--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

「南極大學」2日目~最終日

2006-03-10 | 夏隊のしらせ便り
「しらせ」乗船中の高野さんが、「南極大學」の2日目から最終日までの講義の概要を送ってくださいました。
高野さんによると「南極大學」は、こだわって「學」の字をあてているのだそうです。
こんなにこだわりがあったのに、先日は早とちりして「しらせ大学」なんて書いてしまってごめんなさい。
-----------------------------------------------------

3月7日(第2日目)
1. 五十嵐 誠 教授(46次)
 「100万年前の氷を求めて」~ドームふじの現場から~

2. 野木 義史教授(47)
 「日独共同航空機観測としらせ地圏海洋観測」~その目的と成果~


五十嵐教授は,第46次南極地域観測隊においてドームふじの氷床コア掘削現場に携わられておりました.過去100万年の氷床コア試料の解析から過去の地球環境の変動記録を高分解能で読み取ることに挑戦されています.

野木教授は,S17を拠点にドイツの研究チームと共同して,南極氷床下の構造解明を目指されています.また,しらせから南極大陸周辺の 地磁気・重力を調べられており,その速報知見を発表して下さいました.

===
3月8日(第3日目)
1. 田阪 茂樹 教授(46次)
 「ラドンはどこからやってくる」~ラドンはどのような経路で南極にやってくるのか?

2. 下田 春人 教授
 「JARE47 海氷観測速報」~リュツォ・ホルム湾における氷厚・積雪分布


田阪教授は,独自で開発された世界一の高感度を誇る「ラドン検出器」を用いて,南極大陸に飛来するラドンの検出に成功され,その起源についてご発表されました.

下田教授は,リュツォ・ホルム湾近海の氷厚・積雪分布について最新データを取得され,約20年間に渡る中長期変化について考察されました.

===
3月9日(第4日目最終日)
1. 高野 淑識 教授(47次)
 「南極の生き物と歴史」~環境変動の記録と生態系~

2. 張替 一史 教授(46次)
 「アンテナ島からの雪上車の回収」~環境保全の立場から~
3.洪 鍾國 教授(47次)
 「韓国における南極観測」


高野の要旨(原文のまま):南極大陸の約98%は,氷床に覆われているといわれています.私たちは,残り2%の氷縁部で露岩を目にすることができます.氷河や氷雪から融解した水は,沢や湖沼を形成し,南極特有の生態系を潤しています.また,南極大陸の氷縁部は,過去に海に覆われていた時代があります.その環境変動の記録は,現在の南極湖沼に残されているかもしれません.それらの一端をご紹介します.

張替教授は,かつて大型廃棄物の処理を行なっていたアンテナ島での環境保全の取り組みについて報告されました.作業現場で撮られた映像を駆使され,越冬中のエピソードを分かりやすく解説されました.持ち帰った雪上車の一部は,南極観測50周年記念事業で展示される予定ということです.

洪(ホン)教授は,韓国極地研究所からJARE 47に派遣されました.ご専門は,地球物理学です.
韓国が将来に描く,南極観測事業の一端をご紹介下さいました.

----------------------------------------------------------------
一つ一つ調べ始めると大変なことになりそうです。
どれも大変興味深く、相変わらず知的好奇心を刺激されるものばかり。

高野さんの講義は、具体的にはどんなことが話されたのだろう?
日本にお帰りになったらちゃんと聞いてみたいなぁと思います。
田阪教授は、渡井さんの前任者でいらっしゃるのですが、専門はずいぶん違うようですね。
ちょっと調べたところによるとラドン検出器はご自身の発明品で特許をとっていらっしゃいました。
つくっちゃうんだ?!すごい!
渡井さんが観測器を調整する話を聞くだけですごいと思うのに!
でも、観測隊に参加する人たちは、そういうすごい人が多いのですよね。

最新の画像もっと見る