ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Somewhere I'll find you

2006年03月07日 | J-K
Somewhere I'll Find You
By Lisa Kleypas (1996) リサ・クレイパス

Story:   
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:   
Sensuality: 7.5/10

ヒーローのDamien、Savage侯爵(Leeds公爵の跡継ぎ)とヒロインのJuliaは子供の時に、双方の家の利益のために結婚させられました。その後二人は全く別々の人生を歩んでおり、ダミエンは裕福になり、ジュリアは舞台女優になっていました。

ダミエンはある日、有名な舞台女優[ジェシカ]に一目ぼれします。実は彼女が行方不明になっている名前ばかりの自分の妻ジュリアだと知らずに最初から強く魅かれていきます。

ジュリアも自分の夫だとわかっていながら魅かれていきます。ですが、ジェシカとして彼の愛人にはなれないし、自分が妻だと明かせば女優としてのキャリアと自立性が奪われるのでかたくなにダミエンを拒みます。

お話の後半は真実が明かされ、ダミエンが一生懸命ジュリアを説得するのに費やされます。マジメで苦悩に満ちたヒーローはまあまあですが、ヒロインジュリアのキャラクターは尊重できる部分はあっても同感できる部分はあまりありません。

この作品の大きな欠点は、ジュリアがダミエンと結婚できない理由にあります。彼女の主な言い分は、女優として成功しており自分で自由になるお金もあり独立しているので、結婚して旦那の言いなりになって窮屈な生活はしたくない、というようなことです。ですが、当時の舞台女優は高級娼婦でもあったので、(もちろん、ヒロイン自身は体を売らない舞台女優となっていますが)自立とひきかえにそのような卑しい身分に留まっていたいというヒロインの気持ちには同感できません。リージェンシー時代の上流社会で育った女性の考えだとは納得し難いです。しかも話が進むにつれ、この彼女の大義名分が説得力に欠けてくるのです。現代のキャリア志向で独立した女性の気持ちを反映させたかったのでしょうが、このお話では無理があります。

お話自体があまり印象的でないのでラブシーンも印象に残りませんが、それでもクレイパスならではの期待を裏切らない7.5です。 クレイパスはもっといいものを書いていますが、この作品は時間がある時にザーと読み流すのがいいと思います。

Spoiler
お話をひねるために、ダミエンの過去の愛人が妊娠をいつわるのや、次の作品のヒーローLogan Scottが位置づけできない役どころで出すぎているのは、お粗末でした。


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