333ノテッペンカラトビウツレ

 奇跡は 誰にでも 一度おきる だが おきたことには 誰も気がつかない

余命90秒の花嫁

2009-04-18 03:02:14 | SP(Standard Program)
●いつもは携帯でご覧になっている方も、今回のエントリーだけは是非とも自宅か会社のコンピュータで動画と一緒にお楽しみください。

●映画館に行くとたいていの場合、始まる前に予告編が流れます。基本的に筆者は「その映画がどのような内容か」は事前に説明してもらう必要はないし、可能な限り知りたくはないので、まぁ、観ないに越した事はないのですが、実際に劇場に行けばあれだけ大きな画面で、あれだけデカい音で延々と流されるので何とはなしに観ることになります。基本的に予告編というのは(違う場合もありますけど)映画の映像を何秒間かずつ抜粋してナレーションやテロップなどを盛り込みながら、映画の概要を紹介して「な、お前ら、この映画が気になるだろ?続きが観たいだろ?だから金払って観に来なさいな」と語りかけてきます。なので、当然ですが、映画のキモになる部分は見せません。見せたら金取れないから。

●で、今日はまずこの動画をご覧ください。動画を観ていただかないと、この先の文章の意味がわからんと思います。それでは、筆者が先日、映画館で観た『余命1ヶ月の花嫁』という映画の予告編です。



●最初に映画館でこの予告を観た時の衝撃は今でも忘れられません。この予告の内容をザックリとまとめると、カップルが仲良さそうにしている→女が「ガン」になった→男は「俺は別れねぇ」→男、女を迎えにいく→闘病生活が始まる→余命1ヶ月宣告→結婚式があって男が女に「お嫁さんになって」という→女、泣く……って、これさ、もしかして映画の内容のダイジェストじゃねぇ?いや、俺はこの映画の全編をまだ観てないんだけどさ、これより後の展開ってないだろ?余命1ヶ月なんだけど花嫁になった→突然、空から大量のカエルが降ってくる!とかだったら俺はこのブログで謝罪するよ。でも、この映画、おそらくこの予告以上のこと起こらないよね?つまりこれって約2時間の映画を90秒にまとめてるんだよ!

●実は最初、この予告を観た時から「これって何かに似てるな」と思ってたんです。で、昨日「そうか、あれに似てるのか!」と思い出しました。しつこいですけど、今日は動画を観ていただくのが重要ですので、お手数ですがどちらもご覧ください。参考動画その2です。



…要はさ、あの予告編ってマルコの動画と同じだよね。

●この映画の予告が含んでいる大きな問題はふたつあって、ひとつは「映画会社は事前に観客に内容のすべてをバラさないと、客を引っぱれない」ということ。もちろん、この映画は高視聴率を記録したTVドキュメンタリーが基になっているので、話の内容を多くの人が知っているわけですが、それでも「TVで感動したあの場面は映画版ではどういう風に描かれているんだろう?」が客の引っぱりどころじゃないですか。それを90秒であらかた見せてしまう状況にまで日本の映画界って来ているんです。そしてもうひとつの問題は、今では観客は「完全に内容を把握している映画しか楽しめない」ってことです。実はこっちの方が問題。当たり前の話ですが、映画も本も音楽も本来は「自分でふれて」みないことには全貌がわからないものじゃないですか。だから「金払って損した!」とか「時間もったいないことした」なんてことがある一方で「予想以上、期待以上の素晴らしい作品だった」ってこともあるわけです。でも、この予告観て、映画観てもさ…いや、別に映画って物語だけを楽しむものじゃないのはわかってるんだけどね。映画ってここまで「堅い保証」を必要とするメディアなんだなぁと思うと何だか恐ろしいわけですよ。

●そのうち、すべての映画は「全長版(約2時間)」と「短縮版(90秒)」ができる時代になるかもね。で、勇気とチャレンジ精神のない人は90秒版を観て「よし、これなら確実に泣ける」というものだけ金払って観る。これ……単なる空想じゃない気がする。