愛媛県警の「裏金」を内部告発した現職警察官“仙波敏郎”さん(本ブログ07.10.28『“犯罪”は誰が取り締まるのか?』:http://blog.goo.ne.jp/inemotoyama/d/20071028をご参照下さい)が、数々の嫌がらせを受けながら職務を全うし本年3月末で定年退職した。これを機にOB会「松山南警友会」に入会を申し出たところ仙波さんは入会を拒否されたという。「ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)」さん(http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/m/200907)の記事(7月5日)を引用する。
<元愛媛県警の警察官で、捜査費を裏金にする偽領収書作成の実態を告発した仙波敏郎さんが、OB会である松山南警友会の入会を断られたのだという。こわいですね~、組織を裏切った者は許さないってことなんでしょうね~。しか~も、この入会拒否を仙波さんが記者クラブ(おそらく愛媛県警記者クラブ)に情報提供したところ、愛媛県警の関係者が来て、配布した資料を回収したという。本当に怖いですね~。
しかし、しかも、仙波さんの入会拒否はなんと、どの社も報道しなかったというのだ~。これは、大変なことですよ。私はこのことが本当かどうかは知らないが、もし、嘘だというのならば、記者クラブは、仙波さんと、仙波さんがこのことについて書いた記事を掲載した「紙の爆弾」(8月号)に対し、抗議すべきだろう。
記者クラブで配布された資料を警察に回収されたうえ、記事にしなかったというのだから、所属記者にとっては、名誉毀損もはなはだしいはずだ。これを読んだ読者は、所属記者は、①配布された資料を警察に渡すなんて警察の犬だ、と思うだろうし、②無理に持ち去られたとしても、奪われたこと自体は記事にできるはずだ、と思うだろうし、③資料がなくても再度仙波さんに連絡して入会拒否の記事を書くことはできたはずだ、と思うだろう。もし、所属記者がこの仙波さんの告発に対して、何にもアクションをとらないならば、それはこの仙波さんの告発を認めることになると思うし、自らが警察の言いなりになる存在であることを認めることになると思うよ。
記者クラブを批判するとマスメディアは、必ずといっていいほど、権力を監視するために役立っていると反論する。そういう一面があるのは否定しない。しかし、今回のようなことを見聞きすると、権力を守るためにある組織のようにしか思えなくなってしまう。
紙の爆弾8月号のこの記事は必読だ。ぜひ、買って読んでほしい。>
“権力”に関してはたびたびふれてきたが、“仙波敏郎”という人物は、躊躇することなく立ちはだかる巨大な壁に立ち向かった稀有な人である。イギリスの歴史学者J.E.アクトンは「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」との有名な言葉を残したが、これは歴史が認める真理だろう。だが、もう一つの言葉を忘れてはならない。
<権力は腐敗するとしばしば言われる。しかし、弱さもまた腐敗することを知るのが、等しく重要であろう。権力は少数者を腐敗させるが、弱さは多数者を腐敗させる。>(エリック・ホッファー『魂の錬金術』(作品社))
この箴言にある「弱さ」が愛媛県警記者クラブの連中を示唆しているのは言うまでもなかろう。ここにもう一つ、明治・大正・昭和初期に、ジャーナリストの本領を示した“桐生悠々”の言葉を見ておこう。
<人動(やや)もすれば、私を以て、言いたいことを言うから、結局、幸福だとする。だが、私は、この場合、言いたい事と、言わねばならない事とを区別しなければならないと思う。
私は言いたいことを言っているのではない。徒(いたずら)に言いたいことを言って、快を貪っているのではない。言わねばならないことを、国民として、特に、この非常に際して、しかも国家の将来に対して、真正なる愛国者の一人として、同時に人類として言わねばならないことを言っているのだ。
言いたいことを、出放題に言っていれば、愉快に相違ない。言わねばならないことを言うのは、愉快ではなくて、苦痛である。何ぜなら、言いたいことを言うのは、権利の行使であるに反して、言わねばならないことを言うのは、義務の履行だからである。>(『桐生悠々自伝』:鎌田慧著『反骨のジャーナリスト』/岩波新書より引用)
悲しいことに、「言わねばならぬこと」を黙して語ろうとしないジャーナリストが現代社会に遍満する。
次の動画は“仙波敏郎”がいかなる人物かを実証するものだが、同時に、「権力」(直接的には「愛媛県警」)の醜悪さを如何なく物語るばかりか日本という国家に慄然とさせられる貴重な「ドラマ」です。
ぜひ、二本を続けてご覧になってください。
「You Tube 仙波敏郎さん 5-3」(8分:41秒):http://www.youtube.com/watch?v=To7EwiNw3KI&feature=related
「You Tube 仙波敏郎さん 5-5」(10分:11秒):http://www.youtube.com/watch?v=TgsQHiegnoU&feature=related
<元愛媛県警の警察官で、捜査費を裏金にする偽領収書作成の実態を告発した仙波敏郎さんが、OB会である松山南警友会の入会を断られたのだという。こわいですね~、組織を裏切った者は許さないってことなんでしょうね~。しか~も、この入会拒否を仙波さんが記者クラブ(おそらく愛媛県警記者クラブ)に情報提供したところ、愛媛県警の関係者が来て、配布した資料を回収したという。本当に怖いですね~。
しかし、しかも、仙波さんの入会拒否はなんと、どの社も報道しなかったというのだ~。これは、大変なことですよ。私はこのことが本当かどうかは知らないが、もし、嘘だというのならば、記者クラブは、仙波さんと、仙波さんがこのことについて書いた記事を掲載した「紙の爆弾」(8月号)に対し、抗議すべきだろう。
記者クラブで配布された資料を警察に回収されたうえ、記事にしなかったというのだから、所属記者にとっては、名誉毀損もはなはだしいはずだ。これを読んだ読者は、所属記者は、①配布された資料を警察に渡すなんて警察の犬だ、と思うだろうし、②無理に持ち去られたとしても、奪われたこと自体は記事にできるはずだ、と思うだろうし、③資料がなくても再度仙波さんに連絡して入会拒否の記事を書くことはできたはずだ、と思うだろう。もし、所属記者がこの仙波さんの告発に対して、何にもアクションをとらないならば、それはこの仙波さんの告発を認めることになると思うし、自らが警察の言いなりになる存在であることを認めることになると思うよ。
記者クラブを批判するとマスメディアは、必ずといっていいほど、権力を監視するために役立っていると反論する。そういう一面があるのは否定しない。しかし、今回のようなことを見聞きすると、権力を守るためにある組織のようにしか思えなくなってしまう。
紙の爆弾8月号のこの記事は必読だ。ぜひ、買って読んでほしい。>
“権力”に関してはたびたびふれてきたが、“仙波敏郎”という人物は、躊躇することなく立ちはだかる巨大な壁に立ち向かった稀有な人である。イギリスの歴史学者J.E.アクトンは「権力は腐敗する。絶対的権力は絶対的に腐敗する」との有名な言葉を残したが、これは歴史が認める真理だろう。だが、もう一つの言葉を忘れてはならない。
<権力は腐敗するとしばしば言われる。しかし、弱さもまた腐敗することを知るのが、等しく重要であろう。権力は少数者を腐敗させるが、弱さは多数者を腐敗させる。>(エリック・ホッファー『魂の錬金術』(作品社))
この箴言にある「弱さ」が愛媛県警記者クラブの連中を示唆しているのは言うまでもなかろう。ここにもう一つ、明治・大正・昭和初期に、ジャーナリストの本領を示した“桐生悠々”の言葉を見ておこう。
<人動(やや)もすれば、私を以て、言いたいことを言うから、結局、幸福だとする。だが、私は、この場合、言いたい事と、言わねばならない事とを区別しなければならないと思う。
私は言いたいことを言っているのではない。徒(いたずら)に言いたいことを言って、快を貪っているのではない。言わねばならないことを、国民として、特に、この非常に際して、しかも国家の将来に対して、真正なる愛国者の一人として、同時に人類として言わねばならないことを言っているのだ。
言いたいことを、出放題に言っていれば、愉快に相違ない。言わねばならないことを言うのは、愉快ではなくて、苦痛である。何ぜなら、言いたいことを言うのは、権利の行使であるに反して、言わねばならないことを言うのは、義務の履行だからである。>(『桐生悠々自伝』:鎌田慧著『反骨のジャーナリスト』/岩波新書より引用)
悲しいことに、「言わねばならぬこと」を黙して語ろうとしないジャーナリストが現代社会に遍満する。
次の動画は“仙波敏郎”がいかなる人物かを実証するものだが、同時に、「権力」(直接的には「愛媛県警」)の醜悪さを如何なく物語るばかりか日本という国家に慄然とさせられる貴重な「ドラマ」です。
ぜひ、二本を続けてご覧になってください。
「You Tube 仙波敏郎さん 5-3」(8分:41秒):http://www.youtube.com/watch?v=To7EwiNw3KI&feature=related
「You Tube 仙波敏郎さん 5-5」(10分:11秒):http://www.youtube.com/watch?v=TgsQHiegnoU&feature=related