何度も書いているとおり、CCPMの要諦は「バッファ管理」につきる。
一つひとつのタスクに潜んでいるバッファ(安全余裕)をひとまとめにしてプロジェクトメンバーに公開し、合流バッファやプロジェクトバッファとして、そのバッファの消費の度合いや傾向を管理する。
それをするのに最も有効な武器がバッファ傾向グラフ(フィーバーチャート)。
縦軸にバッファ消費率(消費日数÷全バッファ日数)、横軸にチェーン進捗率(100%-チェーン残日数÷初期計画日数)をとったグラフである。
この「残日数」と「初期計画日数」というところもミソで、進捗率といえば普通は経過日数で考えるところを、CCPMでは残りの作業のトータルが何日あるか、で考える。これが、CCPMをして、「未来志向」の工程管理とか「先を読む」工程管理とかいわれる所以である。
じつはワタシ、バッファ傾向グラフにおける進捗率が残日数と初期計画日数の比率である、ということに気づいたのはごく最近のこと。今まで解らなかったということは、本当の意味でのバッファ管理が出来ていなかった、ということを証明しているようなものなのだが、ここらへんで早めに白状しておくこととする。
そしてついでに、もうひとつ気づいたこと。
各現場のバッファ進捗レポート(傾向グラフとそれに対する分析コメントをいれたもの)だけ見ていさえすれば、個別の工程表はたいして重要ではないんだよ、とそれぞれの技術屋さんたちには言ってたのだが、それはちょっと極端に過ぎたな、ということ。
「木を見て森を見ず」に陥らないようにするには、詳細なチェックをすることから出来るだけ遠ざかっているほうが、より有効な管理となる、という趣旨だったのだが、ところがどっこい、それは違っていたようだ。
たしかに、工程表の各タスクの日数見積もりにまで口出しをするのは、当初計画時点ならまだしも、進行段階においては過剰管理となり、あまり賢いやり方とはいえないだろう。
しかし、工程表はつねに修正されているのだ(礒部組の場合は最低一週間に1回)。修正された部分の、全体との関係が良いか、「考え方」が間違っていないか、に対しては、常に目を配っていなくては手遅れになってしまう場合だって出てくる。
「昨日の正解が、今日も明日も正解とは限らない」というのはワタシがよくいう言葉なのだが、修正したつもりの正解もまた、「正解だという思い込み」に陥っているのかもしれないのだ。むしろ気をつけるべきは、「明らかな間違い」よりも「正解だという思い込み」のほうなのである。
そこのところを気づいてもらうためには、「森を見て木も見る」、そういう見方もまた必要なんだな。
と、相変わらず行きつ戻りつしながら、2009年最後の月に臨む。
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