落したか落ちたか路の椿かな(子規)
国道493号を歩いていたら、椿の花がぽたりと落ちた。
「椿の花はけっして散らない」
と書いていたのは誰だったろうか。
そこらじゅうに落ちている赤い花をみわたしながら思い出そうとしてみたが浮かんでこない。
「椿 花 けっして散らない」で検索してみる。
どうやら『草枕』(夏目漱石)だったようだ。
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見ていると、ぽたり赤い奴が水の上に落ちた。静かな春に動いたものはただこの一輪である。しばらくするとまたぽたり落ちた。あの花は決して散らない。崩れるよりも、かたまったまま枝を離れる。
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はらはらと散る桜は風情があるが、ぽたりと落ちる椿の花は美しくない。
水の上ならまだしも、道に落ちたとなればなおさらだ。
だがそれをして、首が落ちるみたいで縁起が悪いとか、ぶざまだとかと感じるのは当然ながら人間さまの勝手だ。柳は緑、花は紅、真面目、椿には椿の事情があってぽたりぽたりと落ちるだけだ。
なんてことを考えていたら、またぽたりと落ちた。
一つ落ちて二つ落ちたる椿哉(子規)
ほらね。
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