次世代総合研究所・政治経済局

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「慰安婦」問題に関する安倍首相の発言に関するFT記事

2007年03月07日 23時36分43秒 | Weblog
いわゆる「慰安婦」問題に関する安倍首相の発言に関する問題についてFTは下記のように報道した。(以下抄訳)
http://www.ft.com/cms/s/1445c47e-cb88-11db-b436-000b5df10621.html

~安倍、戦中の性的奴隷に関する発言で国家関係を危険にさらす~

安倍首相は、日本政府は旧帝国陸軍が数万人のアジア女性を性的奴隷として使用した件につき再度の謝罪をする意思はないと述べた。

 アジア近隣諸国や米国との関係改善の可能性もあった国会で、安倍首相は米国議会の非難決議を批判した。

 安倍首相は「決議は客観的事実に基づいていない。なぜなら「慰安婦」は直接売春を強要されたわけではないからだ。」と述べた。

 塩崎官房長官によると、安倍首相は93年の謝罪に固執しているという。これは、「広義の意味で」強制があったことに対し日本政府は認識し謝罪したものだ。

 安倍氏も含めた日本の右勢力は、日本軍は性的奴隷を業者を介して集めたが直接の強制であったことは否定している。

 東京のテンプル大学のジェフレイ・キングストン教授は、「今回の出来事はクリントン米国大統領がモニカ・ルウィンスキと「性的関係」はなかったと述べたことを想起させる。言葉の定義の問題で抜け穴探し( legalistic loophole )をするのはうまい対処とはいえない」と述べる。

 同教授は、日本が組織的に大規模かつ空前の規模で性的奴隷を集めたことは疑いがないという。一方、日本の歴史学者の中にも慰安婦は市場の必要性に応じて自発的に売春をしただけだという者もいる。

 ソウルの延世大学教授で政治・外交が専門の楊教授は安倍氏の発言は小泉前首相の靖国神社参拝以上に韓日関係に悪影響を与えると述べる。「首相の不適切な発言は日本政府は韓国、中国、その他のアジア諸国との関係改善を望んでいないということを示している」

 韓国通商外交省はすでに先週、同様のコメントに対して強い遺憾の意を表明していたが、このような首相の態度は93年の謝罪の真摯さに疑いを抱かせるものだとした。

 ネグロポンテ国務副長官は金曜日、日本政府のアジア慰安婦問題の扱いを「実に遺憾」(most deplorable)と述べた。


(以上、FT6日電子版からの抄訳)
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 ちなみに英国のFT(フィナンシャル・タイムス)紙は、防衛庁が防衛省に昇格した際にはわざわざ社説(7年1月9日電子版)で「日本の新防衛省は脅威にあらず」(Japan's new military ministry is not a threat)と題し、「安倍首相は日本がよき国際市民として平和維持や地域安全保障に一層関与するという、より現実的な平和主義へと踏み込んだ。現に中国もこのことで日本を脅威としたり自国の防衛力増強の口実にしてはいない」と評価した新聞である。
http://search.ft.com/ftArticle?queryText=new+military+ministry+is+not+a+threat&y=3&aje=true&x=22&id=070109001420

中共、台湾独立絶対阻止の態勢固める

2007年03月07日 02時13分05秒 | Weblog
中共政府発表の「控えめな」数字で軍事費伸び率が18%になっていることが明らかになった。
http://www.iht.com/articles/2007/03/04/news/beijing.php

 今年の軍事予算は3500億人民元(45億ドル=5兆3千億円)というこから、公式にも中国の軍事費は日本を追い抜いたことになる。現在人民解放軍の兵士は230万人、日本の実に10倍である。

 ところで、実際の中共軍事費は公表の3倍にも上るというのも国際的な専門家筋のもはや常識(このブログの読者の常識?)になっている。

 このニュースは中国の全国人民代表大会(全人代)で公表されたものなのに、なぜか日本のマスコミはあまり大きく取り上げない。全人代といえば日本の能天気なマスコミは個人財産保護法の制定を大きく取り上げているが、こんなのは「赤い資本主義国」にとっては当然の流れで、大したニュースではなかろう。(補足:讀賣だけは取り上げていたhttp://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070304it12.htm)

 とりわけ注目すべきは、今回の発表に際して「陸軍の装備向上と台湾独立阻止のため」軍事費増加が必要というコメントを殊更加えていることだ。台湾独立阻止の意味は「米国の介入阻止」ということであり、そのための軍備増強ということになればそれこそ金額は青天井ということになるだろう。今後とも注視する必要がある。