ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

The Kite Runner

2009年07月27日 | Journal
今日はフィクションと、ノンフィクションをもとにした映画のレビューです。

ずっと前に「すごく良かった」の一言だけ触れたことがあるんだけど、ずっとこのブログでもオススメしたいなぁと思ってたので。

ロマンス本だけじゃなくて、ハイ、こういうのも時々読みます。


"The Kite Runner" 

A Must Read!

「切なさ」「忠誠心」「罪の償い」の本当の意味を知る一冊。


カブールで育つお金持ちの家の息子Amirと、その家の召使の息子Hassanのお話。

1970年代の比較的安定したアフガニスタンで二人は幼少時代を過ごします。凧揚げ競争をしたり、ぱちんこで石を飛ばしたり、お話を作ったりして二人は兄弟のように育ち、お互い離れがたい存在に。

しかし、Hassanは文学の才能以外、何においてもAmirより優れており、常にAmirの父の賞賛を浴びているのでAmirの嫉妬の気持ちと劣等感は年々強くなってきます。

そんなAmirは、とても自分に忠実で誠実なHassanに対し、許しがたい裏切り行為を犯してしまいます。

その後すぐAmirと父はタリバン政権下になった国を去り、アメリカに移民してしまいますが、臆病なAmirの心の片隅にはいつも罪責の念が残っていました。

何年も後、結婚し幸せに暮らしていたAmirのもとへHassanのふ報が届くと同時に、Hassanの息子が行方不明になっているとも知らせを受け、Amirは一路アフガニスタンへ…。



自叙伝ではなくフィクションということを忘れてしまいそうなくらい現実味があります。

テロ戦争のせいですっかり悪者国のイメージが強くなってしまったアフガニスタンですが、飄々と政治的出来事を受け入れているかのように見える子供達の視点から当時のアフガニスタンが受けた歴史的傷跡を知り、美しい国アフガニスタンを知ることもできます。

私はコレ、映画も見ましたが本のほうが良かったです。
本のほうが登場人物の心情をよく読み取れました。

映画の邦題にもなった「君のためなら千回でも」という一言、忘れることが出来ません。

号泣。ハンカチのご用意を。

                   
日本は夏ですね。
テーマパークで働いてる友人は「早く夏休み終われ」とブチブチ…。
メルボルンは冬真っ盛りです。
寒いけど、LHと散歩はしょっちゅう。

授乳量が増えると同時に、昼寝も2時間以上してくれるようになり、授乳回数も一回減ったので、ゆっくり座って読書をしたりFoxtelで映画を見ることが出来るようになってきました。

そんな今日この頃ですが、見たいと思っていた映画"The Diving Bell and the Butterfly"を見ました。
                
原作本は同題で、1998年Vintage Booksから。
邦題は「潜水服は蝶の夢を見る」。

1/2

本は144ページと短めだけど、これはなんと脅威の努力と信念のたまもの。
全身麻痺の作者 ジャン・ドミニク ボービーが唯一動く左目の瞬きだけで文字をつづったものです。

珍しいタイプの脳梗塞の発作に見舞われ、40代の若さでLocked-in Syndromeという、心は正常だけど体は全く動かないという残酷な状態に陥ったジャンドー(ジャン・ドミニク)。
絶望するも、瞬きだけで意志伝達の方法を学ぶと、音のない言葉で彼の思いをつづり始めます。ただただひたすら沈んで行く潜水服(Diving Bell)の中でもがきくるしむようなジャンドーの未来はなくなったかもしれないが、しかし「僕には記憶と想像力がある!」と。

子供達の髪の毛をクシャクシャっといじったり抱きしめてあげられないことのつらさや、年老いた父の声を電話口で聞いた時の悲しさ。
そんな過酷な現実を味わった次の瞬間には、愛する人とビーチで抱きしめあっていたり、おいしいものをお腹一杯食べたり…とジャンドーの美しい想像の世界へ引き込まれます。
こん睡状態と意識のある状態を行き来し、想像の世界から徐々に発作を受ける前の記憶も甦ってきます。

まだ読んではないけど本のほうがいいのでは?と思うものの、映画でもジャンドーの時折悲しげな、でも残りの人生に前向きな語り口調が良かったし、彼の残酷で限られた視界と果てしない美しい想像の世界は見る価値アリ

今度は、せっかく2万回以上もの瞬きでつづった文章なんですから、やはり原作もきちんと読みたいですね!


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