街道を歩く

今まで歩いた街道、町並み、これから歩く街道、町並みを散文的に紹介

病院食考 完

2012-11-04 00:26:29 | 入院手術

 さて、三週間病院内に居たが「肉だー」と言ったのはたったの一度きりである。しかもそれが牛肉だったのである。
 しかし、目の前におかれたその肉の色が尋常ではないのである。焼肉と言えば血が滲み出てしかもぎらぎらとした肉の油分が皿の上で揺れているといった姿であろう。ところがその姿にはあまりにも程遠いのである。「泣いて馬しょくをきる」とは言うが、斬り過ぎても斬り過ぎてもこのような肉にはなるまい。肉の色が痩せた土地の、所謂土色である。脂身がついてはいるのだが焼き上げたあとのその透明感が失われ白い塊になっているのである。更には各々一片の切り身は細胞が破壊されているかのように小さなひびがびっしりと入っている。
 もうお判りだろうがこれもまた湯掻きまくって肉の持つ総ての旨味成分を抽出し終わった所謂(私に言わせればだが)虚しい肉の残骸を食べさせられているとしかいいようがない。それ程に手を加えている。そしてその手の加え方は驚愕に値すると言っても過言ではあるまい。どうすればこのように不味く作ることができるのか。その手段を実際に知る術を持たないがただただ驚くばかりである。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 手品師見舞いに来る 4 | トップ | 手品師見舞いに来る 5 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

入院手術」カテゴリの最新記事