(書評)
岸本裕史『ドラえもんの学習シリーズ ドラえもんの算数おもしろ攻略 改訂版 算数まるわかり辞典 4~6年生』(小学館)
(11)偶数と奇数(p62~63)
偽ドラえもんは、算数を暗記物にしようとしている。
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どんな整数も、偶数と奇数に分けることができるんだ。その見分けかたは、数の「しっぽ」を見ればいいんだよ。
(p63)
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「しっぽ」とは「一の位」のこと。
だが、一の位を見ただけで見分けることができる理由は示されない。
8646は、一の位の6が2で割り切れるから偶数なのだそうだ。こんなの、説明になっていない。
8646=8640+6=864×5×2+3×2
といった説明もない。いや、こんな説明は、まだできないのだ。
後から、こんなことを言う。
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偶数・奇数をたし算したときのきまりを知っておくと、便利だよ。
(p63)
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「便利」なんじゃなくて、この「きまり」を先に理解すべきなのだ。
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偶数+偶数=必ず偶数
奇数+奇数=必ず偶数
偶数+奇数や、奇数+偶数は、必ず奇数になる。
(p63)
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どうして?
やはり、説明不足。
そもそも、「きまり」というのが怪しい。誰かが決めたわけではない。
2a+2b=(a+b)×2 必ず偶数
(2a+1)+(2b+1)=(a+b+1)×2 必ず偶数
2a+(2b+1)=(2a+1)+2b=(a+b)×2+1 必ず奇数
こうしたことを、文字式を使わずに説明するのが億劫なのかな。
だったら、偽ドラえもんは怠け者だ。
もしかしたら、怠け者ですらないのかも。
(終)