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民主党政権の対中国<前のめり>に懸念する米国世論(上)

2010年04月12日 16時11分18秒 | 英字新聞と英語の雑誌から(~2010年)


鳩山首相は、2010年3月30日に行われた米誌Timeとのインタビューで、「米国の言いなりにならない」「今までは米国の主張を受け入れ、従属的に外交を行ってきた」と強調したそうです。他方、支那の脅威に関しては「透明性が十分ではない、軍事力の急速な伸びを常に注視しなければならない」と述べつつも、「支那の人口は日本の約10倍で、いつか日本のGDPを抜くのは当然だ。経済的により良い日支関係を作る方が大事だ」と脳天気な発言をしたとのこと。

このような「米国からの離反-支那への接近」の主張を鳩山氏は、昨年年初から繰り返しており、今回のTimeとのインタビューに特に目新しいものがあるわけではない。けれども、「継続と積み重ねが外交の基本」であることを鑑みるならば、去年の政権交代の刹那、鳩山氏が打ち上げた所謂「東アジア共同体構想」が、すなわち、「日米同盟の棚上げ」と「東アジア太平洋地域からの米国のプレゼンスの逓減」を狙ったものではないかという不信感を拭えないまま今に至っている米国にとって、不信を確信にまた一歩近づけるものであることは確実。と、そう私は考えています。

鳩山民主党政権への米国の不信と苛立ち。すなわち、(同じく「反米-中立」を声高に標榜しつつも、外交の実務では米国へのそれなりの配慮を忘れなかった、苦労人のあの盧武鉉前韓国大統領とは逆に)、言葉では「日米関係は日本外交の基軸/日本にとって最も大事な関係」とリップサービスを欠かさないものの、普天間米軍海兵隊基地移転問題での不誠実・非合理・支離滅裂な対応に端的な如く、それらのリップサービスが、文字通り、リップサービスでしかないことが誰の目にも明らかな<鳩山首相とその不愉快な仲間達>に対するアメリカ世論の憤怒のマグマは最早地表近くまで浮上して来ているの、鴨。アメリカの世論はいつまでも鳩山氏に優しくはない、鴨。

もちろん、鳩山氏には悪気はないのかもしれない。米国を騙そうと思っているわけでは微塵もなく、まして、アメリカ世論の怒りのマグマを活性化させつつあるなどとは夢にも思っていないのかもしれない。

けれど、悪しき政治指導者を描写した次の名宰相チャーチルの言葉を反芻するとき、現実政治においては鳩山氏が、自己の言動に対する自己評価と他者評価の径庭が著しい、自己の責任を毫も認めず不成功の原因を状況と他者に転嫁する、すなわち、オバマ大統領に対して呟いた「トラストミー」に端的に露呈した如く、溢れんばかりの自愛に比べ他者への配慮に決定的に欠ける「無能=有害」な政治指導者であることは自明ではないでしょうか。少なくとも、鳩山氏の論理がとても論理とは言えない代物であることは明白であろうと思います。而して、ウィンストン・チャーチル卿、1930年代の英国の宥和政策を非難して曰く、

何も決定しないことを決定し、優柔不断でいることを決意し、
成り行きまかせにするということでは断固としており、
変心しやすいという点では頑固であり、全力を挙げて無能であろうとする。

They are decided only to be undecided, resolved to be irresolute,
adamant for drift, solid for fluidity, all-powerful to be impotent.
    

・鳩山<理系>首相の非論理性☆ゲーム理論から見た普天間問題
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59200260.html



蓋し、アメリカは無能もしくは不誠実、あるいは、その両方である鳩山政権に怒っている。そう感じざるを得ない、そんな、海外報道を目にしました。イデオロギー的な観点ではなく経済の観点から国際政治のパラダイム変動を考えた実に中庸を得た記事。小品ではあるが一読に値する。そう思い、以下、紹介します。出典はThe Philadelphia Trumpet magazineの”Japan Scoots Toward China-Fears in Tokyo fuel the trend.”「支那に急速に擦り寄る日本-日本を浮き足立たせている経済不振」(March 17, 2010)です。尚、鳩山民主党政権の「支那重視-米国軽視」の姿勢が世界で捲き起こしている戸惑いと不快感に関しては下記海外報道を紹介した拙稿を併せてご参照ください。


・民主党の狂気と純情
 ☆鳩山New York Times寄稿論稿紹介(壱)~(四)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/58602990.html

・「東アジア共同体構想」という鳩山首相が投げた<驚愕の波動>(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/58823884.html

・レディ「安全保障を巡り広がる日米の亀裂」紹介
 ☆国民を危険に曝しつつ<夢>と戯れる民主党政権(上)(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/58824703.html

・天まで舞い上がるか鳩山政権の中国片思い
 ☆民主党政権を見る海外の冷たい視線(上)~(下)
 http://blogs.yahoo.co.jp/kabu2kaiba/59197639.html






Japan is on the cusp of being economically overtaken by China, and the trend has infused its national mood with tension. The sense of weakness is compounded by Japan’s soaring national debt, a shrinking economy and a beleaguered Toyota—which once embodied Japan’s reputation for quality.

Last week, Financial Times columnist Gideon Rachman said that Japan’s reaction to its perceptions of internal weakness will have global ramifications. “The country’s size and strategic importance make it critical to America’s Pacific strategy and to China’s geopolitical calculations,” Rachman wrote. He went on to say that the ground is being prepared for Japan to form a “special relationship” with China. He also said that the early policies of Prime Minister Yukio Hatoyama’s government have confirmed the impression that “something is afoot.”

日本は経済規模でも支那に追い抜かれる寸前である。而して、経済的にも日本と支那とが逆転する動向が日本人の心理状態に緊張をもたらしている。日本社会を覆っている自信喪失の感覚は、止まることを知らない国の借金の増加と景気低迷、そして、かってはこの国が誇る信頼すべき品質そのものを体現していたトヨタが世界中で袋叩きにあっている状況に端的に現われているのだ。

先週、Financial TimesのコラムニストGideon Rachman氏は【3月8日付の” Japan edges from America towards China”「アメリカから離れ支那ににじり寄る日本」の中で】、内政問題を巡る自信喪失から日本が取る対応は地球規模で様々な波及効果を惹起させるにちがいないと述べた。「日本の経済規模と戦略的な重要性を鑑みるに、日本がこれから取る行動は太平洋地域におけるアメリカの戦略と支那のこのエリアでの地政学的な状況判断にとって極めて重要なファクターである」と、そうRachman氏は書いている。而して、支那との【第一次世界大戦前の日英同盟や第二次世界大戦後の日米同盟の如き】「特別な関係」を日本が形成するための基盤は整いつつあり、また、鳩山由紀夫首相の政権がその発足直後に表明した外交の指針からは、日本と支那との間で「特別な関係」が形成されるための「何事」かが水面下で進行しているという印象を誰しもが抱くほかない。と。そうRachman氏は述べている。
   

When Hatoyama’s Democratic Party of Japan (dpj) charged into power last August, it ended more than 50 years of nearly continuous rule by the Liberal Democratic Party (ldp). The dpj aspires to differentiate itself from the ldp in almost every stance, including in regard to foreign policy. In early March, Japanese Foreign Minister Katsuya Okada said that the ldp had followed U.S. foreign policy “too closely.” “From now onwards,” he said, “this will be the age of Asia.”

A look at Toyota Motor Corporation’s different approaches to its markets in the U.S. and China regarding its recent car recall illustrates Japan’s differing perceptions of the two countries.

昨年の八月、鳩山氏の民主党が政権を奪取するに伴い、50年間ほとんど途切れることなく続いてきた自民党の支配は終焉をむかえた。而して、民主党政権は、ほとんどすべての政策分野で自民党政権との違いを出そうと努めているのだけれど、外交政策もその例外ではない。三月上旬、日本の外務大臣、岡田克也氏は、自民党政権はアメリカの外交政策に「迎合しすぎ」だった。しかし、「これからは、アジアの時代だ」と述べている。

蓋し、今般のリコール問題に関して、トヨタ自動車がアメリカと支那の各市場に対して取った異なる対応を鑑みるに、現下の日本がこれらの両国に対して抱き始めている認識にははっきりとした違いがあると感じられる。
   


<続く>





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