ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

One Perfect Rose

2006年03月17日 | P-Q
One Perfect Rose
By Mary Jo Putney メアリー・ジョー・パトニー (Apr,1998)Ivy Books

Fallen Angelシリーズです。
Story:    
Dialogue: 
Hero:    
Heroine: 
Sensuality: 7

涙、涙の感動もので主人公たちの感情がよく描かれているので、星4つか5つが相応しいと思う人がアマゾンには多いのですが、私からはハート3つと半です。
お話はありふれたプロットなのでハート3つですが、作家の筆力のおかげでよく書かれているので小さいハート1つ付け足します。
これも別にHRでなくてもいいお話です。

ヒーローはスティーブン、Ashburton公爵です。ある日、お抱え医師から「不治の病」と診断されあと6ヶ月ほどの命と宣言されます。気持ちの整理をするために身分をかくして出た旅先で、ヒロインのロザリンと出会います。

フランス革命で両親を無残に殺され孤児となっていたロザリンは愛情深い旅芸人夫婦にロンドンの街角で拾われ養女として育てられました。優しくて思いやり深い女性です。

二人はスティーブンが気持ちの整理をつけるために出た旅先で出会い、恋に落ち、残りわずかな人生を共に過ごすために結婚します。二人のダイアログは大人の静かな恋を描いており、二人の魅力が引き出されています。性格や心理描写も優れているので「今死ななければいけないなんて不公平だ!」という絶望的な感情がよく伝わってきて、泣かずにはいられません。

ですがお話も中盤をすぎてくると内容の暗さがかなり単調になってきます。最初から最後のエピローグ寸前まで、スティーブンは「不治の病で残りの命あとわずか」の悲劇を繰り広げます。が、ハッピーエンドはロマンスノベルのお約束で、ヒーローが死なないのは分かっているので、早いうちに事件解決を持ってきたようが良かったかもしれません。

最初から最後まで、何が原因でスティーブンが病気なのか(=医師の処方した薬)、誰の仕業か(=医師)、最後はどうなるか(=死なない)が分かるので、あまりに暗いシーンの時はページを飛ばして早くハッピーエンドを読もうかと思いました。

しかも、あらすじでほのめかされているような身分の違いから生まれる悲哀はほんの一瞬だけで、話の展開にあまり影響はありません。
あと、危篤の時に「死後の世界」をスティーブンは経験しますが、これはメロドラマチックすぎです。

作者の表現力は優れているし、感動物のお話につられてつい星を4つ5つつけてしまいがちなのでしょうが、お話自体はありきたりで単調です。

この作品は泣きたい気分の時にどうぞ。


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