『建設技術者を正当に評価せずして復興や防災・減災は可能か!ー土木と土木技術者が日本社会でリスペクトされるためにー』を読んだのだ。
土木学会論説2012.7月版である。
http://committees.jsce.or.jp/editorial/no62-1
金井誠氏は大林組の代表取締役副社長(らしい)。
難解な言葉を使うのがプロではない。難しい事を易しくし、易しい事を深く、深い事を面白く伝えるのがプロだ。また安易に絶対だとか100%とか言わないことも重要で、時間をかけて辛抱強く説明すべきだ。建設中は現場を常に公開して、何を目的として何を造っているのか、経過と結果はどうなのかといったことを見せよう。
と、「国民、特に地元住民へ」「誰にでも分かる言葉、目的も内容もイメージできる言葉」を使って説明する必要性を説くその一方で、金井氏は、こうとも言う。
備えあれば憂いなしというが、災害に上限はなく、人命は地球より重いなどの綺麗事で全てのリスクにハード対応はできない。インフラ整備における究極の発注者は国民であるが、感情に左右され事業に頑なに反対する国民が責任を取れるとは思えない。プロでない国民が不要としたインフラが無いため災害が発生し人命が失われた時、我々は免罪符を与えられるのか?否、プロとして責任放棄はできない。
自負心やプライドとは、こういった言説に対して贈られることこそ適切なのだろうと、読み終えて、ひとりうなずく。
しかしそれもまた、「感情に左右され」る人たちには受け容れられんのかもしれんな、と思いつつ、である。