--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

オオスズメノカタビラ

2006-12-16 | 南極だより・自然
私が仕事をする上で礎となっていたものが失われる事態になり、ここ数日、家に帰っても気持ちが南極に切り替わりませんでした(更新が止まってごめんなさい)。
でも落ち込んでばかりではどうにもならないので、今日は久しぶりに南極漬けになろうと「南極地域観測50周年記念講演会 南極観測の50年」を聴きに行ってきました。
50年間を4人が3時間で語られたので、あっという間に時間が過ぎ、お一人お一人のお話をもっと聞きたかったです。
50年分は数日かけて聴かないと、満足しないかもしれません。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2006年12月15日(金) 晴れ オオスズメノカタビラ

だいぶ暖かくなってきて、昼間は気温もたいていプラスだ。
Tシャツ、短パンで外にでる隊員も多くなってきた。
越冬期間中にみんなちょっとおかしくなってしまったかな、とは少し思うが。

これだけ暖かいと植物も育ちそうではあるけれど、南極ではさすがに植物は育たないでしょう、というのは間違いである。
青々とした木々はさすがにないが、地衣類を見かける機会は割合多い。

先日訪れたスカルブスネスやラングホブデでは、黒色の苔を多くみることができたし、緑色や赤色の苔もあった。

#赤い苔

#黒い苔

#緑の苔

ラングホブデぬるめ池東側の海岸近くには、オオスズメノカタビラというイネ科の植物が生えている。
この時期はまだ緑色にはなっておらず、枯れ草のようではあった。
ここには昔、観測小屋が建てられていたようで、南極にこのようなイネ科の植物が生育しているのは、人為的なものなのかもしれない。


#ロープの真ん中の岩の割れ目の一番下流側に生えている。
崖の奥はぬるめ池、遠くは二子山。


#オオスズメノカタビラ

-----12月15日本日の作業など-----
・炭素同位体比分析用大気採取
・温室効果気体濃度分析用大気採取
・二酸化炭素精製
・居住棟VIP&女性用部屋布団セッティング
・O3変動解析
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温-2.3℃
最高気温1.2℃(1429) 最低気温-7.2℃(0306)
平均風速3.3m/s
最大平均風速7.2m/s風向NE(2350) 最大瞬間風速9.8m/s風向ENE(0724)
日照時間 23.9時間

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オオスズメノカタビラのことは、今年の2月に「南極にイネ?」を書いたときに少し紹介しました。
36次ではじめて確認されてから、毎年観察し続けられており、(生えているところにはロープまで張ってあるのですね)47次夏隊でも確認されています。
実際にその写真を見たことがなかったので、一本ひょろっと生えているのかと思っていたのですが、そこら辺に生えているのと同じように大きなひと株になっているのですね。
冬には上に出ている部分が枯れてしまう多年生の宿根草。
日本では九州から北海道まで見られるということですので、しかもどこにでも空き地にでもコンクリートの隙間でも生えてくるので、かなりの根性の持ち主(とっても抜きにくくて草取りの時は厄介者なのですよ)。
昭和基地周辺ほどに寒くなる陸別あたりでも生えているならば、南極の土?の下で冬を越すことは可能かもしれません。
ただ、夏に10℃にもならないところで生きていられるものなのだろうか?というのは少々疑問なのですが、24時間日照のある昭和基地周辺ならば、岩場も温かくなるから大丈夫なのかな。
それに夏にはある程度の水が欲しいところだけれど、池のそばみたいだし、写真のコメントに下流と書いてあるので、水が流れているのでしょうか?

南極にイネ科の植物が自生しているということは、どこかから種が持ち込まれたということですよね。
人為的だとすれば、以前の新聞記事に書かれていたように人間が衣服か荷物などにつけて持ち込んだということになります。
それ以外に南極以外の陸地に出入りするのは鳥。
鳥がおなかの中に潜ませて持ち込むということも、考えられるでしょうか?

南極に自生しているコケも興味深いもののひとつです。
南極展に展示してあった自然のもので写真に撮ってあったのは、ペンギンもアザラシも一枚もなく、ナンキョクオキアミとコケ類地衣類だけだったのには、自分でも笑ってしまいました。
今回送ってくれたコケの写真は名前が書いてなかったので、「南極昭和基地周辺の蘚苔類」で探してみました。
でも、私の目ではどれがどれだかよく分かりませんでした。
南極展に行ったときに撮った写真が2枚。

#ヤノウエノアカゴケ
ナンキョクイワタケ


#クロヒゲゴケ
オオハリガネゴケ

赤いコケと黒いコケと緑のコケがありますが、これらのコケなのでしょうか??
色は見て分かるから、コメントでは名前を書いて欲しかった・・と、ちょっと思ってしまいました。

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