--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

海洋観測の練習(2)

2005-10-02 | 森と空と海のあいだに
今日は暑かったです。
高松サンポートに停泊中の「しらせ」は、暑い中、長い行列ができて、2時間待ちの時間帯もあったようです。
一緒に公開されていた「南極の氷」は大人気だったでしょうね!

さて、先日渡井さんが巡航に行ったときのこと、パート2です。
係留系のことは「森と空と海のあいだに」にも、もっともたくさん書かれています。
南極航海中に行う海洋観測の練習なので、今回は1年間沈めておくことはしないで、沈めたらすぐに錘を切り離して係留系を引き上げるのだということでした。
本番は、前次の隊が設置しておいたものを引き上げて、また新しいものを設置するという作業になるのでしょう。
線路が錘になっているというのが、この係留系です。
50kg/mのレールを何本か(6本か8本?)溶接しておいたものを一緒に沈めると、錘とナイロンロープに繋がれた浮力のある部分だけが浮いて、海水の中に浮いた状態で設置されるというわけなのですね。
どうやら、設置位置は海底からの距離ではなく、海水面からの距離が大事のようなので、1000m持っていった今回は海面から何mの位置に設置したということになるのでしょう?
それにしても、音響装置を使っての切り離しはとても興味深いです。
離れたところにあるものを、その距離を特定しながら手を使わずに切り離すってすごいです。
浮き上がったものを見失わずに見つけて回収しなければならないというのは、大変でしょうね。
いくら装置が大掛かりとはいえ、広い海の中では小さなブイのような物ですから、視力のいい人が必要かも。
もしかして、なかなか見つからないときは「みんなで探してー」と人を集めるのでしょうか?

そうそう、この係留系について「森と空と海のあいだに」には、何を調べるものなのか簡単にしか書いていなかったので、聞いてみました。
以下がそのメールです。

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海面付近の日光が届くところでは植物プランクトンが光合成をして増えるでしょう?
それを動物プランクトンが食べて、それを小魚が食べて、さらに大きな魚に食べられる。
それらの糞や死骸など(=デトリタス)は海洋表層から海底に沈んでいきます。
これらは沈む途中で分解されて栄養塩(=リン酸塩、硝酸塩、ケイ酸塩)となって、植物プランクトンの光合成に再び使われるんだ。
いわゆる食物連鎖だよね。
これは海域によっても異なるのだけれど、だいたい海面下数百メートルのところで繰り返されているのです。

ところがこれも海域によっても異なるけれど、この約1割はこの循環に組み入れられず深海に沈んでいく。

係留系では海洋表層で生産された沈んでくる炭素を海洋の中深層で測ることによってこの量(炭素の量で表される)、すなわち生産量を求めるのです。
南極海は世界でも有数の生産量の多い海なんだよね。

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この約1割はこの循環に組み入れられず深海に沈んでいくというのは知らなかったです。
というより考えたことがなかったです。
そういうところから生産量を求められるのですね。
ちょっと面白そうなので、追い追い勉強していきたいです。

第47次日本南極地域観測隊員出発まで、あと57日

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