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傍聴人

2010年07月13日 | マニフェスト
 今日は、第18回自治体基本条例検討委員会の傍聴をさせていただきました。

 実は前回も参加しましたが、当初は「いづらいんじゃないかなぁ~」と心配していました。
 でも、居心地は案外いいです。
 冷静な目で客観的に議論を見つめることができるからです。

 当然かも知れませんが、傍聴人は議論に関わることはできません。
 また、資料の閲覧はできますが持ち帰りは禁じられていて、賛成や反対の意志を表示すると、退場を命じられる場合もあるようです。
 議長の裁量で時間があれば発言を認められる場合もあります。もちろん、リアルタイムに意見を述べることはできませんが、全体の感想や問題提起はできます。しかし、傍聴人の立場としては内容に踏み込んだ発言は「遠慮すべきかなぁ~」という感じになってしまいます。


 さて、肝心の内容については次のとおりです。

 まず、前々回は「市民参加」について、参画とか協働とか言い方は色々あって、参加から参画、参画から協働という発展レベルで論じられることもありますが、広義でとらえて「市民参加」という言葉を使うことや、前回は情報の共有に関して、「情報公開」や「知る権利」等の議論が交わされたことが説明されました。

 その上で、今回は全体の項目立てやその順序、更には総合計画との関係等について議論されました。

 自治体基本条例の骨子案は、すでにホームページにも公開されており、いよいよ最終の仕上げに入りつつあるのかな、という感じです。

 
 

 ところで、項目立ての議論の中で、少し気になることがありました。
 感覚やイメージの問題として「どれを先に書くのか」というような意見が交わされていました。
 しかし、基本条例は制定の趣旨を明確にして、その趣旨を実現するための基本となる重要事項を先ず示した上で、個別的な項目を合理的に列挙していくべきであると思います。

 たとえば、配布されていた資料の中にニセコ町のまちづくり基本条例の全体構成図がありました。http://www.town.niseko.hokkaido.jp/kihon/

 それを見ると、当たり前のことかも知れませんが、基本条例の目的については明確に「自治を実現すること」と書かれています。
 このことが基本となって、自治の実現のために重要な「情報共有」と「住民参加」が上位に位置づけられているのです。

 これまでの議論で、その当たり前の議論が見えにくいように感じました。
 何故、自治(体)基本条例を策定するのか、という基本的な立脚点です。

 ちなみに日本国憲法では、前文にこのことが次のように示されています。

日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものてあつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 ここでは、主権が国民に在ることを宣言し、その行使を選挙によって選ばれた代表を通じて行うというようなことが書かれています。

 自治体の憲法が自治(体)基本条例とするならば、まずこうした基本をしっかり論議し位置づけることが必要なのではないでしょうか。

 自治の主体(権)者は市民であり、二元代表制のもとで、一方で首長を選出してそこに予算編成権や各種執行権を与えると共に、一方で議員を選出し、議会との関係で合議制を形成するというのが基本ベースにあるはずです。また、このことから首長や議員にどのような権限を委譲し、またどのような義務(例えば議会での議論を市民に分かりやすく伝えることなど)を課すのかを示すことも必要だと思います。
 
 一方で、国政とは違って市民の直接関与を想定してこの二元代表制を補完し自治実現を図るという趣旨から考えると、直接関与のための情報(情報公開や知る権利等)や意志決定過程・執行段階での市民の直接参加、更には住民投票などといったことが住民自治を保障するための基本条件とし上位に位置づけられるべきではないでしょうか。

 個別的事項について更に踏み込んで言えば、「情報公開」や「知る権利」といったことに止まらず、公開されたことに対して意見を述べる権利、その意見に対して回答を求める権利、あるいは別の施策を策定し対峙させることができるいわゆる「アドボカシー」に関すること、更には市民が公共的手段や場所を使って情報を発信することができる「パブリックアクセス権」などについても、是非とも議論いただければと思いました。

 また、行政をチェックし機能させるためのしくみとしての市民オンブズマン制度や公益通報(内部告発)制度の確立や市民会議等の設置義務なども必要ではないでしょうか。

 こうしたことについては、次の機会に詳しく書きたいと思います。 (つづく)

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