--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

ネッケルホルマネの鬼ヶ城

2006-12-07 | 南極だより・自然
久しぶりに街に出ました。
私の職場は東京といっても里山が残るのどかなところなので、遠くを見るのになれているのですが、街に出ると急に視線が近くなります。
そして、とても圧迫感があります。
時には賑やかなところがいいな、と思うのですが、数時間で飽きてしまうのですよね。
山に行くと何日いても飽きないのに。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
少し前の沿岸オペレーションの続きです。
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2006年11月29日(水) 晴れ ネッケルホルマネの鬼ヶ城

シェッゲの北西に位置するネッケルホルマネは、今回のペンギンセンサスオペの最遠地点だ。
このあたりは結構氷山が乱立し、複雑な地形となっている。

メインルートから逸れて、ネッケルホルマネへの約半分の途上に、面白い形の氷山があった。
中程に穴が開いて反対側まで突き抜けている。
氷山の頭には尖った箇所もあり、まるで鬼ヶ城のようだ。

初めは平らだった氷山だが、漂っている最中に海水中で穴が開き、その後転覆してできたものだろうか。

そういえば往路のシガーレンでもガメラのような氷山を見た。
様々な形を造る氷山。
見ているだけで面白い。


#シェッゲを背にして、シェッゲにも負けないほど変わった形の氷山があったらしい

#パックリと口を開けて、まるで氷の鬼ヶ城

#覗いてみると、鬼ヶ城というには美しすぎる氷の城。
鬼ならぬ雪の女王が住んでいそう


#ホントだ、ガメラだ!

-----11月29日本日の作業など-----
・シェッゲ
・ペンギンセンサス(ネッケルホルマネ)

<日の出日の入>
日の出 なし  
日の入  なし  
<気象情報>
平均気温-0.7℃
最高気温3.1℃(1344) 最低気温-4.2℃(0243)
平均風速6.8m/s
最大平均風速17.6m/s風向ENE(0830) 最大瞬間風速22.0m/s風向ENE(0814)
日照時間 22.8時間

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氷山というものは海に漂っている大きな氷の固まり。
そう思っていたけれど、南極だよりをもらい続けて、ずいぶん感覚が変わってきました。
氷山は、開水面になっていないときは、氷海に閉じこめられてその場からあまり動かずに雪上車や歩きでそばまで行けるものだったのです。
海氷は海の水が凍ったものなのにたいして、氷山は大陸から流れ出たもの。
海氷は舐めると塩辛いけれど、氷山は塩辛くないということです。
ネッケルホルマネの付近には氷山が多いと書いてありますが、おそらく下の写真のホノール氷河から流れ出ているものなのでしょう。

#シェッゲ頂上からホノール氷河を臨む
棚氷(たなごおり)が割れて海に流れ出ると、いわゆるテーブル氷山という上が平らになった大きな氷山になるのでしょうけれど、氷河からの氷山は高低差によってブロック状になりながら流れ出るので、表情豊かな氷山ができあがるのかな、と思っています。
また、このあたりは夏になると開水面が広がるようなので、テーブル氷山よりもバランスの悪い形をしている氷河出身の氷山は、融けたりひっくり返ったりしても不思議はないような気がします。

この写真を見ていると、なんの説明もいらないと思ってしまいます。
ただきれいだな、不思議だな、と思うだけで一日中過ごせそうな気がするのです。
それは雲の形を見ながら妄想するのに似ているような気がします。


#スカルブスネス(赤線は海氷上のルート)

#ラングホブデ(赤線は海氷上のルート)

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