Blog☆HiloⅡ

我が人生 ミハイル・ゴルバチョフ自伝


東西冷戦終結から32年が経過した2022年2月に始まったロシアによるウクライナ軍事侵攻。
プーチン大統領は,冷戦終結時にNATOが東へ拡大することはないという約束があったと主張しているが,本書ではその東西冷戦終結時における大統領であったゴルバチョフ氏が当時の実態を語っています。
さらにペレストロイカの意義,ソ連崩壊について,ウクライナ問題,プーチンの評価なども詳細に綴っています。
また,自身の幼少時のエピソード,貧しかった戦中・戦後の話,モスクワ大学での青春時代,最愛の妻ライサ夫人との出会いと,病気で彼女を失ってからの日々など,政治家としてのゴルバチョフ氏だけでなく,一人の人間としての素顔が端々からうかがえます。
彼は大統領辞任後もゴルバチョフ財団の総裁を務め,講演活動や執筆,環境運動などに従事しています。
さて,かなりボリュームのあるこの本を読み終えて,ゴルバチョフ氏の掲げたソ連の民主化は素晴らしい取り組みだったということを改めて感じました。
しかし,なぜ1991年に保守派によるクーデター未遂事件が起きてしまったのか。
これはゴルバチョフの最大のミスでした。
人を見る目がなかった?
そんなことでは済まされないでしょう。
あまりにもお粗末だったと思う。
そして,ペレストロイカを進めるにはもう少し慎重に地固めをする必要があったのでしょう。
そこがとても残念だったし,もしペレストロイカが成功していれば世界平和は進んだと思う。
現在行われているウクライナ侵略も起きなかったでしょう。
ゴルバチョフの後,エリツイン,プーチンと続いたのも時代のいたずらだろうか。
しかし,一番残念だったのはゴルバチョフもクリミアはロシアの一部だと言い切っていること。
2014年のクリミア併合は民意を反映させたものだとしています。
これには少し驚きました。
そして,2月24日に始まったウクライナへの軍事作戦については,「一刻も早い戦闘行為の停止と早急な平和交渉の開始が必要だ」と表明しましたが,その一方で,NATOの東方拡大を非難しています。
それが多くのロシア人の考え方と言えるのかもしれません。 
ゴルバチョフ氏は初版が発行された昨年8月に91歳の生涯を閉じています。
ご冥福をお祈りします。
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