本当は古い順にアップしようと思っていたのだけれど、そうも言っていられない事態に・・というのは大げさなのだけれど、今日(10月5日)気象庁から「昭和基地上空のオゾン全量が過去最小を記録」したという報道発表があったので、これは今日アップしないと!と思ったのでした。
それでは、オゾンホールの下で紫外線と闘っている渡井さんからの南極だよりです。(10/5み・くり)
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だいぶ日が長くなってきました。太陽の高さもだんだんと高くなってきて、新発から観測棟に行くまでもサングラスが欠かせないほどです。この時期は凍傷と日焼けの両方に気をつけないといけません。なんだか不思議ですね。(渡井)
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2006年10月1日(日)晴れ
エアロゾルゾンデ(4)オゾンホール
晴天で無風であった今日、エアロゾルゾンデとオゾンゾンデの連結飛揚を行った。
連結飛揚を行うのはこの時期形成されるオゾンホールとエアロゾルの関係を調べるためであることは以前に記した。
PSCは極夜が明けてだいぶ経つのでもう見ることはできないが、この日は成層圏にエアロゾルが観測されたようで、興味ある結果が得られそうであった。
計測で得られたデータは電波でリアルタイムに気象棟まで送られる。
この日も高度10-23kmほどに明瞭なオゾンホールを捉えることができた。
濃度がほとんど0 ppbになっている。
高度18kmほどにオゾンがちょっと多いところがあるが、これは何故できるのかは興味深い。
エアロゾルの方はデータ処理をあれこれしないといけないので、分布図を見ることはまだできないのが残念だ。
#①今回の結果(青の線)
②オゾンホールのない時期の結果の平均値(オレンジの線)
③高度10-23kmあたりは、青の線がオレンジの線に比べ大きく落ち込んでいる
④高度18kmあたりのオゾンがちょっと多い部分:どうしてなんだろう?
右側のグラフは気温を表しています
-----10月1日本日の作業など-----
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・CO2計10日メンテナンス
・CH4計15日メンテナンス
・CO計1ヶ月メンテナンス
・O3計1ヶ月メンテナンス
・エアロゾル・オゾンゾンデ連結飛揚
<日の出日の入>
日の出 5:29
日の入 18:56
<気象情報>
平均気温-22.2℃
最高気温-20.2℃(1625) 最低気温-25.0℃(0356)
平均風速1.4m/s
最大平均風速2.7m/s風向W(0900) 最大瞬間風速3.5m/s風向W(0858)
日照時間 12.8時間
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「オゾンホール」は南半球の春(9~11月ごろ)に、南極域の高度10~25kmの成層圏付近のオゾン量が、南極大陸の上空で極端に少なくなる現象をいいます。
オゾンホールは「極成層圏雲」に書いてありますが、もう一度自分なりに整理してみようと思います。
オゾンホールの原因といわれているフロン(フルオロカーボン)は安定な物質で対流圏では分解されることはありません。
しかし成層圏に達すると、強い紫外線によって分解されて塩素原子(Cl)を放出します。
塩素原子は触媒となり
03+Cl→CO+O2
CO+O →Cl+O2
という反応が繰り返され、オゾンが破壊されていきます。
この反応は塩素原子も酸素原子も多い、高度40kmあたりで起こっているようです。
今回のとれたデータでは10km~23kmあたりでオゾンホールを捉えることができたとのこと。
では、そのあたりではどんな反応が起きているのでしょう?
PSC(極成層圏雲)の表面が化学反応の場になり、不活性な物質(HCl や ClONO2 などの光化学的に不活性な塩素化合物)に取り込まれていた塩素原子が、塩素分子など(Cl2やHOCl)の分子の不安定な成分になります。
春先に太陽光が当たると、塩素原子となり、オゾン破壊のサイクルが続きます。
極渦(上空の成層圏で冬季に形成される低気圧性の渦)があるため、中緯度地方のオゾンの多い空気と混ざることができず、オゾンが極端に少なくなってしまうのだそうです。
中緯度地方では、成層圏にはメタン(CH4)や二酸化窒素(NO2)などの物質と塩素原子が結合して不活性な物質になりますが、南極上空ではそれらがPSCに取り込まれているため、暖かくなって極域成層雲が消えるまでオゾンの減少は続きます。
極成層圏雲ができる高度は大気中で最も冷えた10~25 kmあたりで、そこはオゾンが最も多い場所なのだということも、調べていて分かりました。
調べていて、自分でも勉強不足だなと思うのですが、オゾンホールの捉えられた高度では、フルオロカーボンはどういうふうにオゾンを破壊しているのかがいまいち分からなかったのです。
ちょっとよく分からなくなってしまったので、また日を改めて調べてみることにします。
そうそう、調べていたらオゾンが減少しているときは、温度が低くなると書かれていました。
写真右側の青い線が-80℃を下回っているのはそのせいなのでしょうか。
そういえば、先日の「誕生日記念レーウィンゾンデ放球」のなかに「本日の気温は最低で-80℃ほどもあったようだ。」という記述があったけれど、こういうところからも、オゾンが減少していることが分かるのかなぁ?
それでは、オゾンホールの下で紫外線と闘っている渡井さんからの南極だよりです。(10/5み・くり)
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だいぶ日が長くなってきました。太陽の高さもだんだんと高くなってきて、新発から観測棟に行くまでもサングラスが欠かせないほどです。この時期は凍傷と日焼けの両方に気をつけないといけません。なんだか不思議ですね。(渡井)
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2006年10月1日(日)晴れ
エアロゾルゾンデ(4)オゾンホール
晴天で無風であった今日、エアロゾルゾンデとオゾンゾンデの連結飛揚を行った。
連結飛揚を行うのはこの時期形成されるオゾンホールとエアロゾルの関係を調べるためであることは以前に記した。
PSCは極夜が明けてだいぶ経つのでもう見ることはできないが、この日は成層圏にエアロゾルが観測されたようで、興味ある結果が得られそうであった。
計測で得られたデータは電波でリアルタイムに気象棟まで送られる。
この日も高度10-23kmほどに明瞭なオゾンホールを捉えることができた。
濃度がほとんど0 ppbになっている。
高度18kmほどにオゾンがちょっと多いところがあるが、これは何故できるのかは興味深い。
エアロゾルの方はデータ処理をあれこれしないといけないので、分布図を見ることはまだできないのが残念だ。
#①今回の結果(青の線)
②オゾンホールのない時期の結果の平均値(オレンジの線)
③高度10-23kmあたりは、青の線がオレンジの線に比べ大きく落ち込んでいる
④高度18kmあたりのオゾンがちょっと多い部分:どうしてなんだろう?
右側のグラフは気温を表しています
-----10月1日本日の作業など-----
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック
・CO2計10日メンテナンス
・CH4計15日メンテナンス
・CO計1ヶ月メンテナンス
・O3計1ヶ月メンテナンス
・エアロゾル・オゾンゾンデ連結飛揚
<日の出日の入>
日の出 5:29
日の入 18:56
<気象情報>
平均気温-22.2℃
最高気温-20.2℃(1625) 最低気温-25.0℃(0356)
平均風速1.4m/s
最大平均風速2.7m/s風向W(0900) 最大瞬間風速3.5m/s風向W(0858)
日照時間 12.8時間
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「オゾンホール」は南半球の春(9~11月ごろ)に、南極域の高度10~25kmの成層圏付近のオゾン量が、南極大陸の上空で極端に少なくなる現象をいいます。
オゾンホールは「極成層圏雲」に書いてありますが、もう一度自分なりに整理してみようと思います。
オゾンホールの原因といわれているフロン(フルオロカーボン)は安定な物質で対流圏では分解されることはありません。
しかし成層圏に達すると、強い紫外線によって分解されて塩素原子(Cl)を放出します。
塩素原子は触媒となり
03+Cl→CO+O2
CO+O →Cl+O2
という反応が繰り返され、オゾンが破壊されていきます。
この反応は塩素原子も酸素原子も多い、高度40kmあたりで起こっているようです。
今回のとれたデータでは10km~23kmあたりでオゾンホールを捉えることができたとのこと。
では、そのあたりではどんな反応が起きているのでしょう?
PSC(極成層圏雲)の表面が化学反応の場になり、不活性な物質(HCl や ClONO2 などの光化学的に不活性な塩素化合物)に取り込まれていた塩素原子が、塩素分子など(Cl2やHOCl)の分子の不安定な成分になります。
春先に太陽光が当たると、塩素原子となり、オゾン破壊のサイクルが続きます。
極渦(上空の成層圏で冬季に形成される低気圧性の渦)があるため、中緯度地方のオゾンの多い空気と混ざることができず、オゾンが極端に少なくなってしまうのだそうです。
中緯度地方では、成層圏にはメタン(CH4)や二酸化窒素(NO2)などの物質と塩素原子が結合して不活性な物質になりますが、南極上空ではそれらがPSCに取り込まれているため、暖かくなって極域成層雲が消えるまでオゾンの減少は続きます。
極成層圏雲ができる高度は大気中で最も冷えた10~25 kmあたりで、そこはオゾンが最も多い場所なのだということも、調べていて分かりました。
調べていて、自分でも勉強不足だなと思うのですが、オゾンホールの捉えられた高度では、フルオロカーボンはどういうふうにオゾンを破壊しているのかがいまいち分からなかったのです。
ちょっとよく分からなくなってしまったので、また日を改めて調べてみることにします。
そうそう、調べていたらオゾンが減少しているときは、温度が低くなると書かれていました。
写真右側の青い線が-80℃を下回っているのはそのせいなのでしょうか。
そういえば、先日の「誕生日記念レーウィンゾンデ放球」のなかに「本日の気温は最低で-80℃ほどもあったようだ。」という記述があったけれど、こういうところからも、オゾンが減少していることが分かるのかなぁ?
氷山の氷は、しょっぱくないとか。
そうでないとウィスキーが辛くてまずいですね。
その他にも、沢山の極地での違いを教えていただき
ありがとうございました。
オゾンホールも、南極の寒さできるのでしたか。
となると、南極は怖いですね。しかも地球の一番最南端なので、宇宙に落ちる危険もあります・・・
オゾンホールは確かに怖いですね。
オゾンホールの最大になる時期は南極では春ですが、まだ寒いので、足の先から手の先、頭まで覆っていて、顔くらいしか外に出ていないみたいです。
顔には日焼け止めをばっちり塗っているみたいです。
そういう怖さもありながら、宇宙とつながりながら私たちの住んでいる地球がよく見えるところでもあるのだそうです。