アカデミー最有力候補作品。
公開から2ヶ月近く経つが、場内は9割以上埋まっているところを見ると興行主孝行な作品である。
内容的には良い意味でスター不在の戦争映画。
主人公は童顔二宮くんかハリウッド渡辺兼あたりか。
二宮くんは嫁さんがいるパン屋という設定だが、童顔のせいで説得力がない。
せめて、瓦職人見習いで幼馴染のツネちゃんの腹にやや子が・・って設定なら大満足だが。
渡辺兼演じる栗林中将は家族にせっせと手紙を送るが、その家族の登場が無いのは良かったといえる。
どーせ、楚々とした軍人の妻たる鏡として鈴木京香あたりと利発なお子様が日本で父君に全幅の信頼を置いて待っているっちゅー映像を流さないところがイーストウッド監督のえらさである。
ちなみに、かつて週間少年ジャンプでバロン西物語を2週連続で掲載されていた。
栗林中将は無能な指揮官として描かれ、バロン西は誠実な軍人としての存在感を増す装置であった。擂鉢山が落ちる際、アメリカ軍からロサンゼルス五輪銀メダリストのバロン西は助けたいとの呼びかけを無視し、死に行く漫画で印象的であった。
上記の作品を読んでいた私にもうひとつの栗林像を提示してくれた映画でもあった。