ヒストリカルロマンスアワー

Historical Romance Hour

Not Quite a Lady

2007年06月06日 | C
Loretta Chase. 2007. Not Quite a Lady. Avon Historical Romance.

満足満足

Story:     
Dialogue:
Hero:      
Heroine:  
Sensuality:

Darius Carsingtonは生物・生態学に詳しく、論文誌に論文も寄せる知的派。でも、尻軽なひととなら誰とでも寝るハンサムな女たらし。一夜を供にした女性でも振り返りもしないので、感情を持ち合わせず冷たいといわれることも。
ある日父親から、とある土地と屋敷を一年以内にたてなおし利益をそこから得ることができたら、結婚は無理強いしない、好きなようにしていいという、ある種の挑戦状をたたきつけられ、一路Cheshireへ。

プロローグですでに読者にはヒロインの秘密が明かされていますが、それ以降、Lady CharlotteはCheshireで静かに暮らしていました。
いつもの散歩道でDariusと出会い、彼女の生活は変わります。

ここからはもう、読んでからのお楽しみです
最初の二人のやりとりに始まり、最後気持ちが通じるまで、二人ともとってもカワイイんです。(笑

         

Chaseの作品は他に3冊読んだだけですが、今回のお話のキャラクター達の描写はその3つの作品に比べると少し浅いです。
特に"Captives of the Night"(レビュー草稿中)の激しいキャラ達と比べると、あっさりというか、ほんわか、というか。

あと、細かいことですが、ちょっとした矛盾点も…。
Dariusは知的ということなのですが、動物の交尾と人間の性交渉を同じレベルでとらえていて違いが見えないところが、あまり知的には見えませんでしたケド
それに、すぐに彼の「お友達の"Logic"」と相談しはじめるのですが、結局なんだか短絡な結末に行き着いているところは、人間関係やコミュニケーションはロジックだけには収まらないということが分かっていない証拠で、ちょっと頭が悪くみえるほどでした…。

あと、Dariusのライバルがもうちょっと絡んできて読者をドキドキ心配させる展開などももうちょっとあったらよかったのになぁ、なんて思ったりもしたけど、ま、ここで挙げたことは些細なことです。お話自体に大きな影響を与えてるわけでもなく、H/Hは二人ともとても好感がもてたし、他の登場人物のことも好きにならずにはいられませんでした。

Charlotteの暗い秘密はプロローグで全て明らかになりますが、ぜひ読んでみて、彼女の気持ちを最初から最後まで追ってみるのをオススメ。
案外、秘密をDariusに話そうと決心した過程はあっさりしてましたが、彼の反応・対応には惚れてしまいましたヨ

今回の作品は、Carsington兄弟シリーズの最終回。全部読まれてるRaquelさんは、この最終回でもうちょっと過去のキャラが出てきたら良かったのにとおっしゃってます。
私も、以前Charlotteの結婚相手に挙がったというDariusの兄、"Lord Perfect"とうたわれるBenedictとの再会のシーン、おもしろそうだと思います

Claiming the Courtesan

2007年06月02日 | C

Anna Campbell. 2007. Claiming the Courtesan. Avon Historical Romance.

いわゆる、衝撃的デビュー作! です。
S.Laurensが"Regency Noir"「暗黒リージェンシー」と評し、4月に出版されて以来、オンラインではちょっとした話題になっています。

このお話は暴力はないけど強制的なラブシーンがあります…。

Story:        
Dialogue:  
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 

ヒロインSorayaはロンドンで一番人気の高級娼婦。Justin、Kylemore公爵は6年前に彼女を一目見て以来、ずっと彼女を自分のものにすると決めていました。

そしてお話は、やっとKylemoreが彼女を自分の愛人にし、1年の契約期間(記念日?)を終えたところから始まります。
1年経った時点で二人のうちどちらかが関係を終わらせたければ終わらせることができるという契約内容だったのですが、Kylemoreはプレゼントを渡しこれからも契約続行のつもり。
そして、Sorayaと安らぎのひと時を過ごして家に帰ると、自分勝手で自分の都合のいいように事を運ぶためなら何でもする母親から、彼女が選んだ女性と結婚しろとうるさく言われます。
普段から母親に対して我慢の限界にきていたJustinは、その日の午後Sorayaのところに戻り、結婚を申し込みます。

Soraya(本当はVerity Ashton)は、愛人としての契約を続行する気は毛頭なく、貯えは充分にたまったので、長年の娼婦生活に終止符を打ち、弟と二人で田舎で静かにくらす計画をたてていました。
そして、いざ計画を実行しようとしているところへ思いもかけず公爵が戻ってきて、プロポーズされます。
が、彼が誰か他の人を傷つけるために自分を利用していることはVerityの目には明らか。
怒りを抑えて断った後、公爵が次の日にまたもう一度返事を聞きにくる前に、公爵に買ってもらった家を売り、弟と姿を消します。

何も言わずに去ってしまったSorayaに対し、公爵の怒りは爆発!おさまるところを知りません。
3ヶ月かけて彼女の居場所をやっと探り出すと、静かに暮らしていたVerityを誘拐しスコットランドへ連れ去ります。そこで彼女の意思を無理やり変えさせるのです。

Sorayaという仮面をかぶりSorayaの人格を作り出し、純真な部分を守ってきたVerity。
Kylemoreは他のどの男性とも違うのは分かっていたので、気をつけていたつもりだったけど、誘拐されるなんて思ってもいませんでした。
それに、もうSorayaには戻らないと誓っていたVerityは心も体も無防備。スコットランドの猟小屋で彼と夜を供にし、傷つかないよう戦ったのは真のVerityでした。

        

Regency Noir…。確かに、明るいお話じゃありません。
まず、18・19世紀当時のハイランド放逐が背景に絡んでいるところからして、暗いです。

Verityの生い立ちも、厳格で宗教的な家庭で育ったことになっています。そんな人たちから一番破滅的な職業とされる娼婦の道を選ぶしかなかったいきさつは、「もし自分がそうだったら」と想像してみると泣けてきます。
あの時代、誰も頼る人もいず、自分自身も子供なのにさらに幼い弟と妹を抱えて他にどんな道があったでしょう。

Justinのほうも、とんでもない両親を持ち、暗い子供時代を過ごし、普通に育つことができたのが不思議なくらい大変な過去を背負っています。
(…あ、でもVerityを執拗に追いかけ回すのはちょっと普通じゃなかった…

でもこのH/Hの二人のセリフや心情はどのページをめくっても激しかったです。

強制的なセックスの部分に関しては、RakehellでもThe Romance Readerでもかなり批難されているし、誰でも不愉快になるでしょう。(TRRではハートマーク2個)
私ももちろん不愉快でしたが、ここに作者と読者層の時代のギャップを感じました。実際、作者の写真を見るとJulia Quinnのような若い世代ではありません。
Rakehell(だったかな?)でも触れているけど、70年代はこういう、ヒーローがあまりにヒロインを好きなために性的に支配しようとするお話がよくあったらしいです。

次のお話はこの内容の濃さやキャラ達の激しさを維持しながら、もっと別のファンタシーを掻き立てるお話にして欲しいです。

なんにせよ、内容が濃く、激しく、読了後の興奮さめやらず、です。
私は1日で読み終わりました(家事も添削もなにもかもほったらかし)。

エピローグが欲しかったけど、Risky Regencyブログでの読者達へのコメントを読むと、作者が想像するエンディングがわかります。


メルボルン出身・在住の作家さんなので、市内のロマンス小説専門店Rendezvous the Romance Bookstoreでこの本を買ったらサイン入りでした

>>Anna Campbellのホームページ
12月に"Untouched"という新刊がでます。

>>Risky RegencyブログでのCampbellのインタビュー。読者・ファンたちのコメントにも丁寧に答えています。



Campbellのリージェンシー・ノワール第2弾も出ました>>"Untouched"


My Dear Duchess

2007年02月13日 | C

Marion Chesney. 1979, 1987. My Dear Duchess. Signet Regency Romance, Thorndike Press, Chivers Press, Thorndike: Maine USA; Bath, England.

19世紀の英国の雰囲気たっぷり。お休みの日に気楽に読める一冊です。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   

ハンサムな軍人Mr. Henry Wrightは、Clarissaの表面的な美しさの虜。
でも冷酷に「ただの軍人なんかと!」と結婚の申し込みを笑い飛ばされ、Henryは自分は何も見えてなかったと悟ります。

家に帰って友人に一連のことを打ち明けていると、弁護士達が現れ、あれよあれよという間に、Henryは遠縁にあたる前公爵のWesterland公爵領を相続することに。
しかし、流動資産だけは1ヶ月以内に結婚しないと相続できないという条件付き。

またClarissaのような浅はかな女にひっかかっても嫌だな、どうしよう、と悩んでいるところへ、Fredericaが舞い込んできます。
継母と義理の姉ClarissaからいつもいじめられていたFredericaは、このままだと一生幽閉されてしまう、とHenryの愛人にして欲しいと頼みます。

愛人よりいい手があるじゃないの、という友人のススメで、二人は結婚することに。

Henryは、まだ若いFredericaにプレッシャーをかけないように、結婚は形だけ、自分は好きなようにすればいいよ、と説明しますが、
この彼の言葉、密かにHenryに憧れていたFredericaには逆効果でした。

      
どんどんすれ違っていくお話が好きな人にはいいと思います。
でも、私はこういうお話って、いつどこで二人が関係を築いていくのか不思議でしょうがないんですけど…。

でも、ま、簡単に気軽に読める一冊でした。


Pendragon

2006年09月14日 | C

Catherine Coulter (2002) Pendragon. Jove Historical Romance.

Story:      
Dialogue:  
Hero:       
Heroine:   
Sensuality:

つまんない。読み通すのが苦痛で途中でやめようかと思いました。
AARによるとこのシリーズのほかの作品はいいようですが、この作品はまったくダメです。

最初の1,2章は飛ばして読んでもお話を理解するのにさし障りはありません。ネコのレースとかレース用ネコの飼育の話なんですが、まったく本編と絡んでいません。まったく、です。
あとは頭の悪いヒロインMeggie Sherbrookeが失恋の勢いでヒーローThomas Malcombe、Lancaster伯爵と結婚するのですが、その後のお話はまったく筋が通っていなくて、どうやったらこんな脈絡のない「物語」が書けるのか、作者の精神状態が心配になるほど。ドラッグやってないよね?って。

この作品は避けて通るべし。


Lord of Scoundrels

2006年08月26日 | C

Loretta Chase (1994) Lord of Scoundrels.
Avon Historical Romance.

Story:  
Dialogue:
Hero:   
Heroine: (怒らせるとコワイ)
Sensuality:

AARの読者人気投票で2000年と2004年に連続で1位に選ばれたこの作品。AARの批評ではAグレードです。
RaquelさまのVida Cotidianaでもすでにレビューされてます。

スピンスターでブルーストッキングなJessica Trent。婚期はとっくにすぎているとは言えど紳士達の視線をとらえて離さない美しいJessは芯のしっかりした弟思いの姉でもあり、かなりエキセントリックでもあります。
弟Bertieがギャンブルで財産を食い尽くしてしまう前に、彼に悪影響を与えているLord Dainから切り離そうとJessはパリにやってきます。
どんなふしだらな与太者がかわいい弟をダメにしているのかと思っていたJessですが、実際にDain侯爵と会ってみてびっくり。一目見た瞬間にDainと「あんなこと」や「こんなこと」を想像してしまいます。

お話の前半はDain侯爵のひたすら暗~い生い立ちから始まります。
Dainがどれだけ人を利用するかとか、女性(特に売春婦)を人間扱いしないところや、私生児が生まれてもお金で解決するところなどは、この生い立ちから「理解してね」ということになっています。私は私生児のことでか~な~り引きました。

そんなDainですが、Jessと出会うことで変わっていきます。

彼もJessを一目見た瞬間に「アンナコトコンナコト」を想像してしまうほど惹かれます。彼の場合きれいな女性なら誰でもそうなのですが、Jessの場合は特別だったんです。それ以来、表面上は相変わらず素直でなくScoundrelな行動を取り続けますが、実は彼女のことが頭から離れず、売春婦にも興味がなくなってしまいます。(気分を変えようとして乱交パーティーを実行しますが、突如Jessが乱入・・・!)

絶世の与太郎Dain侯爵とスピンスターとは言えどれっきとした上流階級出身の婦人であるJessのうわさはパリの貴族社会で一番の話のネタとなります。

そして、あるパーティーで二人はキスしているところを発見され、DainはJessの罠だと思い込み怒り、彼女をその場に放っておいて去ってしまいます。
このあたりから俄然おもしろくなってきます。
数日後Jessが弁護士を通してDainに連絡を取ってきたとき、Dainは「やっぱり女はみんな同じだ」と怒り心頭で弁護士の所に出向くと、なんとJessはDainに「結婚して責任を取れ」と言っているのではなく、名誉毀損で彼を訴えるというのです。
読者にしてみれば、Jessだったら予想通りには動かないだろうとは思ったけど、これは笑えました。
びっくりしたDainですが、ころんでもただでは起き上がりません。何もかも「補償金」としてお金を払ってやるけど二人が結婚するのが条件だ!と言い張ります。
Jessはこの時のDainの心境を、好きな女の子にヘビで嫌がらせをする男の子の心境に例えて考え(笑)、他に選択肢もないし、シブシブ結婚を承諾します。こういったところが彼女のエキセントリックな面をハイライトしていて、私は好きです。
こうして結婚を余儀なくされたJessですが、Dainのやったことに対して腹の虫がおさまらず、彼をギャフンといわせてやろうとある行動をとりますが、これは読んでからのお楽しみ。
私は「マジ?」ともう1回そのシーンを読み返し、爆笑!!
二人がロンドンへ戻ってからの結婚生活も見物です。
               
本を置くことができずガンガン読み進みましたが、私個人の全体的な評価はハート3つ半です。AARやアマゾンのレビューアー達ほどは熱くなりきれなかった私は明らかに少数派ですね。
この作品はヒストリカルファンもマニアも特にヒストリカルファンでない人も全体的に受け入れて楽しむことができるヒストリカルロマンス。ヒーローもヒロインも個性的で、ロマンスも緊張感アリ、二人が接近すればホットで、会話も息があっててかなり質がいいです。
ただ、ヒーローが私の好みじゃなかったんです。Jessと出会って改心すると言えど、彼の暗い過去のせいでなかなか成熟した大人の魅力が出てきません。
それにこんなに飲んでタバコ吸って遊び暮らしている人がどうやってあんな筋肉質の体を維持できるんだろう、という現実感たっぷりの皮肉も頭をよぎりました。
彼のハンサムとは言いがたい容姿の描写にはまいりました。どんな醜い生き物かと思いましたよ。実は彼のコンプレックスが語っていた部分もあってかなり大げさというのが後々分かります。
もちろんJessはそんなDainの心の奥の傷ついた部分や優しい面を全部見抜いていました。Jessのかしこさや勇気、とてつもない行動にはうんと楽しませてもらいました。

私の一番の好みではありませんが、まだ読まれたことがない方はゼヒお試しアレ。私は遅ればせながら楽しませてもらいました。


True Colour

2006年07月27日 | C
Nicola Cornick. (1998) True Colour. Mills & Boon.

Story:  
Dialogue:
Hero:   
Heroine:

James、Mullineaux侯爵が7年ぶりにイギリスに帰って来たその日出くわした相手とは、Lady Alicia Carberry。7年前にJamesとの婚約を一方的に破棄し、もっとお金持ちの相手と結婚してJamesの心に傷を残したAlicia。

AliciaはJamesといつか再会するのは免れないだろうとは思っていたが、Jamesの彼女に対する嫌悪は想像以上。7年前、彼自身のプライドを守るために彼女に汚名を着せて海外へ去って行ったのはJamesのほうなのに!とAliciaもだまってはいられません。

そんな二人はなぜかあちこちで鉢合わせしてしまい、ケンカばかりしてしまいますが、Aliciaの一度ひどく傷ついた心はもう耐えられそうにありません。
Jamesはしかし、7年前に本当は何が起こったのか真実を聞き出そうと決心します。

       
コテコテのリージェンシーでかなり満足度高し。
Cornick自身がイギリス人なので、作品が全体的に自然な英国風。もちろん筆力もアリ。
アメリカ人作家達との差異が明らかで、彼女の真のリージェンシーロマンス作家としてのプライドも伺えます。

お話の内容に関しては、ヒロインがどうしてJamesとの婚約をドタキャンしたのか、本当の理由が案外早く分かります。他の作家だったら、それをネタにズルズル引きずる所だと思ったので、スッキリしていて気分が良かったです。
二人が何度も鉢合わせしケンカするシーンでは、二人の傷づいた気持ちもよくわかり泣かせる一方で、本当はまだ心の底でつながっていることもわかります。なので次に二人が出くわしたら関係はどう変わるのかと、読み進まずにはいられません。
だからなのか、途中、時々ペースが遅いと感じる部分は多少ありましたが。

主人公達の会話はBaloghほどの質はないけど、リージェンシー時代に忠実な言葉遣いで、どっぷりその世界へ引き込まれるので、Dialogueの評価はハート4つと半分になりました。

ロマンスノベルお約束の湯気の出るようなラブシーンがないのですが、このお話はロマンスがいいので、私はかなり終盤まで気付きませんでした。

私にとっては初のCornick。他の作品も要チェックですね。

The Lord Next Door

2006年06月03日 | C

Gayle Callen (2005) The Lord Next Door. Avon Historical Romance

Story:     
Dialogue:  
Hero:      
Heroine:      (Annoyingly skittish)
Sensuality:  (Tedious)

あらすじを読んで気に入ったので選びました。でも良かったのは出だしだけであとはヒロインに共感できる部分はなかったし、ヒーローも何を考えているのか分からなくてあまり魅力的ではありませんでした。

借金だけを残して父親が急死してしまい、家族を救うためにも結婚しようとVictoriaは決心します。
恥ずかしがりやのヒロインですが、最後の頼みの綱は彼しかいないと、子供の頃に交換日記をしていたお隣の伯爵家のコックの息子Tomに会いに行きます。
そして実はTomは伯爵の跡継ぎだと分かりショックを受けます。

David(Tom)は父親が起こしたスキャンダルのために縁談が2度も破談になってしまっていましたが、自分の政治家としてのキャリアを確立するためにも、跡継ぎを確保するためにも、結婚しなければいけません。
タイミング良く現れたVictoriaは、おとなしいし、上流社会の教育も受けているし将来の伯爵夫人にピッタリだと、早速結婚を申し込みます。

'Tom'は子供には十分重荷の悩みを抱えていたので実名を明かさなかったのですが、Victoriaは結婚してからもDavidがTomだといつわっていたのを許すことができず、これにはあきれました。事情が明らかになっても、「Can I trust him?」の繰り返し。10年以上も前の子供の頃の話でしょ?!って。
あと、Victoriaの父の死の原因が「重大な秘密」だそうですが、もちろん読者にはどうやって死んだかが簡単に分かってしまうので、このことに触れる度にイライラします。

お話の出だしは二人の子供の頃の交換日記の内容でとってもかわいかったですが、後は全体的につまらない一冊。
                  


Bet Me

2006年05月30日 | C

Jennifer Crusie (2004) Bet Me

現代浪漫的小説再び。

Story:      
Dialogue: 
Hero:       
Heroine:   
Sensuality: 


Krispy Kreme ドーナッツって日本でも売ってます?

働き盛りで自立している、でもコンプレックス有りという女性ならCrusieは思いっきりハマルかも。

オハイオの小さな町。
体重をいつも気にしているけど元気で自立した33歳のMinerva Dobbsは妹の結婚式の3週間前、彼にふられてしまいます。
何とその男、フッた直後にCalvin Morriseyに「Minervaと寝ることなんてできないだろう」と賭けを申し出ます。それを聞いたMinervaは怒り心頭。もっと腹が立ったのには見栄をはってその超セクシーCalとデートの約束をしてしまい、あげく妹の結婚式にもエスコートしてもらおうじゃないのと思う自分!
Calは賭けに乗じる気なんてなかったけど、流れでそうなってしまいます。

互いにイヤ~な雰囲気で始まった二人ですが、セクシャルテンションは上がります。もちろん、互いの魅力にも惹かれ、もうこれ以上会うのはやめておこうと思った時にはもうすでに手遅れ…。

体重のことや結婚のことなど、いつも口うるさい母親を持って苦労するMinの気持ち、嫌というほど分かります。The Pefect Rakeのヒーローのように)Calはそんなヒロインの真の魅力が分かる男前。点数高いのよぅ、これがぁ。
彼がMinの靴の好みに執着するのもすごくかわいいです。

二人のピクニックのシーンでは、
・・・
言うのやめとくわ。グフフ。Mmm, Krispy Kreme

ヒロインになりきって思いっきりヒーローCalの魅力・誘惑を堪能できる(か、ヒロインにメチャメチャ焼きもちを焼く)一冊!読書中断不可能。


Lord Perfect

2006年05月26日 | C

Lord Perfect
By Loretta Chase (Mar, 2006) Berkely Sensation

Raquelさまからのオススメで読みましたが、今までChaseを知らなくて損してました!くわしいあらすじ・レビューはRaquelさまの
Vida Cotidianaでどうぞ。(記事リンク

Story:     
Dialogue:  
Hero:      
Heroine:    
Sensuality: 7

ヒーローは、家柄・性格共に完璧とうたわれるBenedict Carsington(Hargate伯爵の後継ぎRathbourne子爵)。
ヒロインはそんな完璧なヒーローとはまったく正反対の
悪名高いDeLucey家出身のBathsheba。娘ありの未亡人。
本当は彼女本人は誠実なのですが、世間の目は偏見に満ち冷たいです。

二人は出会った瞬間から抵抗しがたい魅力に惹かれ一気にセクシャルテンションが上がります。
ですが、お互い何か関係でも持とうものならロンドン社交界最大のスキャンダルになりかねません。
特にBathshebaの方が自分の家族の汚名のせいでBenedictに迷惑はかけられないと一生懸命彼を遠ざけようとします。
Benedictもスキャンダルのことを考えると彼女とは距離を置くのが一番だと頭では分かっているのですが、炎の光に向かってしまう蛾のように彼女の魅力に吸い付けられて行きます。

そんな大人二人の悩みや努力もむなしく、子供達:Benedictの甥とBathshebaの娘が秘宝探しに行くといって突如家を飛び出してしまいます。
そして二人は子供達を捜すため共に旅することに…。

完璧な紳士Benedictサマ、惚れた女性のせいで次第にその完璧な気質がくずれていく様子と、彼自身イライラする姿がかわいいので読みながらニヤニヤしてしまいます。 

二人のドライウィットたっぷりの会話もいいですね。

一つ、無理を承知で言いますが
、せっかくのリージェンシーなんだから、この二人のワルツのシーンなど、時代背景を生かした場面をもっと見てみたかったです。(ということでハート一個マイナス。)

短いお話ですが内容に物足りなさはありません。
大人の恋のお話。


The Seduction of Sarah by Cynthia Clement

2006年05月19日 | C
The Seduction of Sarah
By Cynthia Clement (2006) Zebra Historical Romance

Story:   
Dialogue:
Hero:    
Heroine:  
Sensuality: 7

ロマンスノベルのお手本のようなこの作品はMs. Clementのデビュー作。
危な気なく落ち着いた展開で冒険心に欠けるかもしれませんが、満足感たっぷりのロマンスが描かれており、オススメです。

未亡人Sarah WellsleyはいとこのLady Carolineのコンパニオン兼シャペロンとして、未だ見ぬCaldern侯爵のお城に滞在していました。わがままで意地悪なCarolineの相手をする傍ら、外ではハーブの知識を生かして領地内の住人達の世話をするマザー・テレサのようなSarahの唯一の楽しみは、近くで見つけた池で裸で泳ぐことでした。が、ある日、Alexと名乗る紳士に見られてしまい、もう少しで誘惑されそうになってしまいますが、後でその紳士がCarolineの将来の夫になるかもしれないCaldern侯爵と分かり愕然。

兄が急死したため思いがけず侯爵領を継ぐことになったAlex、Caldern侯爵は、跡継ぎ確保のために継母の言う通りLady Carolineとの結婚の話をすすめるため帰ってきます。十数年ぶりに帰って来た領地の池で泳いでいた美しいSarahを見たAlexは彼女から目を離すことができず、誘惑せずにはいられませんでした。

Sarahのことを知れば知るほど、ずっと昔に忘れたとおもっていた感情が呼び起こされるAlex。Carolineとの婚約は公式ではないものの、紳士としての名誉のためにこの話を破談にすることはかなり難しい状況です。
それにロンドンでの社交界シーズンでことごとく失敗したCarolineは侯爵夫人になりたくて必死です。

Sarahは前の結婚生活から来るトラウマのせいで、Alexとの間に否定しがたい感情があるにも関わらず、臆病になります。
自分にはSarahしかいないと分かってからAlexは一生懸命Sarahの心を開こうと努力しますが、この彼のまっすぐな態度に私が惚れました

二人が関係を深めていくかたわら、色々な事件が周りで起こります。展開はありきたりですが、実は意外な結末を迎えます。

Alexの過去についてあまり満足のいく説明がされていないのですが、登場人物みんなそれぞれ顔が見えるようにきちんとキャラクター描写されているし、短いお話ですが、よく書けています。

Ms. Clementは次の作品も要チェックですね。

One Little Sin

2006年04月07日 | C

One Little Sin
By Liz Carlyle (2005) リズ・カーライル

Story:  
Dialogue:
Hero:   
Heroine: 
Sensuality: 5/10

あらすじを読むとおもしろそうだったので買いましたが、あまり出来はよくありません。

ヒーローは放蕩者で名の知れたSir Alasdair MacLachlanで、ヒロインは家を追い出されたけど、勇気があって魅力的なEsmeeです。

アラスデアがいつものように飲んで女と遊んで帰ってきた真夜中、2歳にも満たないの女の子を連れたエズメが現れます。

エズメは、この子はアラスデアとエズメの母親が一夜をともにした時にできた娘だと言い、引き取るよう要求します。
アラスデアは全く思い当たる記憶はないし、認知する気もないので子供など引き取れないと主張しますが、エズメも養父に家を追い出されとても小さな妹をそだてられるような状況ではありません。
強引に妹だけ置いて去ろうとするエズメをみて、事情を全て飲み込む前にパニックからアラスデアはエズメに、この女の子のためにも住込みの家庭教師になってアラスデアの邸宅に残るよう申し出ます。

独身男性の家に、いくら帰る家はもうなくても良家出身の未婚の娘がシャペロンなしで住むなどもっての他ですが、エズメは小さな妹をおいていくことができず、このとんでもない申し出をうけます。

ここから二人のスキャンダラスでセクシーな緊張感のある生活が繰り広げられるのかと思うと、そうではありません。
アラスデアはエズメに魅かれるあまり、自分のおんなたらしの悪名のせいで彼女をスキャンダルに陥れることはできぬと、ひたすら避けます。なのでお互いどうして魅かれあっていくのかがわかるほど十分なコンタクトがありません。

前回レビューで紹介したカーライルの作品「Woman of Virtue」に比べると、かなり評価が下がります。
借りるか古書で買って読むのがいいと思います。



ランデブー(ロマンスノベル専門店)のお姉さんに薦められたものを購入しました。

In The Thrill Of The Night By Candice Hern キャンディス・ハーン
The Seduction Of An English Scoundrel By Jillian Hunter ジリアン・ハンター
The Reluctant Reformer By Lynsay Sands リンジー・サンズ

またレビューします。 


A Woman of Virtue

2006年04月03日 | C

A Woman of  Virtue
By Liz Carlyle (1991, 2005)
 リズ・カーライル

Story:  
Dialogue:  
Hero:   
Heroine:  
Sensuality:


カーライルもよく読みます。今回の作品は中でも一番よくできています。

ヒーローは女たらしで有名なDelacourt子爵、David

ヒロインは
Sand伯爵の娘Lady Ceciliaです。
デイビットの知り合いのちょっとしたいたずらから、セシリアはスキャンダルに巻き込まれますが、寸でのところで窮地から脱します。
6
年後、セシリアはある伯爵の未亡人となっており、慈善事業に熱心に取り組んでいました。
デイビッドは、セシリア似の愛人を次から次へと変えながら、人生にあまり意義を見出せないまま生活していました。

ひょんなことからデイビッドはセシリアの慈善事業に関わることになり二人はまた出会いますが、過去のスキャンダルから生じた互いの嫌悪感のため、最初はケンカばかりです。
ある日、二人が管理している元売春婦のための施設で働く女性が死体で発見され、二人は事件解決に取り組みます。
嫌悪感から相手を見直して尊敬する気持ち、そしてロマンスへと発展するパターンですが、よくできています。


デイビッドは、セシリアのためだけというのではなく、慈善事業に携わることでやりがいのあるものを見つけることができたし、事件解決に熱心に取り組むことで、実は芯の部分に存在した誠実さを証明していきます。

セシリアの結婚はあまり幸せなものではなく、未亡人になる以前から、さみしさをまぎらわすためにも慈善活動にせいを出していました。
デイビッドが活動に介入すると分かったときはやめようかとまで思いましたが、徐々にデイビッドに対する偏見は消えて、素直に自分の気持ちを認めるようになってきます。


お話の中の会話は、主人公二人に限らず、デイビッドと彼の近侍との会話やセシリアと彼女のメイドとの会話も楽しめます。
デイビッドとセシリアのラブシーンはアマゾン同様、官能度8です。デイビッドは6年間も「この人だ!」と思ったセシリアとは結ばれることがないとあきらめて彼女似の「間に合わせ」でがまんしてきていたので、一旦二人が結ばれてからのラブシーンはHotです。

最後、ミステリーのほうに集中してしまって主人公達の会話がなくなってしまいます。過去のいさかいからくる互いの嫌悪感がほぐれていった時の気持ちの描写が欲しかったです。ここにほんの少しですが物足りなさを感じたので、ハートは4つとミニハート
1つです。

A Must Read