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川口が「本当に住みやすい街1位」って本当? 不動産業界の裏事情…

2025年07月17日 08時05分33秒 | 不動産と住環境のこと
 
 
 
 
川口が「本当に住みやすい街1位」って本当? 不動産業界の裏事情…
 
 先月、「本当に住みやすい街大賞2020」がアルヒ株式会社より発表された。
画像:本当に住みやすい街大賞2020(アルヒ株式会社)
 
 
1・18・2020
https://www.ohkuraya.co.jp/blog/article/3186
 
 
 
 「大賞は川口」。この見出しはどのニュースサイトでも相当インパクトがあった。ありふれた不動産ランキングであれば、首都圏に住んでいない人間にも広く認知される、「中目黒」「三軒茶屋」「吉祥寺」や湾岸エリアを挙げるのが定番。それが(失礼ながら)こともあろうに「川口」である。知名度が上がっていた「赤羽」を差し置いてのトップとは、いったい何があったのか。 
 
川口と武蔵小杉の違い
 
画像:本当に住みやすい街大賞2020(アルヒ株式会社)
 同社が発表した大賞選出理由には「2023年には商業施設を含む地上29階の複合タワーマンションが完成予定」とあり、ネット上では「タワマン乱立の武蔵小杉のようになるのでは?」の声もある。 
 
タワマンが林立する武蔵小杉
 
川口駅前の様子
 
 水害で注目されてしまった、開発の最前線として不動の人気を誇った武蔵小杉は、そもそも駅前にあった企業が他所へ移転してしまったことに端を発する。工場が立ち退いたことで空地ができてしまい、更にはその再開発を企画検討中に不況の煽りを受け、更なる空地が駅前に生じてしまった、それが武蔵小杉の開発の流れである。では川口はどうなっているのだろう。  
 
実際のところは、川口は武蔵小杉のように大きな開発が入ったわけでは無い。変化の兆しは、埼玉新聞に掲載された市長の「中距離電車停車の要望に対して、初めて『上野東京ラインでなら』という回答を得た!」という緩いものである。  だが確かに、街のイメージは一昔前とは変わってきている。足立区千住界隈が大学を誘致してイメージを払拭したように、川口駅周辺に抱かれていた、かつての鋳物や工場地、風俗街といったイメージは随分と薄れてきた。武蔵小杉だって元は工場地であったのだから、同様にこのまま新しいイメージが定着すれば、一層の新しい世帯の流入が見込めそうである。文化的な土壌が風化するのは寂しいものだが、現地としてはありがたいのかもしれない。 
 
JR京浜東北線
 
 一方では、やはり市民の足が気掛かりな所である。武蔵小杉駅が元来、私鉄と国鉄が交差するポイントであったのに対し、川口駅は京浜東北線が停車するだけである。複線利用をできるできないという点で、大きく差を付けられてしまっている。埼京線や湘南新宿ラインなどを停められれば、広範囲な人の流れを作り出せると踏んだのだろうが、目星がつきそうな路線は先述した上野東京ラインである(あくまで可能性としてだが)。  
 
川口から繰り出す街が上野や東京、日本橋であるなら有効なのだが、多くの人が望むのは残念ながら新宿や池袋・渋谷であり、そのためには赤羽での乗り換えが必須である。住みやすい街の大賞選出理由として「新宿駅まで25分・池袋駅まで20分、東京・品川・上野・横浜にも乗り換えなしでアクセス可能」が挙げられているが、やはり今回2位になった「赤羽」のラインからは、一歩二歩と出遅れ感が否めない。  
 
いくらオートレースで財政に余力があるとはいえ、その資力を注ぎ込んで大きく開発されていく確約もなく、主要駅への直通も見込まれない……このままでは、川口駅が住みやすい街として大賞を取った「これ」という要因が見当たらずに消化不良が起きてしまいそうなので、改めてこの情報元に目を向けてみたい。
 
情報元から浮かぶ“邪推な考え”とは
 元をただすと、このランキングの発信元であるアルヒ株式会社は住宅専門のローン会社だ。住宅の購入を検討された方であれば、まず知らない人はいないくらいの認知度に成り上がっており、特にフラット35の取り扱い量の多さが業界トップの会社である。  
 
ローン会社の差別化は金利が勝負であるはずが、このゼロ金利の時代に於いては金利のみでの差別化は難しいのが現状。ではなぜここまで首位にあるのか?  それは、そもそも対象が「一般所得層」に絞ってあるという点であろう。取り扱いが多いということは、“客一人当たりの借入金額が高い”か、“単価は低くとも件数が多い”かであり、アルヒに関しては紛れもなく後者なのだ。 
 
 このことが良い悪いということではない。ローン会社として打たれた施策が時流にはまり、業績がうなぎ登りになっているだけのことで、経営が成功していると言えよう。ただ、フラット35という商品自体はあちこちで扱われているものであり、アルヒだけが持つ付加価値もあるということだ。そのひとつが“審査の緩さ”である。 
写真はイメージです
 
 
 借り入れ申し込みには、最初に「事前審査」を申し込まなければならない。「事前」とあるが、事実上は本審査と言えるもので、借入金額と最近の所得、勤務先や車のローン、その他クレジットで購入した物、加えてカードの保有数や利用履歴・自己履歴などが関与してくる。借入額から計算される年間の総返済額が、所得のX%以内に収まっていれば融資可能、超えていれば融資不可となるわけだ(厳密には異なるが簡素化して書けばほぼこの通り)。  
 
Xの基準は大手のほとんどが30%だが、ここがアルヒは35%、つまり“緩い”のだ。所得がある水準以下だったり、他に借り入れがあったりして、大手金融機関で断られた層を受け入れる懐の深い体制がここにはある。翻って、そんな彼らが、今回の住みやすい街大賞を打ち出すことで、自分たちのメインターゲットになりそうな層に対して、「何かを届けたかった」とは考えるのは邪推だろうか。  手の届きそうな手頃な価格の物件が多数存在する地域、そこが「本当に住みやすい街」として上位に来ていたらどうだろうか。検討する際に候補にすら入れなかった人たちでさえも、現実的な選択肢の一つとして残してくるのではないか。それを手助けする借入審査なら整っているのだから。  
 
どれだけの公平性を持ったアンケートだったかは不明だが、彼らが打ち出したアンケート結果では「川口」がトップに君臨したというのは、今後も事実として残るのだ。

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