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街道を歩く

今まで歩いた街道、町並み、これから歩く街道、町並みを散文的に紹介

病院へ

2012-12-21 00:35:18 | 入院手術

 何処か見たような風景であろう。我輩が入院していた病院の2Fから撮している。
 今回は母の付き添いで、いよいよ股関節手術となろう。
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退院

2012-12-05 00:27:36 | 入院手術

 群馬の方である。所謂 類は類を呼ぶ 同病相哀れむ 友は友を呼ぶ のかな。
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手品師見舞いに来る 完

2012-12-04 00:05:29 | 入院手術

「いやー よかったよかった」
「よそ見してたでしょ」
「はあ」
「ちゃんと見てくれなきゃ駄目じゃないですか」
「はあー」
 あれっ、担当君に話し掛けている。
「この袋あげるよ」
「はっ」
「いらない」
「いや いただきます」担当君、袋を手にとってまじまじと見つめている。
「へー」
「へーじゃない ここら辺に切れ目があろうが」
「あっそうですね ここに切れ目がありますね やった つかえますね」
 何に使うのかは彼の勝手だが、こんなもので手品でもするつもりかな。
 まあしかし、担当君は今日二つも手品のネタを教えてもらったのだから儲けものだったに違いない。
「私 時間がありませんので すみませんが」とは担当君の口から出たものだ。
 今までじっと我慢していたのだろう。堰を切ったように話した。
「おー お疲れ」
 彼がいたお陰で私が生贄にならなくてよかった。彼に感謝だなと、窓の外に目をやっていた。大きな船が西に向かっていた。
手品師は私にお尻をむけてあのポーチでごそごそとしている。あーそうか。片付けているのだな。
 と、突然、頭だけを私のほうに捻って
「で、どうなんですか」と、落ち着き払って私になにか聞き質しているようだ。
 一瞬手品がまだ続くのかなと思った。
「なにが」
「なにがって 今日はお見舞いに来たんじゃないですか」


 写真は退院の様子 群馬から来られた方(頚椎で入院手術)が撮してくれた。
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手品師見舞いに来る 33

2012-12-03 00:08:27 | 入院手術

 キャラメルを手にして冷凍用の袋のジッパを開けた。さらに口で空気を入れ、袋を膨らませて見せた。半分程入ったかと思ったくらいで私の机を見た。ノートや本を置いているのでそれが邪魔らしくそれを除けろというように目配りしている。私が面倒くさそうにやっていると払い除ける様にして場所を開けてしまったのである。そうしておいて膨らませた袋を机の上に置いて空気の抜けないことを確認させるためにゆっくりと袋を叩いたのである。
 「いいですね」なにがいいのかなと思っていると「空気は抜けませんね」と誰にともなく声を掛けているようであった。
 そうして袋を左手に持ち替え顔の前に差し出し、右手にキャラメルを摘んでいる。いよいよ始まるな。 
 「いきますよ」彼はキャラメルを勢い良く袋めがけて投げつけたのである。
 お見事。見事にキャラメルは袋の中に収まったのである。
 担当君の歓声が上がる「おーすごい」 担当君は不思議がっている。
 「おーやったやないか」 ここまで手品を見せたのではあるが「おー すごい」はこれが初めてだ。
 私もこの成功には正直ほっと胸を撫で下ろしたい気持ちになってしまった。ところがだ。
 「これよりあのペットボトルのほうがうけるのになー」 何を悔やんでいるのは判らぬがそれでも成功である。
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手品師見舞いに来る 32

2012-12-02 00:55:58 | 入院手術

「えっ テレビに出たんですか」
「おー 偶然な」
 手品師はもう次の準備をしている。あれをやるのだろう。しかもその気十分だ。
 私の目の前に丸められた袋を置いた。冷凍にするための袋だった。手品師が担当君に言う「袋を選んで下さい」 えっ 選ぶことが出来るのか。丸まったままだぞ。
 ところが担当君は素直なものだ。丸まった状態の袋を指差したのである。というよりは一番上のものしか指差すしかないのではないか。すかさず「これはあなたが選んだものですね」「よろしいですね」返事がない。担当君は声が出ないのではない。恐らく何がどうなっているかいまだに理解できないでいるのである。手品師はそこに追い討ちをかける。
「これはあなたが選びましたね そうですね」追い詰められた彼は「はい」と言わざるを得ない。
 手品師は次に私に声をかけてきた
「何か入れるものはありませんか」
「おー 携帯 本があるぞ」
「あー それはやばいですよ」
「おー 消しゴム キャラメルがあるぞ」
「じゃあ キャラメルにしましょう」
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手品師見舞いに来る 31

2012-12-01 00:04:04 | 入院手術

 摘んでいる紙幣をまじまじと見つめ「えっ」 どうしたのだろうか。また失敗したのかなと見ていると「次どうするんだったかな」「あーそうだ そうだ」あれっ、自問自答しているのかな。あれっ一人で納得までしている。と、突然摘んだ紙幣を担当君の手の甲の周りで回転させているのである。まるでお祓いでもしているかのようだ。お祓いも終わりやおら口を開いた。
 「はい 5ドルが2ドルに変わりました」と紙幣をゆっくりと開いてこう言ったのである。そうしておいて担当君の左手を拡げさせ握らせていた紙幣を開いて見せた「ほら 5ドルでしょ」 
 やってることは判らないわけではないが手品師との意思疎通がないものだからしらけてきた。手品はもうそろそろ限界なのか。担当君は一体全体何がどうなっているのか、何が起きているのかも判っていない。生贄にとられてしまった左手はまだ自分のものになってはいないし、まだ突き出したままである。
「・・・・・」
「えー これが判らんの」
「お前のー ちゃんと説明してやらんと判る訳なかろーもん」「そうよのう」と担当君の顔を覗いてみた。その途端我に返ったか、左手も動くようになった。
「今の判ったやろ」
「えっ なんやったんですか」 
やはり呆然と突っ立っていたようだ。それを見ていた手品師は
「うーむ」
「うーむじゃねえ もうあれやれあれ テレビでうけたやつ おー そうよ あれがいいあれが あれやれあれやれあれ」
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手品師見舞いに来る 30

2012-11-30 00:16:53 | 入院手術

 手品師は握らせた左手の脇に指を突っ込んで抜き取る動作をしている。
 上手いこと取り出せないのだろうか。身体を折り曲げ覗き込んでいる。ようやく抜き取ることできたようだが、「あれっ」 まずったのか戸惑っているではないか。どうしたのかなと思ってみていると「もう一回ね」と担当君に言っている。
 担当君の左手は既に生贄になっているから手品師の思うがままである。先ほどと同じ動きをしている。ただ少し異なっていることがある。それは紙幣の上下であった。当然のように手の甲が上になるから手の平に置いたときは上下が違ってくるのである。それを考慮しないから失敗をするのである。
 今回は取り出すのもスムーズにいったようだ。いいじゃないか。
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手品師見舞いに来る 29

2012-11-29 00:05:11 | 入院手術

 ふと見ると彼は八分の一に折り畳まれた2ドルと5ドルを手にしている。日本円で味を占めたからであろうか、先ほど失敗したドルでやり直そうとしているのかもしれない。果たして上手くいくのだろうか。
 手品師は手にした2種類の紙幣を担当君の目の前に突き出し「左手を出して」と言った。担当君は聞こえなかったのか、それとも血の気が引いているのか反応すらなかったのである。すると手品師は彼の左手をむんずと掴んで手を突き出させ手の平を上にした。その上にした手の平に折り畳まれた2ドル、5ドルを置き、それらを軽く握らせ手をひっくり返した。手の甲を上にして拳を突き出すようにしたのである。
 この一連の動作は担当君の意思ではなく総て手品師の意思であったということは言うまでもない。もう生贄だな。この段階で既に担当君の頭の中は真っ白である。
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手品師見舞いに来る 28

2012-11-27 23:59:38 | 入院手術

「あーこの手ですね この手が千円札をコピーしてるんですよ」
「はあー コピー」この遣り取りの間担当はどのような顔をしているのだろうか。また何を考えているのだろうか。一言もないのだが。
「コピーですよ コピー」と言いながらもぎこちなく右左に左手を動かしている。私は担当がどのような顔でこの様子を見ているのかなと思って担当の顔を見ようとした瞬間、
「いいかな」
「コピー終わったんか」と、ベッドの上を見ると千円札が消えていたのである。
「おー この手品成功じゃあないか」
「違いますよ 関係ありませんよ 直しただけですよ」盗られるとやばいとでも思ったか、この野郎は。
 再度「いいですかー」
「おー」あの、よれよれの紙が見事に千円札に変わったではないか。
「おー」担当君の声である。初めて手品に反応したのである。手品師は彼の感動したような声には敏感であった。ニコッと笑うやいなや即座に千円札を一万円札に変えたのである。
「おー」担当君の声が一段と高くなる。手品師もその反応には大満足のようだ。
「ちょっと待てよ」と水を差す。
「なんですか」
「お前一万円札はコピーしてなかろうが どうしてそうなるんか」
「はー」答えが返ってこずにもう次のショーに取り掛かろうとしている。ここぞとばかりに担当君を虜にしようとしているのだろう。私の質問には全くの無視である。私も別に答えを返してもらおうとは思わなかったし、茶々入れただけだから。
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手品師見舞いに来る 27

2012-11-27 02:13:42 | 入院手術

 手品師は袋の上を右手でつまんで左右に振り始めた。袋は彼の動作と反対に振れている。
「ほらこれですよ」あの得意満面の笑みで私の顔の前に突き出して左右に動かしている。
「はあー ありがとうね」
「いいえ いいんですよ」今までの時間は見舞いの品を説明するより手品をすることのほうが優先だったようだ。この時ばかりは千円盗られることは許せないらしかった。
 さあ、気を取り直したぞ。顔が真剣になった。突然、そう彼はいつも突然で、前触れも説明もない。そう突然左の手の平をその千円札の上に翳して左右に動かし始めたのである。
「なんしようとや」
「えっ」
「えっじゃあない なんしようとやて」
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