--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

シドニー到着

2007-03-22 | しらせ便り
<この記事は3月31日にアップしています>
かつてスーツケースというもので海外に行ったときに、とてもフットワークが重くなってしまったために、それ以来どこへ行くにもザックが手放せなくなってしまいました。
とにかく背負ってさえいれば両手は空くし、走ることだってできるのです。
それでは渡井さんからの最後のしらせ便りです。
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2007年3月21日(水)曇り シドニー到着

シドニー港外に仮泊していたしらせは、パイロットの到着を待って予定より若干早く、0730頃投錨地のダーリングハーバー第8埠頭に向けて舵を取った。

市街地に入り組んだシドニー湾を左に右にとゆっくり進む。
ヨットや、行き交うフェリー、湾を望む緑の丘陵に建てられた家々が、帰ってきたことを実感させる。

大きく面舵をとると、前方にオペラハウスとハーバーブリッジが見えてきた。
オペラハウスを左に見て、ハーバーブリッジをくぐる。
ハーバーブリッジにはブリッジクライムの人影も。
眼下にしらせを見下ろせるとはなんと幸運な人達であろう。

#なんだか観光船のよう。
予定より早い入港だったためか、停泊地の埠頭には数える程の人しかいない。
入場が制限されているエリアなので、誰でも入れる訳ではないのだが少々寂しい。

#迎えるはずが・・

#寂しい入港になってしまったのですね。
それでも10時前には日本からの出迎え家族の方々も到着した。
入国審査などがあるためすぐに会える訳ではないのだが、距離を隔てて久しぶりに見る顔に大きな安堵感を覚える。
11時前になってようやく家族の方々の乗船が許された。

13時半からは退艦式が行われた。
飛行甲板に並んだしらせ乗員の方々の前を通り抜けてしらせから降りる。
その後は帽振れーの合図とともにお互い帽子を振って式は終わりだ。
式次第にはなかった拍手が、どちらからともなくあがったのは、47次越冬、48次夏季活動の成功を示しているようで嬉しかった。


-----本日の作業など-----
・シドニー入港
・退艦式

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0755シドニー空港到着の飛行機に乗っていた私は、おそらく移動をはじめたばかりの「しらせ」を目にしていたはずです。
ケアンズあたりからオーストラリア大陸の上空を飛ぶため、私の座っていたスターボードの窓際(K席)からは、陸地しか見えませんでした。
ダーリングハーバーを眼下に捉えられないまま空港に着陸すると思っていたのですが、一度南に抜けてから反転し着陸態勢に入りました。
そのとき、シドニー湾の北東に見えたのは「しらせ」だったでしょうか?
それなりの大きな船は2隻しか見えなくて、もう一つは明らかに形が違っていたので、きっとそうだと思ったのですけれど。
ハーバーブリッジの上よりもさらに上から「しらせ」を見た私は、もっと幸運だったのかもしれません。
水路を思わせるように入り組んだシドニー湾は、観光クルーズにもってこいの場所。
上空から見るのもきれいだけれど、港外から入ってくるときの眺めはきっとすばらしかったに違いありません。
船旅の最後にシドニーを選んだのは、なかなかやるな、と思ってしまうほどです。
10時と聞いていた「しらせ」の入港は、9時半頃に早まっていたようで、私がウインヤード駅を降りてダーリングハーバーを見下ろせる場所まで出たら朱色の船が大きく見えていました。
おかげで間違わずにたどり着くことができたのですが、迎えるはずが迎えられてしまうというイメージとは違った状況になってしまったので、ちょっと残念でした。

退艦式が行われてはじめて船を下りることができるらしいのですが、またしても着替えをしている隊員さんたちの姿。
どうやら退艦式は正装で行うらしいのです。
シドニーはまだ夏の終わりの蒸し暑さ。
この中で南極帰りの方々がスーツを着るというのは、なんと暑いことだろう?と思いながら、見守っていたのだけれど、暑さとは裏腹のさわやかな笑顔が印象的でした。
でも、やっぱりとっても暑かったのだそうで、一度退艦した後記念写真でも撮るかと思いきや、あっという間に船に着替えに戻っていってしまったのでした。


しらせのそばには、出迎え以外にも何人かの人がいました。
誰でも入れるところではないので、何らかの関係者の方々です。
便りにも書いてあるように、入国審査をする方、旅行者の方(帰国に際して)、それから大使館の偉い方(違っているかも・・)。
この後、日本までの航路で使われるのかもしれない?観測装置を持ってきた方。
シドニーで積み込まれる荷物(食糧かな?)を持ってきた方などです。
そのほかに、退艦式が行われる前くらいから、数人の同じ服を着た方がおしゃべりをしながら待っている人たちがいました。
退艦式を終えた渡井さんが突然その人たちに話しかけていたので、何だろう?と思っていたのですが、どうやら税関の方たちだったようです。
入国審査は船内で行われたようでしたが、税関は船の外で行われるのでした。
しかも建物の中というわけでもなく、それらしい何かがあるわけでもなく、青空の下で荷物を調べているという感じ。
観測隊員が何か怪しげなものを持ち込むとは思えないけれど、ちょっと不思議な光景でした。

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