◇juri+cari◇

ネットで調べて、近所の本屋さんで買おう!!

飛鳥部勝則さん『堕天使拷問刑』

2008-05-08 00:25:31 | 読書
先日来、不穏をまとう本が続きますが、飛鳥部勝則さんの『堕天使拷問刑』


突然の事故で両親をなくし、地方に住む母方の実家に引き取られた主人公・如月タクミ


しかし、転校初日、自己紹介の挨拶をした彼にめがけてナイフが飛んでくる


次第に明らかになる母のよからぬ噂、リンチまがいの悪魔祓い「ツキモノハギ」、魔術崇拝者だった祖父の異様な死

警察や法律は名ばかり、因習と迷信が支配する田舎町での怪奇に満ちた日々。




学園もの、オカルト、恋愛、猟奇、ジュブナイル、

とサービス満載。(←これを「ディクスン・カー+ボーイ・ミーツ・ガール」と評する帯はすごく的確!!)

見せ場もあちこちにありますが、個人的には第3部7章「出現」~8章「崩壊」

ヴェルディのレクイエムを聴きながら読むのがピッタリな

正真正銘のカタストロフィ。


場面としても大好きなのですが、これだけのカタストロフィを最後に持ってこなかった構成はスゴい。

ミステリーがカタストロフィだけで終われる時代はもはや過去なのかもしれません


本作の特徴の一つと言えるのが、

イザナギ・イザナミとヒルコ、天使ミカエルとサタン、アモン、魔方陣など

中学生とは思えぬほどディープなオカルト話。

ここまで詳しいかなぁ~~と、苦笑いしてしまいますが

オカルトを真剣に語るのが許されるのは中学生の特権なので(←これ以降はただの危ない人)、少し羨ましく、そして懐かしくなりました



また、タイトルからも想像が付くように、本作には暴力的で残酷・猟奇なシーンや

かなりヘンタイ度の濃い場面(SM、獣姦、○○)があります。

が、おそらく文章や作品の「湿度」が低いため、不快になることなく読むことができました

これはすごく嬉しい


もちろん、「ジュブナイル」「恋愛小説」の側面もおざなりではなく

甘酸っぱい箇所は、恋愛小説不感症の私(←ただし「セカチュー」で号泣)も、思いがけず胸が痛くなりました



……つまりは大好きなんです、この本

あちこちから漂うB級やパロディの雰囲気


善と悪、法と違法の境目すらあいまいな登場人物の造形も


ミステリーとホラーの融合の仕方も


なにからなにまで、大好きです
最後に、

作品で重要な役割を果たす「絶対零度」の美少女・江留美麗


表紙の絵も、この少女だと思いますが


月をバッグに立つ、絶対零度の少女って

綾波レイが原型としか思えないんだけど………

クライマックス(440ページ)での衣装なんて、かの有名な衣装………のはずですが


実際はどうなんだろう



と気になって、表紙の絵を手がけている『PARADISE"D"』のホームページをみますと

アダルトな同人誌を書いてる方で、少々ビックリしました