英語と書評 de 海馬之玄関

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英文読解 one パラ道場:TPP参加はアベノミクスの論理必然の帰結である

2013年03月18日 18時57分51秒 | 英文読解 one パラ道場

今回のテーマはTPPです。そう、「Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement」または「Trans-Pacific Partnership free trade agreement」の協議への日本の参加を報じた記事。

尚、TPPに関しては、英語的というか、この協定の内容的には「Trans-Pacific」は「環太平洋」ではなく「間太平洋」と訳するべきだと思いますが、前者が訳語として定着していることもあり、本稿では、普通名詞のTrans-Pacificは「間太平洋」に、この協定の名称、すなわち固有名詞のTrans-Pacificは「環太平洋」と訳し分けることにしました。

б(≧◇≦)ノ ・・・頑張ろう日本!





Bid to Enter Trade Talks Marks New Phase in 'Abenomics'
Prime Minister Shinzo Abe plans to announce on Friday Japan's intention to join negotiations for an ambitious trans-Pacific free-trade pact, a move that launches the final—and possibly most important—phase of his economic agenda: long-term growth strategies.

The step will mark the beginning of a hard battle that will require Mr. Abe to take on his own political base, testing the resilience of his administration.

Emboldened by sky-high approval ratings and the initial success of his economic stimulus plan, Mr. Abe is expected to announce Japan's participation in the talks to form the Trans-Pacific Partnership, known as TPP.

Whether to join the emerging U.S.-led pact has been a contentious issue, pitting farmers and their representatives, worried about market-opening measures, against manufacturers and city dwellers, hoping for a fresh jolt to the economy to end a decadeslong slump. Highlighting such tensions in Mr. Abe's own Liberal Democratic Party, two members were caught on camera having a screaming match at one recent meeting held to discuss the pact.

"I think it is meaningful for Japan to play a leading role in creating such a free-trade zone, and make significant contributions to the region's prosperity and stability in a geopolitical sense as well," Mr. Abe said in a speech to parliament on Feb. 28.

The TPP is an important element in Mr. Abe's long-term growth strategy, which, in turn, is one of the "three arrows" that make up his policy package, dubbed Abenomics. Shortly after he took power in December, he successfully launched the first two arrows—aggressive monetary easing and massive stimulus spending—creating excitement in financial markets. The Nikkei Stock Average has soared 27% since his party won a mid-December landslide election, while the yen has weakened 15%.

"I will forcefully shoot the three arrows," Mr. Abe said in the late-February policy speech. "What we need is the will to climb up to the top of the world. I am convinced Japan can still grow."

Mr. Abe said his growth policies aim to sharpen the competitive edge of Japanese corporations, and focus on areas such as employment reform, clean energy, medical care and agricultural exports. He has appointed panels of experts and given them the task of crafting a full growth blueprint by midyear.

Critics of Abenomics say that except for the TPP, Mr. Abe's ideas aren't so different from those tried by his predecessors, with limited or no success. Even then, Japan's admission to the trade group isn't guaranteed. Mr. Abe must secure consent from participants in the talks, such as the U.S. and Australia, which have raised concerns about Japan's protectionist agricultural policy.・・・


(435 words)

【出典:Wall Street Journal, March 14, 2013】





【語彙】
bid to-V:~ しようとする企て(cf. 「in a bid to-V:~しようとして), mark:表す/特徴づける, phase:局面/段階,

ambitious:野心的な/大がかりな, trans-Pacific free-trade pact:環太平洋パートナーシップ協定(この協定(the pact)の正式名称は「Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement:間太平洋戦略的経済連携協定」(「間太平洋」は「環太平洋」の誤植ではありませんよぉー!)。また、海外メディアではこの協定の要である「貿易」に力点を置いて「Trans-Pacific Partnership free trade agreement」と意訳されることもあります), move:手段/措置, economic agenda:行動の具体的指針/協議予定事項,

take on: 対戦する, resilience:弾力性/強靱さ, his administration:安倍政権

Embolden:大胆にする/励ます/背中を押す, approval ratings:支持率, economic stimulus plan:契機刺激策, the Trans-Pacific Partnership(known as TPP):「TPP」と呼称されている間太平洋地域の連携枠組み,

emerge:所の正体や全貌が明らかになる, contentious:論争の的になっている, pit sb against:~に対して・・・を対抗させる/戦わせる, measures:手段/措置(cf. 「take measures」で「措置を取る」), jolt:急激な動揺や変動, Liberal Democratic Party:自由民主党, catch sb Vp-ing:~が・・・しているところを目撃する, scream:声を張り上げて抗議する,

meaningful:意味のあること, prosperity and stability:繁栄と安定, in turn:同様に, make up:組み立てる/構成する, dub:あだ名で呼ぶ, monetary easing:金融緩和(cf. 「金融緩和政策:easy monetary policy」、他方、「金融引き締め(政策)」は「monetary tightening」や「tight monetary policy」), soar:急上昇する,

forcefully:効果的に/有効に作用するべく, policy speech:首相の所信表明演説(正式には「the general policy speech held by the Prime Minister of Japan at the opening of a Diet session」), convince:確信させる/納得させる,

sharpen:改善する/洗練する, competitive edge:競争上の優位性, panel:委員会, blueprint:詳細な実施計画, predecessor:前任者(cf. 「successor:後継者・後任者」), secure:確保する/了解等を取りつける, protectionist agricultural policy:保護主義的な農業政策




【読解躓きの石】
政治記事の頻出単語の意味を確認しておきましょう。
「国会・議会」を意味する英単語です。
上に紹介した記事の中で著者はparliamentを用いていました。
これです。

"I think it is meaningful for Japan to play a leading role in creating such a free-trade zone, and make significant contributions to the region's prosperity and stability in a geopolitical sense as well," Mr. Abe said in a speech to parliament on Feb. 28.

(「TPPがその実現を期しているような自由貿易圏を創造する上で指導的な役割を日本が果たすこと、よって、地政学的観点においてはこの間太平洋地域の繁栄と安定に目に見える形で貢献することは、それは日本にとってやってみるに値することではないでしょうか」、と。2月28日に国会で行った施政方針演説で安倍総理はそう述べた)

ドイツ法を継受した国の「議会/国会」は大体において「diet:der Tag」と言い、中世のフランス法の影響を受けた諸国では、よって、ノルマンコンクエストにより英国も「議会/国会」は「parliament」と呼びます。そして、歴史的特殊事情からアメリカ大陸諸国は南北とも一般に「congress」で「議会/国会」を表します。蓋し、ここで「diet」ではなく「parliament」が用いられているのは、このWSJの記事の著者には、おそらく、dietという単語はそう親しいものではなかったか、少なくとも、WSJが建前上にせよ主要な読者として想定しているだろう一般のアメリカ人には「diet」は通じない可能性があると著者が危惧したの、鴨。と、そう私は考えています。

ちなみに、「diet」は中世ラテン語の diete に由来する言葉。そして、その diete は、普通名詞「dies:日」(day:der Tag)が抽象名詞化した言葉で「一日がかりの旅、仕事、執務、・・・」を意味していました。ドイツ語では、「議会-国会」を der Reichtag, der Bundestag(kingdom's Diet, Federal Diet)と呼んでいますが、これは、神聖ローマ帝国時代の諸侯・聖職者会議が 「diete:一日がかりの旅・仕事・執務」と呼ばれていたことに由来します。今の我が国では国会はおおよそ「1月~7月」の通常国会と「9月~11月」の臨時国会で併せて、約8ヵ月、240日ほどの仕事ですから「一日がかりの仕事」というよりはヘビーなはずですが、安倍政権になっての自民党議員の獅子奮迅の働きは称賛に値するとしても、民主党政権時代の3年間に与党議員がそう働いているようには私には見えませんでしたけれどもね。

(ノ-_-)ノ ~┻━┻・..。





もう一つ、「他方・・・」という表現を確認しておきましょう。
真ん中くらいのセンテンスに出てきていました。
whileとwhereasの使い分け、これです。

The Nikkei Stock Average has soared 27% since his party won a mid-December landslide election, while the yen has weakened 15%.

(安倍首相率いる自民党が12月中旬の総選挙で地滑り的勝利を収めて以降、日経株式平均は27%も値上がりし、他方、円は15%もの円安水準に移行した)

whileとwhereasも、「一方では・・・」だけれども「他方では・・・」という構文で用いられる従属接続詞です。日常会話ではwhereasの方が些か文語調と言えなくもないですが、普通は互換性があると言えばあるとも言える。しかし、厳密に言えば、

while:共起表現
whereas:対比表現

つまり、上の例文のように、「株価も上がり」「円安も進む」という「好ましいこと」に関しては、どちらも使えなくはないのですが、逆に、「株価も上がり」しかし「円高が進む」とかの「好ましいこと」と「好ましくないこと」を連ねる場合には、寧ろ、whereasの方がナチュラルなワードチョイスである。と、そう言えると思います。ただ、この点、全員大学院卒のアメリカ人とカナダ人、英国人の同僚、合計8人に聞いたところ、「そうは思わない」という少数意見(dissenting opinion)が3名いましたから、<微妙>でしょうか。

ヽ(^o^)丿


本ブログ記事で使う準動詞用の記号ももう一度掲げておきますね。

◎準動詞のKABU式表記
・原形不定詞:ba-V
・to不定詞:to-V
・不定詞:INFまたはinfinitive(←そのまんまやん!)
・動名詞:V-ing(g)またはVg-ing
・現在分詞:V-ing(p)またはVp-ing
・過去分詞:V-pp
・分詞:Vp






【和訳】

貿易交渉への参加表明は「アベノミクス」を更に一歩前進させる
安倍晋三総理大臣は、金曜日【2013年3月15日】にも、アメリカが主導している間太平洋圏における大胆な自由貿易協定を具現するための協議に日本も参加する意向を表明する。而して、その表明は、安倍首相が掲げている経済政策の最終にしておそらく最も重要な局面、すなわち、長期的な成長戦略に安倍首相が手をつけることに他ならない。

而して、間太平洋圏の自由貿易協定への日本の参加表明は、自身の政治力の基盤との対決が不可避な厳しい戦いを安倍首相が「喧嘩上等」と選択したことを意味することになろう。この自身の支持勢力との戦いを通して、安倍内閣の強靱さとしなやかさもまた試されるのだろうけれども。

極めて高い内閣支持率に支えられ、加之、初手として放った景気刺激策が上々の滑り出しに背中を押されて、安倍首相は、TPPと呼ばれている環太平洋パートナーシップ協定を立ち上げるための交渉への参加を表明する。

その発効が目前に迫っているアメリカ主導のこの間太平洋圏の経済協定に参加するかどうかについて、日本では国論を二分する鋭い意見の対立がある。この争点を巡り、市場の自由化を危惧する農家やその利益代表と、他方、十年以上も続く経済の低迷を打破する新鮮な一撃を期待する製造業者や都市住民はがっぷり四つのガチンコ勝負の様相に入っているのだ。この火花飛び散る対立を象徴する事件が安倍首相率いる自由民主党の党内でも見られたくらいなのだ。すなわち、この協定を議題にした自民党内の最近の会議で、賛成派と反対派の二人の議員が激しく罵りあう絵柄をばっちりカメラがとらえたのだ。

「TPPがその実現を期しているような自由貿易圏を創造する上で指導的な役割を日本が果たすこと、それは、単に地政学的観点においては間太平洋地域の繁栄と安定に目に見える形で貢献する以上の意味を帯びる、日本にとってやってみるに値することではないでしょうか」、と。2月28日に国会で行った施政方針演説で安倍首相はそう述べた。

TPPは安倍首相の掲げる長期成長戦略の成否を分かつ重要な要素である。安倍首相が推進している経済政策は、巷ではアベノミクスと呼称されているものだけれども、そのアベノミクスは「三本の矢」によって構成されており、そして、長期成長戦略こそその「三本の矢」の1本なのだから。去る12月に政権奪還をするやいなや安倍首相は立て続けに最初の2本の矢を放つ。すなわち、積極的な金融緩和と相当な規模の財政出動だ。而して、この2本の矢の成果は上首尾であり、金融市場はこれらの措置によって活況を呈して現在に至っている。安倍首相率いる自民党が12月中旬の総選挙で地滑り的勝利を収めて以降、日経株式平均は27%も値上がりし、他方、円は15%もの円安水準に移行したのだから。

「三本の矢を力強く、かつ、効果的に射込みます」。安倍首相は2月末の施政方針演説でそう述べた。「ひたすらに世界一を目指す気概。それこそが我々に必要なものであります。そういう気概を日本が失わない限り、そのような気概を懐く日本国民がいる限り、日本はまだまだ成長できる。そう私は確信しています」とも。

安倍首相は、安倍政権の成長戦略は日本企業の国際競争における比較優位性を更に鍛え洗練するものであり、加之、それは雇用形態の変革、化石燃料に頼らないクリーンエネルギー、医療、そして、輸出主導型の攻めの農業の創出といった領域に特に重点と目配りをするもであると述べている。而して、安倍首相は専門家による幾つかの委員会を立ち上げ、各委員会の専門家に対して、今年の半ばまでには総合的な成長施策の詳細かつ具体的かつ体系的な実施計画を策定するように厳命している。

アベノミクスに批判的な口だけ達者な批評家の中は、TPPへの参加を見送るようなら、安倍政権のこの経済政策は、その効果もほとんど測定できない程度の限られた失敗に終わった、安倍首相の前任者が掲げた経済政策とそう変わるものではないと見るむきもある。他方、TPPへの日本の参加が認められるかどうかは、しかし、予断を許さないものでもある。日本がTPP協議に参加するためには、すでにこの協定の立ち上げにむけた協議に入っている国々、例えば、アメリカやオーストラリアの了承が必要なのだから。而して、これらアメリカやオーストラリアは、日本国内における保護主義的な農業政策に対する警戒感を露わにしているのだから。・・・

б(≧◇≦)ノ ・・・安倍首相、頼むぞ~!
б(≧◇≦)ノ ・・・安倍首相、断固支持!




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