--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

沈まぬ太陽

2006-12-23 | 南極だより・自然
相変わらず画像処理が苦手なため、とうとうアニメーションは渡井さんが作って送ってくれました。
他の図も四苦八苦しながらようやく描き上げたものの、これで分かるのだろうか・・?という疑問は未だつきまとっています。
今回の南極だよりは、夏至の話題です。
私も勉強になりますので分からなかったら遠慮なく言ってください。
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2006年12月22日(金)晴 沈まぬ太陽

南極の夏となるこの時期、太陽は赤道から最も離れ南極に最も近くなる。

昭和基地の緯度は南緯69度00分22秒であるので、南極点を中心にして21.0度の範囲でくるくる回っていることになる。

地球の自転軸は23.4度傾いるので、太陽が南中?(=culmination)するお昼頃は、太陽光線に垂直な面から23.4+21.0=44.4度ずれている位置にいることになり、太陽は北の水平線から44.4度のところにある計算だ。

一方真夜中は23.4-21.0=2.4度ずれているので、南の水平線から2.4度上にあることになる。
沈まぬ太陽だ。

おなじように計算すると、朝6時は東、18時は西の方向、それぞれ21.0度の高さにあるはずだ。

真昼に北の方角でみることのできる昇らぬ太陽とちがって、沈まぬ太陽を見ることが出来るのは深夜24時頃。
昭和基地は東オングル島の北側に位置しており、南側は蜂の巣山をはじめとして標高30m程度の岩の丘陵が連なっている。
沈まぬ太陽を確実に見るには島の南側まで行かなければいけないが、深夜に島の南側までいくのはさすがに辛い。
お手軽に観測棟の屋上で済ますことにする。
この丘陵のスカイラインが観測棟屋上から2.4度より低い位置にあれば、沈まぬ太陽がお手軽に撮影できる計算だ。


#クリックすると別窓が開いて太陽が動きます
南側の太陽
沈まないまま昇っていった


-----12月22日本日の作業など-----
・観測部会用書類作成
・炭素同位体用基準ガス精製
・CO2計10日メンテナンス&報告
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・HVS Airサンプリング
・O3計47正機と48正機の平行ラン準備

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温-3.4℃
最高気温-1.2℃(1419) 最低気温-7.2℃(0159)
平均風速5.3m/s
最大平均風速8.8m/s風向NE(1730) 最大瞬間風速12.2m/s風向NE(1724)
日照時間 13.6時間

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昨シーズン、日照時間24時間というのにかなり感動しました。
夜中も何となく薄明るいということでなく、日が沈まない「白夜」というのがこんなにも明るいとは思っておらず、いつ見ても昭和基地WEBカメラ リアルタイム画像を楽しめるので、しかも昨年は海氷の締まる夜間に氷上輸送をしていたこともあり、日本と6時間時差があることを忘れてしまったほどでした。
またこの明るい季節がやってきました。
地球は太陽の周りを回っていますが、南極だよりにあるとおり自転軸が23.4度傾いています。
つまり、極(北緯南緯とも66.6度より高緯度)では一日中陽があたらなかったり、一日中陽が当たり続けたりする時期があるのです。
それがこの図(黒字は北半球、赤字は南半球)です。

この図の一番左の地球が今の季節です。
黒で「冬至」と書いてあるとおり、日本は冬至でしたが、逆に昭和基地は夏至でした。
では、昭和基地についてもう少し詳しく見てみましょう。

これをみると、確かに白夜だということは分かるのですが、実感として一番低い太陽が南にあるというのはイメージするのが難しいのです。
送ってもらった南側の沈まぬ太陽のアニメーションをちゃんとイメージしてみたいと思いました。

どうでしょう。
角度などはちょっといい加減なのですが、こうすると水平線に消えてゆかない太陽の様子がイメージできるでしょうか。
小学校の時の理科の授業で実際に太陽の動きを確かめたドーム型のキッドを絵にしてみたのです。
日本では半円を描きますが、昭和基地の白夜の時期は南側でも太陽を見ることができることが分かります。
日本は冬至をむかえ、一年で一番太陽が低いので、昼間は家にたくさん日が差し込みます。
私の住んでいる東京の緯度が35.5度ですから、冬至の日の南中高度は31.1度。
なんと、昭和基地よりも日が低いのです。

先日気付いて疑問に思ったのが、昭和基地の極夜は1ヶ月半くらいだけれど、白夜は2ヶ月間くらいあるということ。
どうして?
太陽は日の出日の入りが太陽の中心ではないので、少しは昼のほうが長いと思うけれど、水平線(地平線)の近くでは大気の関係で、実際には水平線の下にある太陽が見えるらしいけれど、それだけで半月も違うのでしょうか?
気になります。

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