--Katabatic Wind-- ずっと南の、白い大地をわたる風

応援していた第47次南極地域観測隊は、すべての活動を終了しました。
本当にお疲れさまでした。

おかえり! アデリー

2006-10-21 | 南極だより・野外オペ
地上オゾン濃度連続観測の記事を書くのに、6時間もかけてしまった私。
調べているうちに面白くなって、調べるだけで3時間。
分からないことや発見を行きつ戻りつしながら何とか文にまとめるまで3時間。
それはそれは面白かったけれど、気付いたら腑抜けのようになっていました。
今日も地図を起こすのにパワーを使ってしまいましたが、それも楽しいのです。
読んで分かることよりも、描いたり書いたりしているうちに疑問に思ったり分かったりすることがどれだけ多いのか大人になってから実感しています。
本当はもっと自分の手でやったり、行ったりしてみたいのですが、さすがに南極までは行けないので仕方ないです。
それでは、渡井さんからの南極だよりです。
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2006年10月20日(金)曇り おかえり! アデリー

11月に行われるペンギンセンサス用のルート工作を行った。
ペンギンセンサスとはペンギンルッカリー(営巣地)での個体数の変化をモニタリングする観測である。

今日の目的地はオングルカルベン、弁天島、まめ島、そしてルンパ。
午前中にオングルカルベンと弁天島、西オングル近くまで引き返した後、午後からまめ島、ルンパへと下るルートを開く。

オングルカルベンは先日行われたOKルート終端での海底堆積物掘削支援の時、途中寄ったのだが、その時はアデリーは全くいなかった。
が、今日は4羽ほど確認できた。
その後に訪れた弁天島にはまだ訪れていなかった。
まめ島はオングルカルベンよりちょっと多い程度か。

今日の最終目的地のルンパにはかなりの数のアデリーが既にきていた。
北側の浜から上がったところと、東側の浜に営巣地があるようで、なかでも東側の浜には数10羽程度のアデリーが集まっていた。
まだ繁殖活動は行っていないようでただ突っ立っているだけだが、久しぶりにみる仕草は相変わらず可愛らしい。

さて、アデリーは一体どこからくるのだろうか?
最近暖かくなって雪が溶け始めたとはいえ海はまだ開いていない。
せいぜいアザラシの穴が開いているくらいだ。
まだまだ北にある氷縁部から延々歩いてきたのだろうか?

ルート工作の途上アデリーを数羽目撃した。
あるときはぽこぽこ歩いて、またあるときは腹ばいになってルンパを目指しているようだ。
いずれのアデリーも全て単独行動。
群れになっているのは見なかった。
現地集合なのだろうか?


#アザラシの後ろを通ってルンパに向かいます
アザラシはなんと親子です。近寄ってみたい・・


#おなかで滑って・・もうすぐルンパです

#雪をかき分けルンパに上陸です

#ルンパ北側のルッカリー

#東側のルッカリー
こちらのほうが数が多いです
見えますか?小さい黒い点々がアデリーです


#とりあえずは立っているだけ

#気に入った石を探して拾ってます。
でも巣作りというわけではなさそう。練習?


-----10月20日本日の作業など-----
・ペンギンセンサス用ルート工作
・CO2, CH4, CO, O3濃度分析システムチェック

<日の出日の入>
日の出  4:03
日の入  20:13
<気象情報>
平均気温-16.2℃
最高気温-13.8℃(1204) 最低気温-19.5℃(0103)
平均風速3.4m/s
最大平均風速9.7m/s風向ENE(0320) 最大瞬間風速11.7m/s風向E(0300)
日照時間 0.0時間

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とうとうアデリーが帰ってきたようです!
おかえりー!!
冬の間は北の方へ行っていたというのは何度も聞いたのですが、どの辺りにいたのかはいぜん謎。
でも、とりあえずそんなことはいいのです。
アデリーのかわいい姿が見られることにウキウキしてしまいます。
さて、少し冷静になって、どこへルート工作に行ったのか見てみることにしましょう。

#画像をクリックすると別窓で大きな画像を見られます
この地図は、リュッツォホルム湾東側。
北側はとっつき岬から南のラングホブデまでを描いてみました。
アデリーペンギンが営巣を行う場所はいくつかあるそうですが、今回はその中の4つの島までのルート工作をしたようです。
昭和基地にはまだ来ていないようですが、営巣地にはずいぶん到着しているのですね。
しかも、現地集合?
昨夏は集団で遊んだり移動するアデリーの写真を何枚ももらいました。
集団でいるのは天敵から身を守るためだと聞いています。
アデリーペンギンの天敵って、誰?
何しろ南極にいる生き物は限られていますから、天敵といえばアザラシかナンキョクオオトウゾクカモメくらいですよね?
しかもナンキョクオオトウゾクカモメはヒナや卵は襲っていても、成鳥のアデリーを襲っている写真は見たことがないです。
アザラシは陸に上がればそれこそアデリーよりも分が悪いという感じがします。
写真でも子育て中のアザラシのすぐ後ろをひょこひょこ歩いているみたいですし。
ということは、今の時期は天敵がいない?
海の近くだ海にエサをとりに行くためにみんなで行動しているということなのでしょうか?
昭和基地の近くまで海が開けると集団行動になるのかもしれませんね。
ところで、このアデリーたちはどこから歩いてきているのでしょう?
先日、OKルートでは昭和基地から36kmあまり沖まで海氷上を進みました。
それ以上は雪上車を進めることができないだけで、その先も海氷は続いていると思われます。
いったいどのくらいの距離をアデリーは歩いてきている?
それも、どのくらいの時間をかけて歩いているのでしょう?
歩き始めたのは一緒でも、それぞれの歩く速度でバラバラになってしまったのかなぁ?
もっと疑問なのは、そんなに遠いところから歩いてきて営巣地に到着したのはいいけれど、エサを取りに行けないですよね?
しばらく食べないということ?
コウテイペンギンも長い間食べずにいるということだったので、アデリーもそうなのかもしれないですね。

これからたくさん集まってきて、子育てをはじめるアデリー。
もう夏なのですね。
既に日の出は3時台、2時半のレーウィンゾンデ飛揚の時間帯には明るいのです。
これからの数ヶ月は飛ぶように時間が過ぎるのでしょうね。
賑やかな季節になる楽しみと裏腹に何とも言えない寂しさがあります。
こうやって47次隊を楽しんでいる時間も、あっという間に終わってしまうのだろうなぁ・・。

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