独り旅団

これは映画や本、独り旅を愛する寂しい生き物の記録です。オリンパスE-510とニコンD700で拙い写真を撮り始めてます。

赤朽葉家の伝説

2011年03月21日 | 読書
桜庭一樹「赤朽葉家の伝説」読了。

千里眼の万葉、レディースの総長で漫画家の蹴鞠、そして何ものでもない瞳子。
旧家に生きる女三代の生き様を描いた力作であり、
第60回日本推理作家協会賞受賞作。

ようこそ。ビューティフルワールドへ。


G・ガルシア=マルケス の「百年の孤独」が好きな私としては、変わり者の大家族の話というだけで満足。

もう、家に帰ろう

2010年07月30日 | 読書
写真集を買うのは人生2冊目
「 もう、家に帰ろう」田辺あゆみ 撮影:藤代冥砂

平成15年度講談社出版文化賞写真賞受賞者、藤代冥砂が最も多くシャッターを押したのは妻だった―トップ・ファッション・モデルとフォトグラファー、3年間に亘るふたりの私生活のすべてを凝縮。

結婚とは、男女の距離をこのようにしてくれるのだろうかと思わせる写真集。被写体との絶妙な距離感、被写体寄りなんだけど、それが良いと思わせる写真。私には撮れない写真。結婚してみたいと思わせられた。


『永遠の0』

2010年07月27日 | 読書
評判の良い『永遠の0』(百田尚樹:講談社文庫)読了。

 「生きて妻のもとへ帰る」  日本軍敗色濃厚ななか、生への執着を臆面もなく口にし、仲間から「卑怯者」とさげすまれたゼロ戦パイロットがいた……。  人生の目標を失いかけていた青年・佐伯健太郎とフリーライターの姉・慶子は、太平洋戦争で戦死した祖父・宮部久蔵のことを調べ始める。祖父の話は特攻で死んだこと以外何も残されていなかった。  元戦友たちの証言から浮かび上がってきた宮部久蔵の姿は健太郎たちの予想もしないものだった。凄腕を持ちながら、同時に異常なまでに死を恐れ、生に執着する戦闘機乗りーーそれが祖父だった。  「生きて帰る」という妻との約束にこだわり続けた男は、なぜ特攻に志願したのか? 健太郎と慶子はついに六十年の長きにわたって封印されていた驚愕の事実にたどりつく。 はるかなる時を超えて結実した過酷にして清冽なる愛の物語!


 一気に読み終えました。戦記モノが好きな人も、家族愛が好きな人にもお奨めです。

つかこうへい死去

2010年07月12日 | 読書

つかこうへいが死にました


私が高校一年の頃、兄が宮部みゆきや森博嗣の作品を購入して母と私も我先と借りて読みふけっておりました

私は兄に対抗して面白い作家を見つけようとして、本屋の文庫コーナー周辺を眺めながらあるいていました

有数の進学校に何とか引っかかった身でありながら、自分はそこそこできるのではないかと自意識過剰の天狗鼻、そんな自分が選ぶのはありふれたお気楽エンターテーメントではなく、面白く機知に富み、文学の高みに到達して且つ分かり易い本・・・なかなか無いよ

そんな時に目に付いたのが傑作「広島に原爆を落とす日」

そのタイトルのインパクト、和田誠の渾身の装丁(私は今でも和田誠の装丁の中ではトップを争うと思う)、少し触り心地が分厚い豪華なカバー、角川もこの傑作がどれ程のものか勘付いたのだろう

その物語は今まで図書館で借りた西村京太郎作品や家にあった日本の文学全集等が与えてくれなかった衝撃を私にぶちこんでくれました


70年代から80年代のつかブームは知りません

演劇界では「静かな演劇」の時代が来ようとしていた時に、一周遅れで私はつか文学にドップリとはまっていったのです

つかブームが過ぎ去って古本屋には文庫がたくさんあり、おかげ様で私は安く著作を手に入れることができました

古本の文庫だけに飽き足らず、高い金を出して梅田の紀伊国屋書店で全集を買ったもんです

全集購入なんて後にも先にもこれだけです

決して文学性の高い作品とは思いません

最後のほうは似たような自身の劣化コピーのようでもありました

それでも、私はお布施のように著作を見つけては購入していったのです

学生時代に、自分で見つけた作品、そして影響を受けた自身の感受性を愛すべく「つか作品」を愛していたのかもしれません


やがて、様々な読書を通して世界が広がるにつれ、つか作品は次第に目にする機会が減っていきました

しかし、私の根幹を作った大きな存在であることは変わりが無いのです

今、思ってもやはり傑作秀作の類は多いと思います


死去の報を聞いても、悲しみはあるものの大きなショックを受けませんでした

それは、私の中の10代の青春時代に創られた何かが終わっていたからかもしれません

終わったというより固まったというのか・・・



つかこうへいが死にました

合掌


近頃の読書

2010年06月06日 | 読書
たまには写真以外のことを。

最近、買った本。
堀江敏幸「河岸忘日抄
上橋菜穂子「虚空の旅人
浅尾にいお「ソラニン

後はビジネス書少々。

上橋菜穂子に外れなし。バルサが出てこないのは残念だけど。
浅尾にいおはとても良かったです。まるで小学生みたいなの感想だけど。もし、10年前に読んでいたら、もっと違ったことを思うのかもしれない。
堀江敏幸は「いつか王子駅で」以来か。
堀江作品は特別好みではないのですが、最初の船の描写が羨ましくて好き。
まだ最初の数ページしか読んでいないのですが、これからが楽しみです。

そして「銃・病原菌・鉄〈上巻〉―1万3000年にわたる人類史の謎 」を先程注文。

G・ガルシア=マルケス 「わが悲しき娼婦たちの思い出」

2009年11月07日 | 読書

ガブリエル・ガルシア・マルケスはコロンビア出身の作家でマジック・リアリズムの旗手。
ノーベル文学賞も受賞しております。

私は海外文学はどちらかというと苦手なのですが、「百年の孤独」を読んでからは彼は大好きな作家になりました。

そんなガルシア=マルケスの21世紀最初の小説がこれ。

90歳にして本当の恋を知る老人の話です。

悲劇的なタイトルですが、決して暗い話ではありません。

私も90歳の誕生日に処女と耽美な夜を過ごしたい・・・・

本の感想は難しい・・・私の頭に芽生えた感情というか興奮というか、なんかそういうもんを的確に文章に出来る人達を尊敬します。


D700 + NOKTON 58mm F1.4

鴨川ホルモー

2009年10月14日 | 読書
ずっと積ん読だった万城目学の「鴨川ホルモー」を読了。
京都が舞台とあり、頭にすっと入ってきます。
東京が舞台の小説は山あれど、距離感覚などがいまひとつわからないのですね。
京都を知らなくても十分楽しめる楽しい青春物語であります。

森見登美彦の小説と共通点はあれど、こちらが比較的共感しやすいのかもしれません。
私は悶々とした森見作品が好きですけどね。

北村薫「玻璃の天」

2009年09月28日 | 読書
北村薫「玻璃の天
昭和7年、とある令嬢とその女性運転手ベッキーさんの活躍を描いたシリーズ第2作です。
相変わらず、北村薫の書くヒロインは芯が強く美しいです。
こんな女性とお近づきになりたいと素直に言えてしまいます。
さて、印象に残る言葉をベッキーさんが言います。

「善く敗るる者は亡びず」

漢書・刑法志の一節だそうです。

解釈はわかりません。
けど、自分の心の悪意に犯されるような時に唱えれば、たとえ傍から見たら馬鹿に見えようとお天道様に顔向けできるのではないでしょうか・・・

ミドリさん

2009年08月13日 | 読書
三井住友銀行のサイトに連載されているミドリさん

たまたま見つけたのだが、ほのぼの系でついつい見てしまう。
このような漫画はたまに読むと夢中になってしまう。
誰も不幸になっていないから。

作者の今日マチ子(京マチ子じゃない)は、ミドリさんのようなサザエさん的漫画を描いてばかりではない。
もしかしたら生活の糧としてSMBCに描かされているのかもしれないが、それでも器用に書きこなすあたりは非凡な人です。

佐藤優 自壊する帝国

2009年01月08日 | 読書

ソ連からロシアへのまさに過渡期に、現地で青年後期を過ごした佐藤優氏の考察と思い出話です。

この本は佐藤氏自身のプロパガンダというべき箇所もあるのですが、そう読めるのは著者がこの本の中でいかに戦略的に人と付き合うべきかを教えてくれる中で、自然にそう読めるのです。

面白い本です。