ムダな仕事」をさせる会社の特徴

会社には多くの“ムダな仕事”が存在する。作ったのに読まれない資料や形式だけで出ている会議、ほぼ関係ないメールのチェック……。誰でも一度は「コレ、意味あるのか?」と疑ったことがあるはずだ。そんな残念な仕事をさせる会社の特徴とは――
目の前の仕事に取り組む姿勢が、むしろ“ムダ仕事”を生んでいる!
一日PCにかじりついて、パワポの資料を丹精込めて作成。よし、これで明日の会議はバッチリだ、と達成感に浸るも、本番ではほぼ読まれず資料もポイ……なんてことは、どこの会社でもよくある話だろう。ただ、そもそもこの作業は本当にやる必要があったのだろうか? 業務改善士の沢渡あまね氏は「実際には会社内にはムダな業務が大量にあって、それをこなして“仕事をやったつもり”になってしまう社員が多くいる」と話す。 「なぜムダな仕事が生まれるかというと、組織が大きくなるほど目先の仕事ばかり見るようになるからです。不必要なほど完璧に資料を作ったり、会議も参加すること自体が目的になってくる。すると、そんなムダ仕事がルーティン化して、いつまでもやり続けてしまう。当たり前の業務なので、なかなか改善しようとは思えないのです」
そんなムダな仕事を多く抱えている企業には特徴があるという。 「まずは、社員が高齢化している職場ですね。過去の成功したやり方を引きずるので状況変化に対応できずに、ダラダラと昔のままの業務を続けてしまう。次に、人材の流動が少ない職場。外からの視点がないので今のやり方に問題があると、誰も気づかないわけです。そして、トップや管理職が業務改革に鈍感な職場もそう。業務改善というのは売り上げに直結する仕事ではないので、トップが乗り気じゃないと優先順位が低いんです」
働き方改革でムダな仕事が増えている!?
ただ、今は働き方改革ブームの真っ最中。残業をやめて生産性を高めようと、社内制度や管理システムを改革する企業も多い。しかし、皮肉にもそれがムダな仕事を生んでいる面があるという。 「例えば勤退管理や経費精算のために新しい社内システムを導入したとします。その際、使い勝手を経理や総務など“事務作業の達人”が判断しがちなので、実際には現場が使いづらかったりするんです。『むしろ作業に時間がかかる』とブーイングが来ては本末転倒です」
これまで528社の業務改善を支援してきた越川慎司氏も「働き方改革をしている企業の9割が失敗している」と指摘する。 「反対にうまくいっている企業は『どうにか早く帰らせよう』ではなく『なぜ早く帰れないのか?』を考えるんです。すると、社内会議に業務時間の4割以上が費やされていたりして、それをやめたらむしろ売り上げが伸びたそうです。根本原因を考えないと、ムダな仕事はいつまでもなくなりません」 果たしてあなたの会社は“残念な仕事”に溢れているか、否か。
「残念な仕事」が多い会社の特徴
・人材の流動性が乏しく「外からの視点」がない ・社員が高齢化して昔の成功したやり方を引きずっている ・経営者や管理職が業務改善に鈍感 【業務改善士・沢渡あまね氏】 あまねキャリア工房代表。全国で業務プロセスやコミュニケーション改善の講演やアドバイスを行う。著書に『仕事ごっこ』など