晴朗無上

日々の出来事など

314 「ある秘密」

2008-10-23 21:28:00 | Weblog
「ある秘密」

野崎歓さんの訳ということが読む動機にはなったけど、
読んでみると、とてもおもしろい。

「おもしろい」というのは、「楽しい」とかという意味でなく
「とても深い感動がある」というかんじかな。

第二次世界大戦のときの、フランスとドイツの関係って、
くわしくはわからないけれど、フランス国内で、
ユダヤ人が迫害され、でもそのフランスの中でも、
安全なところと、危険なところがあるというのは、
知らないことだった。

悲惨な戦争の中でも、フランスらしい「愛」がからんでくる。
物語の最後は、戦争もおわっているんだけれど、
とても憤りを感じるような、犬のお墓のことがでてきて、
ほんとに、戦争っていうどうしようもない、憎むべき事態を
なんとかできないか、そんなふうに思う小説だった。

ところで、Polnareffは、ユダヤ人ということらしいので、
こういう小説は、どんな感想を持つのだろう?
南フランスの小さな町で生まれたというのは、
そこがユダヤ人にとって、「安全な土地」だったのだろうか?
Polnareffはこの小説を読んだのだろうか?
あれこれ考えてしまう。

フランスの高校生は、この小説を
「高校生が選ぶゴンクール賞」に選んだという。
フランスの高校生、やるな、と思った。

この本が読めて、とても良かったと思う。
歓さんに、感謝!