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政権交代の中間評価

2010年07月14日 | マニフェスト
  政権交代とは「民主主義制度が確立した先進国において、政権をもつ与党とそれをもたない野党の地位の交代」のことです。
 このあたりまえのことが、日本では何故か数十年も起こりませんでした。
 今から思うと、たぶん今の中国とかと同じ位の民主主義の成熟度だったのではないでしょうか?

 ちなみに1993年に誕生した細川連立政権は、衆議院第一党にあったにも関わらず、野党の衆議院多数派工作によって非自民の7党が結集したことによって成立したことから、民意による政権交代とは少し違った意味を持っていたようです。

 
 昨年の9月に民主党が政権与党となった際にはその年の新語・流行語大賞として「政権交代」が選ばれ鳩山由紀夫内閣総理大臣が受賞するなど、「これで成熟した民主主義に向けて政治が変わる」というような期待感をもって迎えられました。・・・・にもかかわらず、わずか10ヶ月後の選挙でこれほど惨敗することを予想できた人はいたでしょうか?
 
 新聞各紙などで分析が進んでいますが、「政治と金」の問題については、選挙の少し前に鳩山さんと小沢さんが退陣されたことで争点にはならなかったように思います。
 (もし、当時の体制が続いていたら、もっと大敗していたかも知れません。)

 では、消費税増税が争点になったのでしょうか?

 この点に関しては世論調査の結果を見ても、今の財政赤字や社会保障費増大、またギリシャの事例もあって、これ以上子や孫にツケを回すわけにはいかないという感覚を持った人の方が圧倒的に多い現状を見ると、消費税増税の言及したことが原因とするのもなんだか不自然で腑に落ちません。 

 一方で仕分け人として超有名になった民主党の蓮舫議員が171万票という史上空前の得票で当選し、また大阪選挙区の尾立議員も2人目候補として擁立されたタレント候補の出現によって自ら「大変苦しい選挙戦」としていましたが、仕分け人としての功績や訴えが評価され当選されました。
 また、民主党や自民党が減らした票が脱官僚や徹底した行財政改革を訴えるみんなの党に流れた状況を見ると、こうした取り組みには高い評価が与えられていることは間違いありません。

 更に、政党を問わず業界や労働組合などの組織票をバックにしていた候補者は票を減らしていることから、相互依存と利益分配の政治は終焉を迎えつつあると考えられます。

 これらを総合的に考え合わせると、民主党は国の財政を健全化させるために「あれか、これか」を公開した場で問い、その合意形成を図る取り組みは評価が高かったけれども、真正面から日本が今どのような状況になっていて今後、どのようにしていかなければならないかという明確なメッセージが届けられず、したがって国民の共感が得られず、また政権に対する満足度が低かったことから政権をこのままの状態でまかせても良いという信頼を得ることができなかったことが惨敗の原因だったのではないでしょうか。


 今後、ねじれ国会をどう乗り切るのか非常に難しい選択が迫られると思います。
 しかし、これを議員の数や打算ではなく、日本の現状(危機的な財政状況、少子高齢化および社会保障費の増大、国際的な経済状況など)において、今なすべき事をそれぞれの政党が全力で取り組むこと、またこの競争や協働の中で信頼や評価を勝ち取り、国民の共感を得て誰もが腑に落ちる政策を実現することによって新たな展望を見出してほしいと思います。

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