--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

アイスオペレーション

2006-11-11 | 南極だより・野外オペ
久しぶりに一日雨が降っていました。
かなり肌寒く、秋が深まってきた感じです。
紅葉の盛りまではあと1週間というところでしょうか。
昨年はこのあたりのケヤキが紅葉しないまま枯れてしまったので、今年の様子が気になります。
明日の予報天気図は見事な冬型。
「木枯らし一番」になるかもしれないと天気予報で言っていました。
部屋の中で足下からしんしんと冷えてくるのは困るのですが、外の空気が冷えて、ぴーんと張り詰めているのはとても好きです。
昭和基地は昨日、何ヶ月ぶりかでプラス気温でしたね。
夏には最高で60℃ほどもあった昭和と東京の気温差はずいぶんなくなってきました。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2006年11月10日(金) 快晴 アイスオペレーション

観測隊では各種広報や隊員のお土産用に公用氷を採取する必要がある。
10月のオペレーションに引き続き、残りの氷を集めるべくアイスオペレーションが行われた。

手頃な氷山を見つけるのだがこれが難しい。
浅いところの氷が流れだした氷山だと、空気が入っておらずぱちぱち言わないのだ。
深いところであれば氷の圧力も高いので派手に音が鳴る。
音がしない氷では南極のお土産といっても信じてもらえない可能性がある。

今回のアイスオペ用の氷山はその高さはないのだが、一度ひっくり返ったものなのであろうか盛大に音が鳴った。

作業は簡単。
つるはしで氷を砕いて、ダンボールに入れ、中ダンなら24kg、小ダンなら11kgを計量して、橇に積む。
でもその量は半端でない。
なんと橇6台分の氷なのだ。

いつ終わるか目処がたたず、山口さん@庶務をやきもきさせたが、始まってみれば2回目ということと、分業が功を奏し、午前午後それぞれ実質1時間程度で終了してしまった。
隊の団結力が上手くいっているようで心地よい。

一仕事終えた後は、ぜんざい、かき氷、ウィスキーのロックが振舞われた。
この寒さの中かき氷はどうかとも思うが、最近暖かくなってきたこともあり大盛況。
練乳とあずきが一番人気。
皆思い思いの場所に座り寛いでいた。


#砕いて砕いて、集めて集めて

#重さを量って梱包

#終わったあとはかき氷!

#新発の冷凍庫は採った氷がいっぱい

-----11月10日本日の作業など-----
・アイスオペレーション
・HVS Air充填
・炭素同位体比分析用大気採取
・二酸化炭素精製
・温室効果気体濃度分析用大気採取
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  2:15
日の入  22:01
<気象情報>
平均気温-5.3℃
最高気温-3.0℃(0010) 最低気温-8.3℃(2400)
平均風速9.0m/s
最大平均風速14.2m/s風向E(0610) 最大瞬間風速21.7m/s風向E(0618)
日照時間 17.9時間

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南極の氷をはじめて見たのは、昨年の秋でした。
学校で渡井さんに南極の授業をしてもらったときに、持ってきてくれたのでした。
子どもたちもですが、私も初めて。
水の中でぱちぱちと圧縮された空気がはじける音に耳を傾け、とても感激したのを思い出します。
その後は、思いがけずいろいろなところで南極の氷に出会いました。
昨年12月に行われた中高生のオープンフォーラムに参加したときにも振る舞われていましたし、夏に行われた「ふしぎ大陸南極展2006」の会場にも置いてありました。
大阪ミナミの街角で「しらせ」乗組員による小さな南極展?が行われており、そこにも南極の氷はありました。
また、昭和基地とテレビ電話でつないだ「南極教室」の時にも、南極の氷が送られてきました(サービスだったのでしょうか?極地研の方が送ってくださいました、しかも2箱も)。
それから、北海道でも出会いました。
北大の低温科学研究所の低温室でです(見たのは氷の入っている段ボールでしたが)。
イベントか何かで使用するのですね。
南極関連のニュースを気をつけてみていると、学校や幼稚園などに南極の氷がプレゼントされたという記事はたくさん見つかります。
観測隊員の講演や授業で、「しらせ」乗組員の方たちからプレゼントされることも多いようです。
多くの場所で広報に役立っているのだな、ということが分かります。
うちの子どもたちも、出した瞬間に前に押し寄せんばかりの勢いで、音を聞く表情はキラキラしていました。

実物だったり写真だったり、たくさん氷を見て、気付いたことがあるのです。
観測隊からいただいた南極の氷は3箱。
どれも今回の南極だよりのように、つるはしで砕いたという感じのものでした。
南極展にあったものも、形がそれぞれ違っていました。
しかし「しらせ」乗組員からのものは、四角いのです。
ミナミのミニ南極展のもの、「しらせ」の一般公開の時のもの(写真でしか見たことがないけれど)、学校などにプレゼントされたもの(報道記事でしか見たことがないけれど)、どれも四角いのですよね。
たまたまそうなのか、加工しているのか?
それとも乗組員の方の採取方法が違うのか?(今さらながらですが乗組員の方も、観測隊とは別に南極の氷を採取しているのですよね?)
いったい全部でどのくらいの量の氷を「しらせ」に積んで帰っているのでしょう?
かつてはおみやげの中心だった「南極の石」が南極条約によって持ち帰ることができなくなり、氷山氷が南極のおみやげの中心になったわけだけれど、氷山氷なら、南極大陸で量産されて海に流れ出たものなのでるので人間が船で持ち帰るくらいはなんてことないですね。

学校では落ち着いて「南極の氷」に向かい合えなかったので、またいつか、もらえる機会があったら家でじっくり音を聞いてみたいです。
それから、かき氷にもしてみたいです(でも食べるのは夏かこたつの中がいいかな)。


#オープンフォーラムに参加したときに施設見学会があり、低温室にたくさん置いてある「公用氷」を見つけました。

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2 コメント

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四角い氷 (さわがき)
2006-11-12 05:39:24
「しらせ」はチェーンソーで氷を切り出しています.だから四角いんです.ブレードには,機械油の代わりにサラダオイルを塗って,食用にも大丈夫なようにしているのだとか.でも実際に作業していることろをみたことはありません.

夏オペの短い期間にやる仕事ですから,効率重視なのでしょう.越冬隊の強みは,充分時間をかけて質の良い氷山を選定できる,というところでしょうか.今回もよくはじける氷を持ち帰ることができるように努力したつもりです.

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さわがきさま (み・くり)
2006-11-12 22:08:52
さわがきさん、こんにちは。
「しらせ」の方はチェーンソーで採取していたのですね。
確かに四角いわけですね。
しかもサラダオイルを塗っているなんて驚きです。
でも、ツルハシで砕いた氷のほうが、南極から持ってきたという感じがしていいです。
学校でいただいた氷も気泡がきれいに入っているものでした。
47次の氷も質のいいものなのですね?
ぜひ味わってみたいです。
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