次世代総合研究所・政治経済局

現代の日本および国際政治経済に関する隠れた視点を、国内のどのメディアよりも早く提供するページです

安倍首相に耳打ちした外務官僚は誰か

2007年03月19日 01時59分53秒 | Weblog
前々回のブログ記事で外務官僚主導の外交が日本を滅ぼすという話をした。そこで思い出したことがある。1月に安倍首相がNATO本部において講演、日本・NATO関係について「新たな段階への移行」を宣言、関係強化を訴えたことがあった。
http://www.sankei.co.jp/seiji/shusho/070113/shs070113000.htm

 しかし、その後、欧州においてNATO体制の根幹を揺るがす出来事が起こる。1月27日ブログ記事でもお伝えしたが、ポーランドとチェコの中道右派政権が世論の不支持を振り切り、米国のミサイル防衛システムの導入を決定したのだ。

 日本ではあまり報道されていないようだが、すでに懸念を表明していたロシアはこれに激高、軍部が対NATOにミサイルの照準を合わせるほかなしと応じたのだ。以下2月20日付FT電子版記事抄訳をご覧いただきたい。
http://www.ft.com/cms/s/be3c9c58-c086-11db-995a-000b5df10621.html

 (抄訳)
 ポーランドとチェコの領内に米国のミサイル防衛システムが構築される可能性が高まる中、システムが構築されればロシアは中距離弾道ミサイルの生産を数年内に再開、ポーランドとチェコはロシアのミサイルの標的となる可能性があるとした。ロシアの戦略ミサイル司令官ニコライ・ソロブゾフが語った。またユリ・バルエフスキー陸軍参謀長は、米国が計画を断念しない限りロシアは87年の中距離核兵器条約から脱退する可能性があるとした。

 米国は、ミサイルシステムはロシアを対象としたものではなく中東の「ならず者国家」からの防衛を目的とするものと説明しているがロシアはこれを黙殺した形だ。システムがロシアと近接した地域に設置されることからロシアへの根回し不足を指摘する声はある。米国とNATOがロシアの懸念を無視しているとしてドイツ外相も懸念を表明している。

(以上抄訳)

 NATOとの共同歩調というのはどうも安倍首相の基本的な発想の線上にはないような気がする。これを耳打ちしたのが外務官僚だとしたら彼らの「思いつき」は日独伊三国同盟以来のお笑い沙汰になるだろう。