クラシック・ファンにはおなじみの「カザルス・ホール」が閉館することになったそうです。
お茶の水・カザルスホール、10年3月に閉館へ
2月4日12時17分配信 読売新聞
「室内楽の殿堂」として音楽ファンに親しまれた日本大学カザルスホール(東京・御茶ノ水)が、同大キャンパス再開発のため、2010年3月末で閉館することが4日、明らかになった。同大では現在の建物を取り壊す方針とみられる。
同ホールは、主婦の友社が日本初の室内楽専用ホールとして、名チェリストのパブロ・カザルスの名前を冠して1987年に開館。設計は建築家の磯崎新氏で、97年にはドイツ製パイプオルガンも設置された。2001年、同社の経営難から日大に売却され、一時閉館したが再オープンし、学内行事のほか貸しホールとしてコンサートに使われていた。
同大では「パイプオルガンをどうするかなどは、まだ未定」としている。
=============================
「室内楽の殿堂」とは言っても古いホールですから維持費はかなりのものだったんでしょうね。
ホールの命名の元となった「パブロ・カザルス」はご存知の方も多いと思いますが、20世紀の巨匠の一人である有名なチェリストであり指揮者であり作曲家でもある人物です。
現代チェロの奏法を確立した。という評価も聞きますが私は弦楽器はギターを始めとしてまったく弾けないので、その凄さは正直よくわかりません。しかしJ.Sバッハ作曲の「無伴奏チェロ組曲」を発掘し初演した功績ははげしく讃えたいと思います。
バッハの音楽で死後に忘れ去られながらも復活したもので、特に有名なものは「マタイ受難曲」とこの「無伴奏チェロ組曲」だと思いますが、個人的にはこのチェロ組曲はクラシック音楽における宝の一つだと思っています。もちろんマタイも凄いです。
楽譜を見るとよりその凄さがわかると言えますので対位法音楽の極限に触れたい方は是非!スコアは無理でも合唱用の楽譜であれば数千円で入手可能ですよ。チェロ組曲については以前にこの場で少し触れたことがございますので、ご興味のある方はお時間のあるときにご覧になってみてください。
チェリストであり指揮者でもあったカザルスは世界中を演奏して回っているのですが、それとともにかなり政治的にかっこたる意志を持っていたようで基本は「平和主義者」であったようです。そんなマエストロが平和への祈りを込めながら故郷のカタルーニャの民謡を愛奏したことはご存知でしょうか?決して派手では無いし短い曲ですが「私の故郷の鳥達は「ピース、ピース」と鳴きます」と、平和と故郷への思慕を語り演奏したエピソードが残っています。
1973年、同じスペイン出身で平和を愛した同じ名前を持つもう一人の巨匠ピカソと同じ年に、この伝説のマエストロは96歳でこの世を去りました。