--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

ドラム缶デポ

2006-10-15 | 南極だより・野外オペ
渡井さんは、S17から帰ってきたようです。
橇デポの記事を読んで、いくつか間違いを指摘されました。
訂正と追記をしてありますので、ごらんください。
なるほどーと思うことがたくさんありました。
それでは、前回のS17オペレーションの3日目の南極だよりをお届けします。
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2006年10月5日(木)曇り ドラム缶デポ

昨日は停滞でほとんど作業が捗らなかった。
明後日には風も強くなり、その後ブリになるというので、予備日を使って日程を延長することもできない。
朝からドラム缶の掘り出しに精を出したところ、15時頃には燃料ドラム缶と空ドラム缶全てを掘り出すことができた。
ばんざーい!


掘り出したドラム缶は橇に載せてデポしておきたいところだが、それほど橇の台数もない。
そこで再びドラム缶を雪面にデポするようにする。
これまではドラム缶を正方形や長方形の形にまとめてデポして置いたのだが、今度はドリフトがつきにくくするようにドラムを3列にし、風下側に伸ばすように置くようにした。

#旗竿の赤が風向きを示しています

掘り出したドラム缶はとりあえず元の場所近くに立てて仮置きしてある。
それを新たな場所に持っていくのであるが、これも雪上車を使う。
ドラム缶の送り出し側に2名、運転手が1名、受け側に3名の組で行い、スリングをドラム缶の胴体にかけてSM50の後ろで引っ張って行う。
SM100でもできるのだが、小回りが利かないことや、車体が大きく雪面を荒らしてしまいドラム缶を立てるのが辛くなるので、SM50の方が適当なのだ。
夏場はスノーモービルで牽引していた。

さ、後はW軽25本の移動と、南軽、クーラント、アブガスの昭和基地からの輸送。
嬉しいことに昭和からの分は橇置きできる勘定だ。
後は空ドラム缶を29本、古いアブガス1本を昭和へ回収すればドラム缶関係は終了。
これらの残作業は次回のオペレーションで行うことになる。
ようやくゴールが見えてきた感じだ。



-----10月5日本日の作業など-----
・Jet-A1 36本雪面デポ
・空ドラム99本引き出し、96本橇積み
・燃料ドラム47本引き出し&デポ

<日の出日の入>
日の出  5:11
日の入  19:12
<気象情報>
平均気温-9.2℃
最高気温-5.9℃(1335) 最低気温-16.3℃(2359)
平均風速5.8m/s
最大平均風速24.7m/s風向E(0050) 最大瞬間風速32.1m/s風向E(0045)
日照時間 0.3時間

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ドラム缶の掘り出し、お疲れ様でした。
夏の準備というだけなら、燃料の入ったものだけを掘り出せばよかったのでしょうけれど、いえ、それだけでもきっと大変な作業だったに違いないのですが、大変な本数(けっきょく何本だったんだろう?)の空ドラムの引き出しと撤収をするのは生半可なことではなかったと思います。
使ったものは回収をする、当たり前のことのようだけれど、日本と南極ではこんなにも違うのだと思い知らされました。
おそらく日本であれば、これだけの本数のドラム缶を使用しても、トラック横付けでクレーンでつり上げあっという間に回収してしまうことでしょう。
掘り出しそのものさることながら、掘り出しを開始するまでもずいぶん時間がかかったなぁと振り返ってしまいました。
冬が近づくまでは渡ることができないオングル海峡、氷がしっかり張るまで待ち、ブリザードが来れば海氷が流されないかやきもきし、ようやく氷が厚くなると、まずはSM25が渡れるようになり、その後SM40、そしてようやくSM50が渡れるようになったのでしたね。
その間にとっつき岬やS16S17にあるSM100や、その他の重機を雪の中から引っ張り出して立ち上げをして、橇もいくつも引き出し、補修をしてドラム缶を運べるまでになったのでした。
S17のドラム缶や橇の引き出しはゴールが見えたけれど、夏までにやらなければならないこと、海峡を渡れなくなる11月までにやらなければならないことはまだきっとたくさんあるに違いありません。
野外での活動が続いて、しかも昼間の時間が長くなり作業時間も長くなっているでしょうし、皆さん疲れが溜まってきていることと思います。
どうか事故のないようにと、祈っております。

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