次世代総合研究所・政治経済局

現代の日本および国際政治経済に関する隠れた視点を、国内のどのメディアよりも早く提供するページです

中国の密かな北朝鮮支援

2006年10月31日 11時40分33秒 | Weblog
中国の主要銀行が対北朝鮮で金融包囲強めるとの国内報道があるがエネルギー源に関しては別扱いのようだ。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061027AT2M2602226102006.html
http://www.iht.com/articles/2006/10/24/bloomberg/sxore.php

 IHT24日電子版によれば、中国・北朝鮮国境のNanpingでは毎日40トン車45台の往来による1800トンの鉄鉱石の交易が現在も行われているという。 鉱石は豪州を除くとアジア最大の鉱山Musan産という。

  Musan鉱山は中朝国境にあたる豆満江から10キロ足らずに位置、吉林省のトンホア・スティールは2007年に550万立方トンの鉄鋼生産を計画し、北朝鮮と共同で30年から50年間鉱山開発をすることとなっている。

 豪州鉄鉱石価格の高騰もあり、目下オリンピック開催に向けて建設ラッシュにある中国にとって北朝鮮産鉄鉱石は垂涎の的ということらしい。中国最大の鉄鋼メーカーBaosteel Groupは6月に19 パーセントの鉱石の値上げを呑んだ経緯もある。これによる北朝鮮の外貨獲得高は3500万ドル、精錬は吉林省内で行われるようだ。


しかし、昨年の中国の鉄鉱石輸入量は32%増の2億7500万トンであり、それに比べれば先述の日1800トンはたいした量ではない。

 北朝鮮の貿易額は98年の16億ドルから05年には44億ドルへ3倍増しているが、北朝鮮から中国への輸出は魚介類、被服、鉄鉱石、石炭で貿易額の3分の2は石炭と鉄鉱石という。そういう意味ではやはりこれは「隠れた朝鮮支援」になっていることは間違いないだろう。


.

文化審議会の不可解な答申

2006年10月25日 00時24分21秒 | Weblog
敬語を5分類にするという指針案を文化審議会(国語分科会)が示したという。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20061024AT1G2302T23102006.html

 報道によると、丁寧語、尊敬語、謙譲語の3つに分類してきた敬語を「美化語」と「謙譲語2(丁重語)」を加えた5分類に細分化するという。

 この結果、「申し上げる」「伺う」は「謙譲語1」に「参る」「申す」は「謙譲語2(丁重語)」になるとのことだ。

 また、丁寧語は、文章の語尾に「です・ます」をつける「丁寧語」と、「お酒」「ご祝儀」のように物事を美化する「美化語」に分けるという。

 
 しかし私にはどういう基準でこうした「思いつき」が出てきたのかさっぱり分からない。理屈に合わない分類はやめるべきだ。丁寧語のほうはまだいいとしても謙譲語については全く理解に苦しむ。結局、れでは児童・生徒には「丸暗記しろ」と指導するしかなくなるだろう。

 もし謙譲語を分類するなら美化語的謙譲語(「ご案内する」「お読みする」)の方だろう。
 
 国語の権威?が多数集まっていったいナニを審議しているのか、と思ったらこんな人物たちだった。
http://www.bunka.go.jp/1aramasi/main.asp%7b0fl=show&id=1000001208&clc=1000011181&cmc=1000011559&cli=1000011561&cmi=1000011318%7b9.html

 このなようなメンバーに審議会委員報酬を払うのは税金のムダ遣いである。審議会も廃止したほうがいい。


ディープインパクト即引退か?

2006年10月19日 23時48分27秒 | Weblog
 3位だったディープインパクト、凱旋門賞失格の可能性が出てきた。
http://www.asahi.com/sports/update/1019/109.html

 日本中央競馬会(JRA)はディープインパクトから欧州で禁止されている薬物イプラトロピウム(気管支拡張剤)が検出されたと発表した。処分はフランスギャロの審査委員会が下す。イプラトロピウムは日本では禁止薬物に指定されておらず、国内での出走には問題がないという。

 しかし、これまでの成績もイプラトロピウムのせいだったとすれば、すでに51億円とされた種牡馬としての価値が下落する可能性はないのだろうか。次に予定されている天皇賞の出走で不本意な成績になったとすれば尚更だ。

 それにしても、JRAはイプラトロピウムが日本で禁止されていない理由について「一般に流通していないから。」とこれまた驚くべき役人答弁。

 それでも実際に凱旋門賞で失格になれば、素知らぬ風で出走させるというわけにはいかなくなるのではないか。

 競馬場に国会議員(関係者)のための指定席を常に確保しているJRA、政治筋からの圧力にはからきし弱そうだが、「李下に冠を正さぬ」ためにも馬主自らが自主的にディープを引退することが彼らのためでもあるだろう。

チャベスの誤算

2006年10月19日 15時22分47秒 | Weblog
国連の安全保障理事会の中南米・カリブ海枠の非常任理事国の最後の座を賭けた闘いが続いている。
米国の宿敵ベネズエラと親米グアテマラである。
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20061018AT2M1800Q18102006.html 
http://www.ft.com/cms/s/7a653bb4-5e45-11db-82d4-0000779e2340.html
http://www.ft.com/cms/s/fbdecf9c-5f0e-11db-afac-0000779e2340.html
http://www.iht.com/articles/ap/2006/10/18/news/UN_GEN_UN_Latin_America.php
http://www.iht.com/articles/2006/10/17/news/un.php

 国連総会では22回投票を実施したがグアテマラ102、ベネズエラ7と結論が出ず、中南米・カリブ海諸国が18日協議したが密室協議中の地域32カ国にも事態打開の道筋は見えてこないようだ。投票は19日に再開される。

当選には総会(192カ国)の3分の2以上の支持が必要だが、ベネズエラのカルデナス国連大使は「我々は兄弟(グアテマラ)と闘っているのではなく世界の覇者(米国を示唆)と闘っている」と6回目の投票だけだが、一瞬グアテマラとタイになったこともあり意気軒昂だ。

 実はこうした苦戦はチャベスには予想外だったされる。FT紙(19日電子版)の解説は今回の投票で各国に飛んで票を依頼したチャベスへのダメージは大きいとみる。チャベスの政治スタイルやイランとの連携が不信感との見解だ。同紙によれば、ベネズエラは石油資源が豊富だが、あまりに反米一辺倒、グアテマラは経済的に弱小であまりに米国依存ということでともに決め手を欠き、今回の決着を長引かせているというのだ。

 IHT紙によれば、一部外交官や専門家は、9月の国連演説でチャベスがブッシュを「悪魔」呼ばわりしたことも原因という。この時「反・反米」の流れができたというのだ。そうでなければもともと中南米諸国はベネズエラに反対するように米国から指示されていたことを快く思っていなかったので一枚岩になれたという。

 つまりチャベスは国連という組織を国際機関という「外交のひのき舞台」として見すぎていて「外交官の職場」という面を忘れていたということだろう。国連がこう着状態に陥ったとき、肉体的、精神的に疲弊するのは各国(外交官)だからだ。

 第三国が手をあげるとなるとコスタリカやパナマ、ドミニカ共和国、ウルグアイ、メキシコ、ブラジル、チリ全てに可能性があるといい、収拾つかずというところらしい。

 IHTによれば、第三国浮上について慎重だったメキシコのベルーガ大使も第三国を期待する発言をしている一方、グアテマラのローゼンタール外相は「偽善者」探しが必要との発言をしており、各国はすでにタナボタの可能性も出てきたことで他国に対して疑心暗鬼になっているようだ。

 ちなみに投票回数の最大は154回(1979年)でコロンビアとキューバが4ヶ月間にわたって争った例だ。この時にはワルトハイム国連事務総長の仲介により第三国としてメキシコが浮上し155回目の投票で非常任理事国となった。

「楽茶碗」展を見に行く

2006年10月19日 03時00分50秒 | Weblog
たまたま上京する折があったので、東京日本橋の三井記念美術館で開催している「赤と黒の芸術 楽茶碗」 を見た。今回の企画はズバリ「楽茶碗」である。
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition_01.html

 千利休の意を受けて長次郎が造りはじめた「楽茶碗」は、利休の提唱する侘茶の思想、美的意識が具現化したものといわれる。今回は初代長次郎から現代の十五代樂吉左衞門氏までの樂家15代までの楽茶碗を一堂に展示しているという点でも趣深いものがあった。

 これだけの楽茶碗と一堂に会したのは、4年前の五島美術館「茶の湯名椀」展以来だった。この展覧会でも長次郎の楽茶碗実に9点が展示されたが、今回の展示ではそのうち「ムキ栗」「俊寛」「杵ヲレ」「無一物」「一文字」 が重なって出展されている。

 ちょうど 特別出品の重要文化財、長次郎の黒楽茶碗「大黒」の展示期間外に当たったのは残念だったが、十分堪能することができた。個人的には「俊寛」や「ムキ栗」の黒楽茶碗がやはり印象的だったが、意外にも近年の作品にも十分味わい深いものがあることが分かり、新鮮な驚きがあった。他方、道入作の赤楽茶碗「鵺」は楽しみにしていたが、実際に見てみると少々興ざめであった。

 それにしても平日の昼時だというのに人が多く、しかもタイミングもあるだろうが長次郎よりも近来の作品をずらっと一列になってひとびとが観覧を待っているというのはどうしたわけか。お陰で当方、長次郎を再度、再々度と鑑賞する機会を得た次第だが、各種展覧会ではこうした日本人の「悪しき律儀さ」を常に感じてしまう。

 さて、少々時間が余ったので裏手の日本銀行別館となる貨幣美術館に足を伸ばすことにした。
http://www.imes.boj.or.jp/cm/

 ここは明治以降の日本銀行や政府が発行した貨幣がすべて見られる点でも貴重だが、8回にわたり改鋳が行われた江戸幕府のホンモノの小判が見られるところが嬉しい。
http://www.imes.boj.or.jp/cm/htmls/history_18.htm
 
 江戸時代の質を落とした元禄、元文、万延小判、質の高い正徳・享保小判が目で見て比較できる。質の低い小判は明らかに色がくすんでいるので金含有量が少ないこと一目瞭然であって大変面白い。

 また、幕末の対洋銀交換比率の説明や、太平洋戦争時、資源が枯渇したために発行したアルミ貨、さらには実際には流通しなかったが製造された陶貨!、そして昭和21年の「新円切り替え」の展示説明なども興味深い。

 なによりも良いのは入場無料、ロッカーすらコイン不要という使い勝手の良さだろう。子供の社会見学には格好だと思われる。貨幣博物館に行く途中、国の重要文化財にもなっている旧三井本館(現・三井住友銀行日本橋支店)に立ち寄り、新古典主義建築の巨大な空間を見学するのも有意義だろう。
http://www.mitsuifudosan.co.jp/home/aboutus/quality/03/interior.html

金日正は安倍と共和党の救世主か

2006年10月17日 23時58分48秒 | Weblog
北朝鮮が2回目の核実験をしようとしているが、米国の中間選挙ではこの事態は「危機」というよりむしろ「奇貨」として活用されているようだ。
 一部事情は日経新聞でもすでに一部報道されているが、いまひとつ内容がハッキリしていなかった。11日IHT(電子版)に詳しい。
http://www.iht.com/articles/2006/10/11/news/politics.php

 まず、アリゾナ州選出の共和党上院議員マケイン氏はクリントン元大統領の対北朝鮮宥和政策が北に核兵器開発能力をつけさせてしまったと発言している。しかもクリントン前大統領を現・上院議員のヒラリー氏の夫という形で呼ぶことで、ヒラリーの追い落としをもはかるという少々えげつないものとなっている。えげつないといえば、先週、共和党ではクリントン政権のオルブライト・元国務長官と金正日がワイングラスで乾杯している写真を配布した。
http://japanese.chosun.com/site/data/html_dir/2003/09/17/20030917000068.html

 このように、共和党は民主党政権下の90年代の対北朝鮮政策を検証することで11月7日と目前に迫った中間選挙を有利に戦いたいという思いがあるようだ。一方、民主党も負けてはいない。ミズーリ州の民主党のマッカスキル上院議員候補のように激しい選挙戦を戦っている人物は、ブッシュのイラク侵攻という間違った政策の副産物が今回の暴発であると主張している。

 しかし、実は面白いのはその後だ。

 マッカスキルの対立候補である共和党のタレント氏は激戦であることからすでにブッシュのイラク政策を批判して久しいのだ。

更に、共和党候補は、米議会を震撼させる共和党のマーク・フォーリー前下院議員(フロリダ州)のセックススキャンダルの影響を最低限にしたいとの思惑があるのだ。北朝鮮の核実験の問題がTVニュースで大きく扱われなければ、代わりに扱われるのはフォーリーのスキャンダルになるからだ。
このことをIHTでは「金正日は共和党の『人さらいの鬼』(子供を脅すというところからニセの脅威の意)のようだ」とまで言っている。

金正日がいなければ現在その地位にはいなかったであろう安倍首相や麻生外相に限らず、日本の国外にも金正日に密かに感謝している人物は結構多いようだ。

イラクの非戦闘員死者60万人?

2006年10月13日 03時22分19秒 | Weblog
北朝鮮の「核実験」が毎日紙面を賑わせているようだが、IHTを読んでいたらイラク戦争の非戦闘員の死者が累計で60万人を超えたとの見方があるらしい。
http://www.iht.com/articles/2006/10/11/africa/web.1011casualties.php
http://www.ft.com/cms/s/4e7813ca-598e-11db-9eb1-0000779e2340.html

これは、ジョン・ホプキンス・ブルームバーグ・公衆衛生スクールの調査によるもので、イラク政府筋や国連による統計の4倍の数となっており、426,369 から 793,663までの推定幅だという。

 幅があることからも分かるように、これは外挿法(補外法)という数学的な一種の統計的推定値のようだ。サンプルは47地区1849世帯だということだが、これについては少なすぎるとの批判もある。確かにそうだろう。最新の国連統計では8月のイラク人死者は3009人とされている。 また一説には一日200人死去しているとの情報もある。

 イラク政府筋は死体公示所の統計が一番信頼できるとしているとのことだ。アラファト・パレスチナ暫定自治政府議長(当時)の葬儀でも分かるようにイスラム教では死亡後埋葬までの時間が早く、モスク近くや墓所にすぐさま埋葬する一方、葬儀のための幹線道路通行許可や年金申請のために死亡証明交付のインセンティブがあるためという。

 ともかく、すでにイラク戦争で20万人近くの非戦闘員が死亡していることには違いがなく、9・11の死者のすでに40倍にはなっているわけだ。大量破壊兵器も見つからず、このままではブッシュは後世、ヒトラーやポルポトなみの悪名をこうむることにもなりかねないだろう。

 「日本独自の核抑止力は持たず、日本は米国の核の傘の下で厳然としてある」(小池百合子首相補佐官・12日朝日)というコメントは穏健派のメッセージのようでもあるが、上記のような振る舞いをしている米国に守られている日本のイメージというものが中東においてどうなっているのかということは一度考えた方がいいだろう。

 日本はイランのアザデガン油田の開発主導権を手放すこととなり、今後、高騰するのが北朝鮮から輸入していた、マツタケやアサリだけなら食べるのを我慢すれば済む話だが、石油となれば事情が違うだろうから。


ロワイヤル、仏大統領選に立候補

2006年10月06日 02時51分06秒 | Weblog
 セゴレーヌ・ロワイヤルが社会党内の大統領選の予備選に正式に立候補した。
http://www.ft.com/cms/s/79fc9d94-5345-11db-99c5-0000779e2340.html
  
 彼女の推薦人は他2候補の推薦人の2倍の数だという。ポァトゥー、・シャラント地区の知事(女性で1名のみ)にして閣僚の経験のある彼女が集めた推薦人の署名は130名と国民議会306名の3分の1を超え、規定有効数の4倍という多さだ。この票はファビウス元首相やストロース・カーン元蔵相の2倍という。

 事前予想では決戦投票を待たずしてロワイヤルが22万5千人の党員の過半数を制して11月に大統領候補に選出されるとの見方が強い。
http://www.time.com/time/magazine/article/0,9171,1541288,00.html


 ロワイヤルの夫は社会党のオランド党首子供は4人、といっても事実婚で法律婚ではない。生まれはセネガルのダカール、父は国軍将校、8人兄弟姉妹の4人目。カトリック系寄宿学校からナンシー大学、パリ政治研究院(Institut d'Etudes Politiques)と Ecole Nationale d'Administration (ENA)で学位を取得。

 彼女のクラスにいたのがドビルパン(現首相)であり、オランド(社会党党首)だったのだ。そして彼女はENA卒業後、ミッテランのスタッフとなり、政治経歴を積んでいく。


 ロワイヤルの政治姿勢で特筆されるべきは「脱イデオロギー、脱カテゴリー」だといえるようだ。実際、家族の価値や規律の美徳について述べることが多い。また、自身の政治家としての目標について、ひとびとの人生と幸福をつくりだすことの支援であるという。美貌も彼女の武器で意識しているというし、女性には女性であることの実現のために女性をあきらめる必要はないと説く。

 実は、彼女がポピュリストのイメージを醸し出しているのは作戦だという説もある。「2007年の大統領選挙に勝つためには極右の持っている票ですら必要」というプラグマティストだ。これは、過去、左翼支持者の 30% が国民戦線(フロン・ナショナル)に投票したというデータを受けてのものであるという。

 その一方で、保守連合のサルコジに唯一勝利できる候補だというのに、社会党は11月まで彼女に地位を与える積もりはないとのこと。というのも、社会党内部でも彼女の政治手法には批判があるからだ。「テクニックは政治には採ってかわれない」と元首相のジョスパンは軽蔑しているという。

 しかし、ここはひとつ、社会党は早急に大統領選に向けて一致結束したほうがいいのではないだろうか。

 

安倍政権、早くも正念場か

2006年10月05日 01時05分17秒 | Weblog
本日のIHT(印刷版)を読んでいたら次のところで出掛かったあくびを飲み込んだ。

 ソウルの高麗大学のナム(Nam Sung Wook)教授-この人はこれまでにもご紹介したことがあるようにIHT紙が決まってコメントを求める北朝鮮問題の専門家だが-によれば北朝鮮が核実験をするかどうかは五分五分で、その多くは安倍会談後に中韓両国がそれぞれ何をいうかに掛かっている」(Much of the decision will depend on what China and South Korea say after their summits with Abe)

本日の日経記事によれば、今回の核実験宣言は、中韓両国に「だから金正日を怒らせるとろくなことないよ」と言わせるために北がやったこととの観測があるというが、そこには安倍がそんなブラフではビビらない人物だという認識が欠けている。(だからさすがに今回の宣言は中国が北を焚き付けたものではないと私は思う。そこまで中国のスパイ網もお粗末ではないだろうから)

 上記のナム教授のコメントは「会談で」ではなく「会談後に」というところがミソだろう。つまり、中韓両国が安倍氏の鼎の軽重を見ようとしており、それを金正日が察知しようとの意図があると思われるからだ。

 中国では胡錦涛国家主席、温家宝首相、呉邦国全人代常務委員長のベスト3揃い踏みの会談で「破格の厚遇」を受けるとされる安倍氏だが、ナニ、実は「彼らは人物鑑定団♪」なのではないか?

 安倍氏に人気投票することで結果的にクライシスを招いた日本国民、今となっては極く一握りの政治家の「外交」にその命運を託すしかなくなったわけだが、有事に備えて法制度の整備もしておく必要があるだろう。

 というのも、「核兵器」保有ということになれば、北朝鮮の状態は「大量破壊兵器」保有とされたイラクとほぼ同様となるからで、今後は粛々と国連安保理における非難決議等が採択される可能性もあるからだ。「周辺事態法」は日米安保条約の効果的な運用に寄与し、我が国の平和及び安全の確保に資することを目的としているのだから、多国籍軍には適用できないからだ。

 唯一誤算なのは、次期事務総長に韓国外交通商相の潘基文(パン・ギムン)が内定したことだ。とすればこれについても米国が最後に拒否権発動で大ドンデン返しがあるかもしれない。

 

オーストリア、大連立へ

2006年10月04日 13時33分01秒 | Weblog
オーストリアが大連立政権樹立に向かう見通しだ。
http://www.ft.com/cms/s/862e4772-527b-11db-bce6-0000779e2340.html

 1日実施されたオーストリアの国民議会(下院、定数183)選挙で辛勝の結果第1党となったオーストリア社会民主党(グーゼンバウワー党首)は、シュッセル首相率いる国民党との大連立組むこととなる見通しだ。得票率は社民党が35.7%、国民党が34.2%、極右・自由党(11.2%)、緑の党(10.3%)、極右・未来同盟(4.2%)

 FT紙(3日電子版)は社民党は北欧モデルの社会・福祉政策に向かうだろうという。次期首相となるグーゼンバウワー・社民党党首は18機のユーロファイター軍用機の発注をとりやめること、大学授業料の導入を撤回する見通しであることを確約している。また、年金受給者への配慮と、教師増員、少人数教育の実施などの教育改革を行うと述べた。これは国民党が年金削減や企業優遇税導入などの政策を打ち出したのと対照的である。

 結局、極右・未来同盟も4%のハードルを超えたため、議席保有が可能となった。もしこれらの政党が議席を保有しなければ社民党には緑の党(10.3%)のみとの連立政権ということも可能であった。国民党との連立の中で、政権から離脱していた間の経験をいかにカバーしていくのかが課題とされている。

 というのもグーゼンバウワーは中央・地方レベルともに行政執行権者の地位にいたことはないからで、経験不足は社民党顧問で元財務相のアンドロッシュも認めるところだという。また、カリスマ性の乏しさについても指摘されている。

 現財務相のグラセール氏は昨年の結婚によりクリスタル工芸企業のスワロフスキーの後継者となったことから企業経営に専念する旨言明しており、この後継者が問題となるようだ。また、極右勢力は15.6%に伸び、中東を中心とした移民政策の重要性は増していることから内務相の人選もキーポイントとなる模様だ。

 外相は現在のプラスニック氏がシュッセル氏の信任も厚く残留する見通しもあるが、首相と別の党では問題が生じるとの一般的観測もあり流動的だという。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 一時期、極右に流れたオーストリアだが、ここに来て社民勢力の復興がみられるようだ。しかし、これも社会福祉的な観点からのもので、移民問題が依然として大きな問題であることは間違いなく、それは極右勢力の5割アップという事実からも窺える。こうした事実を我々は「対岸の火事」として見るのではなく、差し迫った仮想的未来と見なければならないのかもしれない。