もう何年も前の話。
ある生徒が
入塾してきました。
中2の秋くらい
定期テストで
200点台前半を連発し
「もういよいよヤバイ!」
ということで、
塾の門を叩いてくれました。
とても明るく、
とても要領の良い子でした。
その子の
苦手教科や苦手単元を把握し、
その部分を埋めるべく、
徹底解説
そして
できるようになるまで
プリント爆撃!
教科書を
何度も何度も音読させ
本文は完全暗記!
そしてテスト直前には
予想問題を作り
それも満点取るまで
反復!丸つけ!反復!丸つけ!
結果、
2年の3学期
その子は
450点まであと少し!
というところまで
上がりました。
僕は自分の指導力を
確信しました。
その子は
受験を待たず、
塾をやめました。
あんなに
点が上がったことを
喜んでいたのに。
「先生!
また次も予想問題、
よろしくね!」
と笑顔で言っていたのに。
その子は
450点手前まで
行ったあと
少しずつ、
遅刻したり
欠席したり
することが増えてきた。
授業中も
以前のような
明るさがなくなっていった。
テスト前になると
「先生!
またお願いします!
予想問題も!!」
そう言ってくるのは
変わらなかった。
しかし
少しずつ、
その子は
負荷を嫌がるようになった。
「この予想問題だけ
覚えれば
80点はとれますよね?」
とか言うようになり・・・。
何か違う・・・
僕はそう思うようになり、
そして
「勉強のやり方は
これまでやってきたから
分かるよね?
今度は
自分の力でやってごらん」
そう言うようになって
また数回の定期テストを乗り越え
その子は
また200点台になり
そして辞めていった。
高校は入るには入ったが、
中退した、と
風の噂で聞いた
いろんな後悔がある。
いろんな
「たられば」を
考え尽くした。
何が正解だったのか。
定期テストの点を
報告してくる子たちの
顔を見ていると
たまに思い出す時がある。