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「心神喪失で無罪」の可能性も… 北九州マック中3殺傷「平原政徳」近隣住民が明かした“資産家の坊っちゃん”としての顔 「仕事せんでも生きていける」
4/30(水) 5:50配信
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デイリー新潮
平原政徳容疑者
2024年12月14日、福岡県北九州市小倉南区のマクドナルドで、中学生の男女が刃物で殺傷された。師走の日本を騒然とさせた事件を起こした平原政徳(ひらばるまさのり)容疑者(44)は、地元では知られた地主一族の“坊ちゃん”だった。
【実際の写真】こんな立派な家にひとりぼっちで…「平原政徳」が住んでいた自宅
殺人容疑などで逮捕された平原容疑者については、約3カ月に及んだ鑑定留置が終了してすぐの2日後、4月16日から2度目の鑑定留置が行われている。
容疑者の精神疾患を専門家が調べ、責任能力の有無を判断する鑑定留置。未来ある若者の命を奪った罪はあまりに重いが、「責任能力がない」とされた場合には刑事責任を問うことができない。これについて、RKB毎日放送などは、最初の鑑定留置の結果、心神喪失の可能性がある内容が含まれていたと報じている。
そもそも平原はなぜこのような凶行に及んだのか。その半生は、働き者の一家でかわいがられて育ち、自身も幸せな家庭を築き、と極めて恵まれたものに見えるのだが――(以下、「週刊新潮」2025年1月2・9日号をもとに加筆・再構成しました。日付や年齢、肩書などは当時のままです)。
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面識のない中学生を無言で……
事件は2024年12月14日の夜8時25分ごろに起きた。福岡県北九州市小倉南区の「マクドナルド322徳力店」が現場である。
平原容疑者は、面識のない中学生二人を無言で刺し、女性生徒は死亡、男子生徒も重傷を負った。社会部デスクによれば、
「平原は店から直線距離で約900メートル、車で5分ほどの一軒家で一人暮らしをしていました。容疑を認めたものの、取調べは難航しています。平原が“何度も同じことを聞くな!”などと変なタイミングでキレることが多く、肝心の動機が聞き出せていません」
大地主の一族
キレるといえば、平原容疑者は事件前に騒音トラブルを起こしていた。「おいコラァ! なに考えよんか。くらすぞコラ、おお!?」などと外に向かって喚き散らすこともあったという。こうした奇行によって地域で孤立していたことは事件後の報道によって広く知られることとなったが、一方で、あまり報じられていない地元で有数の資産家一族という顔もあった。
平原容疑者の自宅から車で10分ほどの守恒(もりつね)という地域に、“平原一族の本家”がある。その近隣住民が語るには、
「平原さんの一族は守恒周辺の大地主として知られています。もともとこのあたりに大きな農地を持っていた家の一人娘が政徳の祖母で、そこに結婚してやってきたのが平原姓のおじいちゃん。二人は一生懸命、米や野菜を育てる農家さんでね。その一方、いまの北九州市立大学のグランド横の土地を駐車場として貸したり、所有する土地をうまいこと利用していました」
平原容疑者の祖父母は3人の子宝に恵まれたそうで、
「子供たちが大人になると、おじいちゃんは自分の長男と次男にそれぞれガソリンスタンドを与えた。親心に、農業以外の仕事を持たせたかったのだと思う」
「仕事せんでも生きていける」
長男は守恒の実家裏で、次男は守恒からほど近い蒲生地区でそれぞれガソリンスタンドを営んでいた。長男夫婦には4人の子供がおり、末っ子として生まれた初めての男の子が平原容疑者である。
「上3人が女の子だったので、祖父は“4人目で跡継ぎとなる男の子ができた”と喜び、母親は“マー君”と呼んでかわいがっていました」
しかし、幸せな家庭に突如として転機が訪れる。一家の大黒柱である父親が急死したのだ。
「政徳が中学生ぐらいのときに肝臓を悪くして亡くなりました。たぶん働き過ぎが原因じゃないかな。決して、酒浸りとかアル中というわけではないんだけど、仕事に疲れたら『くたびれて飲んじゃう』と愚痴をこぼしていたこともあったそう。それでガソリンスタンドは閉め、跡地を複数のマンションやビルにした。祖父は、夫を失った政徳の母親のために家を建てました。ここが、政徳が相続した一軒家です」
十数年前に祖父母が他界すると、
「一族は守恒の不動産をはじめ相当な財産を引き継ぎました。だから仕事せんでも生きていける。政徳もそう。守恒で中学校まで出て近くの私立高校を卒業した後も、お金があるから定職に就かなかったと思う」
幸せそうな家族
平原容疑者が長年通っていた理髪店のオーナーによれば、
「高校卒業後も時折来てくれて“派遣の仕事をしている”などと話していました。09年5月には“あした結婚式を挙げるから“と、顔そりのみで来店。“子どもも生まれる”とうれしそうにしていたので、デキ婚かと思ったのを覚えています」
妻子を得た平原容疑者は母親と暮らす一軒家から、付近のアパートに越した。アパート付近の住民によると、
「5年ぐらい前にここを引っ越すまで、小学生ぐらいの小さい娘さんと奥さんと3人で住んでおった。印象に残ってるのは、旦那さん(平原容疑者)も奥さんも、平日の昼間に家にいたこと。旦那さんは、玄関前でたばこをよく吸っていてね。丸くてやや大きめの灰皿を置いていて、玄関の戸に背中をくっつけて寄りかかるような体勢でしゃがみ込みたばこを吸ってました。時折、小柄でメガネをかけた奥さんも外に出て、仲良くたばこを吸ってましたよ。二人とも、仕事をしている様子はなく『どうやって生活してるのかな』とは感じました。でも、あいさつすると普通に返してくれましたよ。旦那さんは、にこっと笑ってくれて、物腰が柔らかい印象でした」
事件後に報じられた平原容疑者の風貌は当時と変わっていたという。
「面影はありますが、人相が変わっている。当時はもっと太ってたし、表情もあんなにキツくなかった。ここらの学区になっている小学校は、結構離れてるんですよ。そのためか、午後3時ごろになると、旦那さんが白い軽自動車に乗って、下校する娘さんを迎えに行っていた。当時は、奥さんや娘さんを怒鳴るなんて様子はみじんもなく、夫婦で娘さんをかわいがる幸せそうな家族に見えました」(同)
「完全に人が変わってしまっていた」
5年ほど前に妻子と一軒家に戻るも、数年で離婚した。
「23年1月の来店時の注文が“丸刈り3ミリ”。理由を尋ねても会話は成立せず、きょろきょろして落ち着きがない。まさに挙動不審でした。薬でもやっているのかと思った。完全に人が変わってしまっていました」(前出の理髪店のオーナー)
やがて一人残された平原容疑者が騒音トラブルを起こすようになる。孤立した生活で、犯行への思いを募らせたのだろうか。鑑定留置での判断が待たれるが、どのような事情があるにせよ決して許されない罪を犯した事実に変わりはない。
デイリー新潮編集部
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