初場所もたけなわ。
大方の予想を裏切り、またもや混戦模様となった本命不在の優勝争いが、それはそれでおもしろい。
そんななか、それに絡むことはできないが、なかなかに存在感を発揮しているのが阿炎。先日の放送では、師匠である先代錣山(現役時代の四股名は寺尾)が彼に宛てたという言葉が紹介されていた。
いわく
「負けても腐るな」
うん、大切なことだ。とうなずくぼくは、皆さんご存知のように「腐る」ひとだ。
負けて腐るのは当然のこと、何かにつけて不貞腐れる。
思えば、そんな自分とたたかい、それを克服しようとすることに、人生に与えられた時間の多くを割いてきたような印象すらあるが、それが実を結んだのかどうかと自分に問うてみても芳しい答えは返ってこない。
事ほど左様に、負けては腐るし、何かといえば不貞腐れる。
いやいやだからこそではないか。
だからこそ、このシンプルな言葉を投げかけつづけなければならないのだよ。
そう自分自身に言い聞かせながら脳内で反芻し、声に出さずに繰り返してみる。
「負けても腐るな」
よい言葉だ。