ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

The Book of Scandal

2009年03月04日 | L

Julia London. 2008. The Book of Scandal. Pocket Books.
久々のオススメマーク付き。

Story:      
Dialogue:  
Hero:        
Heroine:    
Sensuality: 

表紙をめくると、「この物語は子供を亡くした全ての女性にささげます」と書いてあるので、「あ~、妊婦の私はこういうネガティブなの読まないほうがいいかも…」と最初はブルーでした。
でもこのお話はそのような悲劇に見舞われたヒロインがもう一度立ち直ろうと努力する様や、子供を亡くしたせいで心が離れてしまい別居していた夫婦がその悲劇を乗り越え、もう一度やり直そうと努力し、もう一度恋に落ちるお話。
ハンカチのご用意を~。

                   
1800年代。
幼い息子の死後、楽しかった結婚生活は急にその土台の無さを見せ、崩れてしまいます。
Nathan Grey(Lindsey伯爵)は酒におぼれ、目的もなく遊び続ける生活はロンドンにまでも聞こえてきます。
一方、妻Evelynのほうも、思い出がたくさんつまった城にいるのも耐えられなくなり、ロンドンで宮廷侍女となっていましたが、彼女が色々な男性と浮名を流しているのも有名な話となっていました。
そうやって3年間、夫婦は手紙をたまにやり取りするだけで、別居生活となっていました。

が、ある日、Caroline王女が過去の色々な情事をしたためた"The Book of Scandal"の中でEvelynのことも触れられている、もしかしたらその本が出版されてしまうかもしれないということがNathanの耳に入ります。

Nathanは伯爵家の名誉を守るために、いよいよ3年間の壁を乗り越え、Evelynを城に連れ戻す決心をし、一路ロンドンへ。

3年ぶりに会った妻は成熟してさらに美しくなっており、Nathanの彼女に対する思いは蘇ります。

が、かたくなに城にはもどらないと言い張るEvelyn。
スキャンダルが暴露されるまでにもう時間がないと悟ったNathanは外出先でEvelynをさらって家に連れ戻します。

                       

Julia Londonはちょっとダークで激しい感情の描写がいいです。
が、実はこれまでに読んだJ.Londonのもので「コレ大好き!」というものはないんです。
でもどうしても時間をおくと変な魅力に駆られ、「これも読んでみようか」と手が出るのはそのせいなのかなーなんて。

>>Wicked Angelにしても>>The Rogues…シリーズにしても、>>The dangers of…(Desparate Debutante)にしても、最後には何か一言ネガティブなコメントを残してる私。

でも、今回のThe Book of Scandalは気に入らない点はありませんでした。

ただただ悲嘆にくれ人生をダメにしてしまうのではなく、かつて幸せをもたらしてくれたその小さな命や様々な思い出を大切にしていくことのほうに意義を見出す…。
その過程で、
心も体も離れていた夫婦は過去の互いの過ちを認め合い、やり直すというよりは新しい人生を築いていきます。

ただ、ハートマークが満点にならなかったのは、私の偏った好みと、妊娠しているせいです…。子供が1歳で死んじゃう話はやっぱり暗いです。
それに、Mary Baloghのような潔癖なまでの純愛がやっぱり好きな私。
他のジャンルでも色んな悲劇を使ったお話はあるので、自分が言っていることはものすごく勝手なのは分かっています。
けど、ロマンス小説ではロマンスを中心にして欲しい私はハートマーク減らしちゃいました。

アマゾンなどで一つ目立つネガティブなコメントがあります。
「Nathanの女遊びは何のお咎めもなしなのに、Evelynが他の男性に対し気持ちが傾きかけていたことに対してNathanの非難が集中していたのには納得いかない。」

確かに、その時代普通だった「男は女遊びしてもいいけど、女は身も心も貞節を守らなければいけない」というダブルスタンダード。
だいたいロマンス小説ではそのダブルスタンダードに対してH/H達かそのどちらかが疑問を抱き、それに抗います。そういうのが現代に書かれたヒストリカルロマンスの醍醐味でもあります。

でも、この"The book of scandal"では、Nathanの「性欲を満たすためなら仕方が無かった。でも心では貞節を守っていたから自分はOK」というままでやり過ごされています。
これに対し納得がいかない現代の読者がいても不思議じゃありません。
私も「え~~」と理不尽さは感じたけど、お話全体としては次々とページをめくりたくなる展開で良かったですよ。



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