次世代総合研究所・政治経済局

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フランス第三の道

2007年03月23日 19時50分43秒 | Weblog
http://www.ft.com/cms/s/826fccca-d81b-11db-9c85-000b5df10621.html">
(フィナンシャル・タイムス3月22日電子版)

 フランス大統領選の重要な競争者フランソワ・バイルの出現は、魅力的で予想外のキャンペーンぶりでこの数週間驚くべき進展を見せ、フランス民主主義の中道右派のリーダーは火付け役どころではなくなった。

 彼の存在は貴重なもののパフォーマンスは平凡である。 ただし真の中道主義者としてサルコジ、ロワイヤル両候補に代わる安心を与えるように見える。

 フランスの有権者は変化を求めると同時に変化を恐れてもいる。彼らは安心も欲しているのだ。この安心こそバイルが提供しようとしているように見えるものだ。世論調査は彼が容易に勝利者になる可能性も示唆している。

 有権者はフランス経済の低迷を知っている。失業者は非常に多く、持てる者と持たざる者との分断は危険なものとなっている。フランスは国家の過剰な関与と企業精神の過小さに悩まされている。

 フランスは変化を支持しグローバルな競争を歓迎し、自信を回復する必要がある。シラクはこの12年、改革を約束しながらそれをしないことの連続だったように見える。

 サルコジは大統領への意欲は過剰で、変化と改革を提案しているが及び腰のところがある。サルコジの国家アイデンティティは右派にはアピールするものだが中道主義者には危険に映る。

 ロワイヤルは魅力的な選択肢を提供しているように見える。 しかし彼女の参加型民主主義は明確な政策を作り出すことに失敗し、彼女は社会党の古いドグマの擁護と拒絶の間で揺れ動いている。

 バイルは右派でも左派でもない。パリのエスタブリッシュメントに対してはよそ者であり、古きフランスの価値-敬虔なカトリック信仰、農業への従事、親欧州-を体現するピレネー出身の田舎者である。

 彼の政党は議会で多数派を形成する見込みはないので連立政権を提案している。彼が欲しているのは弱い大統領府と強い議会、自律的な財政と小規模ビジネスへの支援である。

 その抱負は尊敬に値する。しかしバイルはコンセンサスのためにあいまいな提案をすべきではない。 彼に必要なのは包括的な経済プログラムであり、公共サービス改革への明確なビジョンだ。

(以上FT抄訳)

 今ひとつ魅力に欠けるサルコジ、ロワイヤル両候補に代わるダークホースが漁夫の利を得そうだ。 当選する可能性が高いとは「第三の男」の出現から目が離せない。

潘基文あやうし

2007年03月23日 03時28分57秒 | Weblog
国連事務総長の潘基文(パンキムン)がイラクのマリキ首相と会見をしている時、突然100メートル先に爆弾が落ち、会場は激しく揺れて潘基文は思わず身をかがめた。(BBCニュース)
http://www.bbc.co.uk/

 BBCでは繰り返し映像を流しているが、落ちたのは迫撃砲かロケット弾で、記者会見場からわずかに100メートルだった。

 潘は一瞬身をかがめたが、その後も怯えた様子だった。マリキ首相は平然としていた。両名に怪我はなく会見を続けたが、潘らの頭上には天井から細かな破片が降ってきた。

 今回の攻撃はバグダッドで各国外交官や米軍が滞在する国際ゾーン(グリーンゾーン)
を標的にしていた。

 今回の訪問は潘にとって事務総長として初めてのもので、事務総長としては2005年のアナン以来。アナンは2003年8月にバグダッドの国連本部が爆破され、デメロ大使ほか21名が死亡して以来職員を引き上げている。

 (以上BBC抄訳)

 映像でも会場が激しく揺れる様子が分かった。今回の攻撃も潘基文を狙ったものなのだろうが、事務総長が万一死亡したらどうなったろうか。

蒋介石と訣別する台湾

2007年03月23日 01時06分19秒 | Weblog
 台湾ではすでに陳水扁総統の方針で「中正国際空港」を「台湾桃園国際空港」に名称変更するなど蒋介石(「中正」の蒋介石の別名)離れが起こっているが、ついに「中正祈念堂」にもその流れが押し寄せたようだ。(エコノミスト最新号より以下抄訳)
https://www.economist.com/world/asia/displaystory.cfm?story_id=8861553

 今週、蒋介石像を軍事基地から撤去したために国防相(國防部部長)の李傑は国民党を除名された(与党は民進党だが国防相は国民党から任命していた)
http://www.ey.gov.tw/ct.asp?xItem=4579&ctNode=16&mp=1

 台湾では蒋介石の治世は正当に検証されていない。独立を志向している民進党は、2万8千人が殺されたといわれる2・28事件60周年を期に蒋介石批判を強めている。その一環として民進党は巨大な蒋介石像のある「中正祈念堂」を「台湾民主主義記念堂」改称し、 この聖域の周囲の壁を撤去する案を発表した。すでに先月、国営企業が「中華」の名称を外している。通りの名からも蒋介石の痕跡は払拭されているし、硬貨から蒋介石の像を撤去する構想もある。

 与党民進党は12月の国会選挙や3月の総統選挙を前に政治的姿勢を明確にし、2・28事件を内省人と外省人との衝突として位置づけることで台湾の古傷をえぐるのみならず、中共政府をも不安にさらす。中共政府は蒋介石とは不和だったが、台湾が蒋介石の遺産と決別することで中国本土とも決別することは彼らの懼れるところなのだ。