりが変える暮らしと地域―新しい『公共』への道」と題した平成16年版の国民生活白書で、地域の活動の価値を目に見える形で表現する手法の一つとして地域通貨が紹介されています。また、地域通貨は超高齢化社会における相互扶助の形成、地方分権を担うコミュニティづくり、教育現場での活用、さらにはNPO・ボランティア活動の促進など、新しい「公共」を支える仕組みとしての期待が広がっています。一方で6年間の活動を通じて、地域通貨の可能性を開花させるためには地域の抱える諸課題を解決しようする人々の志をトータルにマネジメント(ガバナンス)していく基盤や、新たなパブリックを担いうる行政・市民・諸団体・企業等の成熟が不可欠であることも分かりました。そうした中で、当委員会は昨年の2月に現職市長の収賄や公職選挙法違反による逮捕・辞任を受けて実施された出直し選挙を契機に、活動を地域通貨に限定せずより核心的な取り組みを行うようになりました。
 具体的には、当委員会の有志で「まちづくり本舗」を立ち上げ、市民提案型マニフェストによる公開討論会の開催や、ローカル・マニフェストの検証などを中心に活動しています。こうした取り組みを通じて、従来の「白紙委任・談合・なれあい」構造から「参加・選択・責任」に基づくものへと地域のパラダイム転換を促すと同時に、自分達のコミュニティをどのように再構築していくべきなのかということについての気づきの連鎖をつくっていきたいと考えています。
 なお、現在は地域通貨の発行はしていませんが、これまで体験した教訓を活かした「研修・アドバイス事業」を行っていますので、どうぞご利用ください。


                
団体名:地域通貨おうみ委員会(まちづくり本舗)
発 足:1999年5月より活動開始
H P:http://www.kaikaku21.com  

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