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「負けたら酒を一気飲み」うつや摂食障害も…宮田笙子選手(19)の喫煙・飲酒騒動で再燃したオリンピック特有の「感動をありがとう」問題

2024年07月26日 09時05分32秒 | 文化と芸能

「負けたら酒を一気飲み」うつや摂食障害も…宮田笙子選手(19)の喫煙・飲酒騒動で再燃したオリンピック特有の「感動をありがとう」問題




7/23(火) 6:12配信




文春オンライン
5月にNHK杯3連覇を果たした、体操の宮田笙子選手(19)。パリ五輪の代表辞退は急転直下の出来事だった ©時事通信


 体操の宮田笙子選手(19)が五輪辞退。喫煙、飲酒が確認されたため、協会幹部と宮田選手が話し合って決めたという。


【本人写真】鍛え抜かれた肢体でユニフォーム姿でポーズを決めて微笑む宮田笙子19歳


 日本では20歳未満の喫煙、飲酒は法律で禁じられている。日本体操協会の行動規範では、違法行為の禁止に加え、20歳以上でも代表活動中の喫煙と飲酒は原則として禁じられている。


 今回の宮田選手の五輪辞退は、法律やルールを破ったのだから当然なのか、厳しすぎる結論なのか。SNSでも論議が繰り広げられていた。


「同情の余地なし なぜ事前に指導できなかったのか」と厳しい声も
 ではスポーツ新聞の担当記者はどう見ているのか? 各紙の「記者の目」を見ていこう(7月20日分)。


 スポーツニッポンは『体操・宮田が五輪辞退 主将が公然とルール違反…同情の余地なし なぜ事前に指導できなかったのか』。


〈 ・今回の宮田の五輪代表辞退は当然であり、同情の余地は全くない。


 ・代表チームの主将でありながらなぜ公然とルールを破るような行動を取ったのか、なぜ事前に周囲が指導できなかったのか、その本質的な部分を解明することが何よりも大切だ。五輪辞退だけでうやむやにすることは絶対に許されない。〉


 スポニチ編集委員・藤山健二氏はかなり厳しく書いていた。


 サンケイスポーツは『【記者の目】パリ五輪代表辞退の宮田笙子、想像以上の重圧でもルール破ってよい理由にはならない』。


〈 ・本人に自覚はあったはずだが、19歳という若さで背負った日本女子体操界のエースという重圧は想像以上に大きく、責任感が強い宮田にとっては耐えきれないものだったのだろう。ただ、それはルールを破ってよいという理由にはならない。〉


 高橋朝香記者は、重圧について触れながらルールに言及。その重圧について具体的に書いていたのは、デイリースポーツだ。


『宮田笙子はプレッシャーと戦い苦しそうにしていた 五輪を辞退した19歳エースの素顔とは』。


 体操担当・田中亜実記者は、19歳にして女子のエースの両肩にはかなりの重圧がのしかかっていたとし、宮田選手は「たびたび苦しそうにしていた」と指摘。世界切符がかかっていた23年4月の全日本個人総合選手権では、右かかとの疲労骨折を抱えていた。




「多くの人から『代表に絶対入らないといけない』と言われ…」
《医者に「このまま続けたら体操ができなくなる」と言われた中で「多くの人から『代表に絶対入らないといけない』と言葉があって、プレッシャーになっている部分があった。そこがつらい」と涙ながらに訴えた。》


「涙ながらに訴えた」が壮絶だ。田中記者は「五輪辞退は賛否が分かれる重い決断となったが、自身の行動の結果でもある。足元を見つめ直し再起につなげてほしい」と結んだ。


 ここで指摘されていた選手のメンタル面。そういえば思い出した、前回の東京五輪の開催中にこんな記事があったことを。


《人種差別、ジェンダー平等、メンタルヘルス――。東京オリンピックで、選手たちが社会的な問題を巡り声を上げ始めている。》(毎日新聞2021年7月31日)


 国際オリンピック委員会(IOC)や大会組織委員会は平和や人権、多様性などの理念を掲げているが、東京五輪では森喜朗前組織委会長の女性蔑視発言などの問題が相次いだ。そんな状況だった大会で選手たちが声を上げていることをまとめた記事だった。


 たとえば多くの選手が口にした「メンタルヘルス」。体操女子団体総合決勝で途中棄権した米国のシモーン・バイルス選手は、メンタルヘルスが理由だったと明かした。16年リオデジャネイロ五輪4冠のスター選手は、個人総合決勝も棄権。


 スケートボード男子ストリートのメダル候補だった、米国のナイジャ・ヒューストン選手は、競技で7位に終わり、SNSに「私も人間だ。重圧や期待と闘うのは簡単ではない。負けたらホテルで酒を一気飲みすることもある。メンタルヘルスは大事だ!」と投稿。


 女子マウンテンバイク(クロスカントリー)で14位だったリオ五輪の金メダリスト、ジェニー・リスベドス選手(スウェーデン)は「終わって良かった。五輪チャンピオンじゃなくてジェニーになりたい」と語った。リオ五輪後は重圧からうつや摂食障害になり、一時競技を離れたこともあった。


 これらのように選手には極度の重圧がかかる例がいくつも書かれていた。では、何か少しでも有効な対策はあるのだろうか?




完璧で潔癖な選手像を求める「感動をありがとう」という欲望
 東京大会では選手たちを少しでも重圧から解放しようと、メダル数の目標を出すのを取りやめる国も出てきた。オーストラリアは東京大会でメダルの目標数を掲げることを取りやめた。幹部は「余計な重荷を増やしたくなかった。目標数がなかろうと、アスリートはみんな勝利を目指すものだ」と説明。


 一方、日本は金メダル30個を目標に設定していた。このあたりにも宮田選手の件を考えるヒントがありそうだ。


《JOCと日本体操協会がそれぞれ定めている規定には、「代表としての自覚」や「模範になるように」といった文言が含まれている。今年4月の全日本個人総合選手権や、5月のNHK杯で宮田は「エースにふさわしい演技を」と繰り返していた。》(サンスポ7月20日)


 喫煙や飲酒の禁止という行動規範だけでなく「模範になるように」といった規定。完璧で潔癖な選手像。そんなの五輪選手だから当たり前だろという声もあるかもしれないが、それは「感動をありがとう」という見る側の勝手な欲望とセットになっていないか。メディアが当て込んでいる五輪報道の美談と地続きになっていないだろうか。


 むしろ前回大会で五輪選手が声をあげる姿が注目されたからこそ、もう選手に対しての超人扱いや模範になる姿を求めることはやめ、当たり前だが、同じ人間として見たほうがよい気がする。


 宮田選手が再起してまた演技を見せてくれたら、むしろそちらのほうが今の社会に合う等身大の「模範」になるのではないか。つまずいた人にもやさしい社会でありたいと思う。


プチ鹿島



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